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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

クレムソン大が初の全米王者 連覇狙ったアラバマ大に逆転勝ち

2017.1.11 11:25 丹生 恭治 にぶ・きょうじ
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アラバマ大の強力守備陣を相手にTDを挙げるクレムソン大RBゴールマン(9)(AP=共同)
アラバマ大の強力守備陣を相手にTDを挙げるクレムソン大RBゴールマン(9)(AP=共同)

 クレムソン大が試合終了2秒前のTDパスで、アラバマ大に35―31と逆転勝ちし、初の全米王座に就いた。

 2016~17年の全米大学体育協会(NCAA)フットボール部門ボウル・サブディビジョン(FBS=旧1部A)のチャンピオンを決める全米大学選手権決勝は1月9日、フロリダ州タンパのレイモンド・ジェームズ・スタジアムで、選手権ランキング1、2位の両校が激突した。

 ランク2位、大西洋岸リーグ(ACC)のクレムソン大が、試合終了2秒前にQBデショーン・ワトソンが決勝のパスを決め、ランク1位、南東リーグ(SEC)アラバマ大に逆転勝ちした。

 クレムソン大はアラバマ大の連覇を阻止するとともに、3年目を迎えた4校のトーナメントによる選手権大会で初優勝。同時にランキング制に基づく全米王座の選定開始以来、初のナショナルチャンピオンの栄冠を獲得した。

 クレムソン大は2014~15年の第1回大会には、レギュラーシーズンでフロリダ州立大に延長戦で敗れて出場できず、2015~16年は決勝でアラバマ大に40―45で競り負けた。

 そして迎えた2016~17年、クレムソン大は準決勝でランク3位のビッグ10のオハイオ州立大と対戦。 この難敵をクレムソン大は攻守に圧倒した。

 攻撃ではQBワトソンが259ヤードを投げ1TD。さらに自らのランで2TDを加える一方、守備陣がこの強豪をシャットアウト。31―0の快勝だった。

 一方のアラバマ大はランク4位で太平洋12大学のワシントン大を24―7で一蹴。そして決勝は2年連続で南部2校の顔合わせとなったのである。

 その幕切れは波乱に満ちていた。先行したアラバマ大をを追って、第4Qの残り4分41秒にようやく逆転したのもつかの間、アラバマ大QBジャレン・ハーツにゴール前30ヤードからのスクランブルを許して、再び28―31と再逆転を許したばかりだった。

 自陣32ヤードからの攻撃に、残された時間は2分7秒。ダボ・スイーニー監督はワトソンの右腕にすべてを託した。

 WRマイク・ウィリアムズ、ハンター・レンフロー、TEジョーダン・レジット、RBウェイン・ゴールマンとターゲットを総動員しての10プレー目。アラバマ大のパスインターフェアから、ゴール前2ヤード地点に進んだクレムソン大は、ワトソンが右へ展開しながらレシーバーを探した。

 その視線の先、真っ直ぐの地点でレンフローがゴールラインを横切ろうとしていた。この危機に気が付いた守備側の選手はDEジョナサン・アレンだっただろうか。

 その瞬間、ワトソンの右腕が閃き、ボールは一直線にレンフローの胸に収まった。一瞬の後、アラバマ大ディフェンダーが強烈な体当たりを敢行した。しかし、もはや手遅れだった。

 ボールを受けた場所を確認し、飛び跳ねて喜ぶレンフロー。駆け寄るクレムソン大の選手たち。こうしてタイトルは前年の覇者から新しい王者へと移っていった。

 先手はアラバマ大。第1Qの5分過ぎ、RBボー・スカボローの25ヤードの快走が均衡を破り、第2Qにも今度は37ヤードのランで加点した。

 クレムソン大はワトソン自らが8ヤードのTDランを挙げて折り返した。アラバマ大の守備のペースに巻き込まれたような前半だったが、後半は一転。激しい得点争いを展開した。

 こうなるとパス力に優れたワトソンを有するクレムソン大のペースになる。第3Qはアラバマ大のFGの後、クレムソン大がワトソンからレンフローへ28ヤードのTDパスを通して追い上げる。

 アラバマ大もQBハーツがO・Jハワードへの68ヤードのパスプレーで24―14と10点差をつけて第4Qを迎えた。

 ここからがまさしくワトソンの独壇場だった。ハイズマン賞の最有力候補とされながら、これを逸したカレッジ最強のパサーは、最強チームを決める晴れの場で余すところなく本領を発揮した。

 第4Qの14分5秒、ウィリアムズへ4ヤードのTDパス。10分近く一進一退が続いた後、アラバマ大のゴール間近に迫ってゴールマンの1ヤードの突進で28―24と勝ち越した。

 この後のいきさつは、先に述べた通りだが、常勝アラバマ大と真っ向から渡り合った実力は、来季以降も高く評価せねばなるまい。

 なおこの日のワトソンは、パスで420ヤード、3TDをマーク。ランでは43ヤードを走り、1TDを記録した。

 今季はこれで41TDパスで、ACCのシーズン記録を更新した。もう一人のヒーロー、レンフローはパス10本を受ける活躍で、92ヤード2TDをマークした。

 一方アラバマ大はこの日パント11回を記録。これはニック・セイバン監督の指揮下では最多である。

 なお栄冠を手にしたスイーニー監督は1990年から92年までアラバマ大のWRとして活躍し、92年の全米チャンピオンチームの一員だった。

 選手としてだけではなく、監督でも全米の王座に就く例は珍しい。

丹生 恭治 にぶ・きょうじ

名前 :丹生 恭治 にぶ・きょうじ

プロフィール:1934年生まれ。関西学院大学卒業後、東京新聞社で運動記者としてスタートし、1962年に共同通信社へ移籍。著書に、中学時代から関学で親しんだアメリカンフットボール生活を描いた「いざいざいざ」がある。甲子園ボウルには高校時代と合わせて6度優勝。

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