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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

HOU@NEなど好カードぞろい NFLディビジョナルプレーオフ展望 

2017.1.12 11:06 生沢 浩 いけざわ・ひろし
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テキサンズ戦に向けて調整するペイトリオッツのエースQBブレイディ(AP=共同)
テキサンズ戦に向けて調整するペイトリオッツのエースQBブレイディ(AP=共同)

 やはりNFLのプレーオフは面白い。負けたらシーズン終了という緊張感の中で生まれるビッグプレーは、さすが世界最高峰のフットボールと思わせるものばかりだ。

 アーロン・ロジャーズ(パッカーズQB)のヘイルメアリーパス、ポール・リチャードソン(シーホークスWR)のワンハンドTDパスキャッチ、ジェイデボン・クラウニー(テキサンズDE)のインターセプト、アントニオ・ブラウン(スティーラーズWR)の50ヤードのランアフターキャッチによるTD。これらはすべてワイルドカードプレーオフで生まれたスーパープレーである。

 まだ試合を見ていない、またはBSやCSなどの放送が見られる環境にない方は、公式サイトの無料動画でも楽しめるのでぜひご覧になってほしい。

 プレーオフ1回戦のワイルドカードラウンドは地区優勝チームがすべて勝つ結果となった。予想通りレイダーズやドルフィンズはエースQBの故障欠場という不利を覆すことはできず、ライオンズとジャイアンツはそれぞれプレーオフ常連組のシーホークス、パッカーズの試合巧者に屈した。

 準決勝は、AFCとNFCのそれぞれのトップ2シードチームが満を持して登場する注目のディビジョナルプレーオフだが、波乱が多いのもこのラウンドの特徴だ。

 トップ2シードの特権である1回戦バイ(休み)は選手に休養を与える効果がある反面、試合勘と緊張感を鈍らせることがある。シーズン中にリーグ最高成績を残したチームがワイルドカードの勝ち上がり組にあっさりと敗退する例は枚挙にいとまがないほどだ。

 波乱を起こす可能性があるのは、ワイルドカードプレーオフで会心の勝ち方をして勢いをつけたチームだ。

 今年ならシーホークス。シーズン中に課題とされたランオフェンスがトーマス・ロウルズによって一気に解消され、強いディフェンスとランによるボールコントロールで勝つという従来のスタイルが戻ってきた。こうしたチームは強い。これを迎え撃つのが第2シードのファルコンズだ。

 今年も波乱が起きるのか。各試合の見どころを、「勝つためにはこれが不可欠」といった観点からゲームが行われる順番に紹介していきたい。

 ▽シーホークス(10勝5敗1分け)@ファルコンズ(11勝5敗)

 〈シーホークスが勝つには〉

 可能な限りファルコンズオフェンスを相手陣内で抑えること。ファルコンズはQBマット・ライアンがWRフリオ・ジョーンズ、モハメド・サヌー、TEレビン・トイロロらの能力を引き出すビッグプレーで得点を重ねる。

 最初はRBデボンテ・フリーマンやテビン・コールマンのラン、ライアンのチェックダウンパスなどでじわじわと陣地を獲得し、ミッドフィールドを過ぎたあたりからロングパスで一気にTDを狙う。

 シーホークスは自陣に侵入されたらすべてのプレーでロングパスを警戒する必要がある。それだけ今季のファルコンズのオフェンスは強力だ。

 ファルコンズを50ヤードラインより手前に押しとどめるには、早い段階でサードダウンロングの場面を作りたい。QBサックや反則による罰退で後退した時などはドライブを仕留めるチャンスだ。

 〈ファルコンズが勝つには〉

 常にリードする展開に持ち込む。ファルコンズはオフェンスのファーストドライブでTDをとる確率がNFLで最も高い。

 こうしたシーズン中の戦いをプレーオフにも継続できればTDを量産してリードを広げる得意のパターンに持ち込める。

 シーホークスがロウルズによるランをあきらめて、QBラッセル・ウィルソンのパスによるキャッチアップオフェンスに切り替えるようなら得点力の高いファルコンズが断然有利になる。

 ライアンの過去のプレーオフ成績が1勝4敗だというのはネガティブなデータだが、今季はMVP候補にも挙げられるほど安定した好調ぶりで懸念はない。

 筆者予想:ファルコンズ30、シーホークス16

 ▽テキサンズ(9勝7敗)@ペイトリオッツ(14勝2敗)

 〈テキサンズが勝つには〉

 ペイトリオッツのランを確実に止める。ペイトリオッツといえばQBトム・ブレイディのパスが最大の武器だが、ここはあえてラン対策を重視する。

 今季のペイトリオッツは従来に比べてランを多用し、それが効果を上げている。ランが出ればパスラッシュが軽減されるからブレイディに余裕が生まれる。彼の好調の要因の一つはここにある。

 ブレイディのパスには隙がない。であるなら、隙を作るように仕向けるしかない。そのためにはルギャレット・ブラントのランを止めて、ファーストダウン更新のためにパスを投げざるを得ない状況に追い込む。そこでクラウニーのパスラッシュにかける。これを徹底することでテキサンズにもチャンスが生まれる。

 〈ペイトリオッツが勝つには〉

 相手のQBブロック・オスワイラーをポケットの中に封じ込める。リーグ1位のディフェンスを持つテキサンズは小差の展開に持ち込み、ボールコントロールでペイトリオッツの攻撃時間を削りにくるだろう。

 そのためにはドライブの継続は不可欠なのだが、残念ながらオスワイラーはパスが不調だ。それを補うために脚力を駆使することが考えられる。

 ペイトリオッツはアウトサイドのパスラッシュがそれほど強くない。今季1回平均4.4ヤードをランで稼いでいるオスワイラーにポケットの外に出られてランでファーストダウンを更新されるとダメージになる。

 筆者予想:ペイトリオッツ41、テキサンズ9

 ▽スティーラーズ(11勝5敗)@チーフス(12勝4敗)

 〈スティーラーズが勝つには〉

 ボールセキュリティー。スティーラーズはQBベン・ロスリスバーガー、ブラウン、RBレベオン・ベルのそろうオフェンスでチームを牽引する。

 その最大の敵は自身のボールセキュリティーにある。ロスリスバーガーはほぼ毎試合でインターセプトを喫する。得点力が高いのでダメージは小さくて済んでいるが、リーグ最多の33回ものターンオーバーを奪っているチーフスが相手だと致命傷となる可能性がある。

 逆にチーフスはミスの少ないチームで、相手からボールを奪ったチャンスで着実に得点を重ねる。ミスを挽回しようとあせるほどチーフスの術中にはまる形になる。スティーラーズが崩れる時のパターンだ。

 ロスリスバーガーはロングパスを投げようと欲張るあまりにボールを持つ時間が長くなり、サックを浴びたり、無理な体勢からパスを投げてインターセプトされたりする悪癖がある。これを避けないとチーフスは難関だ。

 〈チーフスが勝つには〉

 ゾーンディフェンスのシームを狙う。スティーラーズディフェンスは各選手が比較的広いゾーンを担当するので、ゾーンの切れ目(シーム)にパスが通りやすい。

 ショートパスの精度が高いアレックス・スミスが得意とするパスでもある。ここに俊足の新人WRタイリーク・ヒルを走らせて、ランアフターキャッチでゲインを重ねればスティーラーズのハイパーオフェンスに十分に対抗できる。

 点の取り合いはチーフスのスタイルではないが、スミスはプレーオフになると積極的にロングパスを投げる傾向がある。レギュラーシーズンとはまた違ったチーフスの一面が見られるはずだ。

 筆者予想:スティーラーズ24、チーフス17

 ▽パッカーズ(10勝6敗)@カウボーイズ(13勝3敗)

 〈パッカーズが勝つには〉

 ロケットスタート。最初のドライブからTDを取り、序盤で点差を広げることができればカウボーイズに得意のランを使わせない展開に持ち込める。

 ロジャーズはチームの7連勝中は19TDパスと絶好調だ。カウボーイズが2週ぶりの実戦でリズムをつかめないうちに主導権を握りたい。

 WRジョーディ・ネルソンは脇腹の負傷で出場が危ぶまれ、新人WRジェロニモ・アリソンは9月にマリファナ所持で逮捕された事件で起訴が決まったばかり。重要なレシーバーを二人欠く可能性があるなかでロジャーズが好調を維持できるかが重要な鍵だ。

 〈カウボーイズが勝つには〉

 スクリメージラインをコントロールする。QBダク・プレスコットとRBエゼキール・エリオットの新人コンビがクローズアップされるが、カウボーイズオフェンスの強さはタレントぞろいのOLにある。

 Cトラビス・フレデリック、RGザック・マーティン、LTタイロン・スミスはいずれもプロボウルとオールプロの両方に選出された逸材。彼らを中心としたランブロッキングはリーグ最強だ。

 パッカーズディフェンスはDLを二人だけ配置する2DL―4LB―5DBや2-3-6の陣形を多用する。

 DLが少ないために必然的にラン守備は手薄になる。カウボーイズのOLユニットであれば強力なブロックで押し込み、エリオットの走路の確保がしやすくなる。

 ランでクロックコントロールができれば、ロジャーズ率いるオフェンスをフィールドから遠ざけることも可能だ。

 筆者予想:カウボーイズ30、パッカーズ27

カウボーイズオフェンスの鍵を握るRBエリオット(左)とQBプレスコット(AP=共同)
カウボーイズオフェンスの鍵を握るRBエリオット(左)とQBプレスコット(AP=共同)
生沢 浩 いけざわ・ひろし

名前 :生沢 浩 いけざわ・ひろし

プロフィール:1965年生まれ。上智大卒。1991年にジャパンタイムズ入社。大学時代のアメリカンフットボール経験を生かし、フットボールライターとしても活動。NHKーBSや日テレG+でNFL解説者を務める。「Pro Football Writersof America」会員。

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