メニュー 閉じる メニュー
スポーツ

スポーツ

週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

首位アラバマ、3位フロリダ州立破る 米大学第1週

2017.9.6 12:36 丹生 恭治 にぶ・きょうじ
フロリダ州立大WRテート(左)のTDパスレシーブ(AP=共同)
フロリダ州立大WRテート(左)のTDパスレシーブ(AP=共同)

 天下分け目の一戦とか、1、2位決戦とかいう試合は、往々にしてミスで決着したり、平凡なプレーが明暗を分けたりすることが多い。

 全米大学体育協会(NCAA)フットボール部門のボウル・サブディビジョン(FBS=旧1部A)は、8月26日の開幕戦に続いて、31日から9月4日までの5日間、各地で開幕週のゲームを華々しく繰り広げた。

 その開幕を飾る全米注目のゲームがアラバマ大とフロリダ州立大の大一番だった。アラバマ大はご存知南部の雄、南東リーグ(SEC)、一方のフロリダ州立大も大西洋岸リーグ(ACC)の優勝候補最右翼であることは言うまでもあるまい。

 しかも全米のランキングは記者投票でも監督投票でも1位と3位の高い評価を受けていた。この両校の激突である。

 両校の本拠地を避けてアトランタのメルセデスベンツ・スタジアムで行われた一戦は、アラバマ大が先制した。

 フロリダ州立大に38ヤード地点まで進まれたのをQBサックで阻み、9プレー後、アンディ・パパナストスが35ヤードのFGを決めた。一方、フロリダ州立大は自陣奥深くからQBデオンドレイ・フランソワーズが次々と鮮やかなパスを決めて前進。第2Qはじめ、RBジャック・パトリックやオーデン・テートの突進からTDを奪い、7―3とリードした。

 アラバマ大の反撃は素早かった。QBジャレン・ハーツがWRカルビン・リドリーへ6ヤードのパスを決めた後、自らのランで47ヤード地点まで一気に進出。

 ここでリドリーとの53ヤードのパスプレーでTDを挙げ、10―7とした。だが、ここから戦況は膠着した。6度、7度と攻守交代を重ねたまま前半を終えたが、この間の互いの守りの堅さはさすが強豪同士だった。

 後半へ持ち込まれた勝負は、第3Qに一気に動いた。互いにパントを交わし、自陣7ヤードからのフロリダ州立大の反撃は、前半抑え込まれていたパトリックが力走を重ねたものの、今度はQBフランソワのパスが今一つ通らず、結局パントとなった。

 アラバマ大はLBダイラン・モーゼスらがこのパントをブロック。ゴール前で攻撃権を手にした。TDは奪えなかったものの1分47秒、パパナストスが25ヤードのFGを決めて13―7と差を広げた。

 この直後、勝負を分けるプレーが起きた。フロリダ州立大のK・ギャビンが11ヤード地点までリターンしたところで、モーゼスのタックルを浴びてファンブルしたのである。

 先ほどのパントブロックで、モーゼスとともにパンターへ突進したD・ハリスがこのボールを手に11ヤードをリターンした。残りは1分41秒。たった6秒の間に貴重なTDが追加された。

 幸運に恵まれたアラバマ大は、ちゅうちょなく2点コンバージョンに臨み、ハーツがリドリーへパスを通して21―7。第4Qの6分25秒には、FGを加えて24―7とした。

 ファンブルが明暗を分けたとはいえ、アラバマ大はランで171ヤードを稼ぐと同時に、守備でもフロリダ州立大のランを27回でわずか40ヤードに抑え込んでいる。名門校の守備の良さがきらりと光った試合だった。

 このほかのランク校同士の対戦で注目されていたのは2日の、テキサス州アーリントンでのビッグ10ミシガン大とSECフロリダ大の試合。

 ミシガン大が記者投票11位と監督投票8位。フロリダ大が17位と16位で好カードだった。そしてミシガン大は13―17の後半に本領発揮。20点を挙げるとともにフロリダ大を0点に抑えて33―17で快勝した。

 3日の21位、22位のバージニア工科大(ACC)と、22位、20位のウエストバージニア大(ビッグ12)の試合はバージニア工科大が31―24で勝利を収めた。

 ランキング上位は、31日に2位オハイオ州立大が、ビッグ10の開幕カードでインディアナ大に49―21で大勝。

 太平洋12大学のランク4位南加大は中部アメリカン連盟(MAC)のウエスタンミシガン大に手こずったものの、第4Q半ば過ぎから本領発揮。28―28から3TDを奪うと同時に、相手を3点に抑えて勝ち星を手にした。なおウエスタンミシガン大が太平洋12大学と戦うのは初めてだった。

 昨年の王者、ランク5位のクレムソン大(ACC)はMACのケント州立大を56―3で一蹴。ランク6位でビッグ10のペンシルベニア州立大は同じくMACのアクロン大を52―0とシャットアウトした。

 8位、7位の太平洋12大学のワシントン大はラトガーズ大を退け、10位前後のビッグ12のオクラホマ大、オクラホマ州立大は順当に勝ち星を重ねたが、23位のテキサス大はメリーランド大に41―51と足をすくわれ、トム・ハーマン監督は船出を飾れなかった。

 FBSの諸校はこの時期FCS(旧1部AA)のチームの「けいこ相手」を務める義務があるが、そのつもりだったのが、気が付くと敗戦を記録してしまうことがよくある。

 2日にネバダ大ラスベガス(UNLV)が中東体育連盟(MEAC)に所属するハワード大に40―43で敗れたケースなどはその典型だろう。

 さて逆転といえば3日、記録的な試合が、カリフォルニア州パサデナのローズボウルで演じられた。主役は太平洋12大学のカリフォルニア大ロサンゼルス(UCLA)。相手はSECのテキサス農工大だった。

 試合はテキサス農工大の一方的なペースで、44―10と34点差をつけて第3Qの終盤を迎えた。しかしUCLAは、ここから何と連続5TDを記録して勝ち星をもぎ取ったのである。第1歩は残り2分11秒、TBソーソー・ジャマボの6ヤードの突進からのTDだった。

 そしてここから、QBジョシュ・ローゼンの怒涛のパス攻撃が始まった。ローゼンは第4Q、36本投げて19本を通し、292ヤード4TDを記録した。

 試合を通すと、58本で35本成功、自己最多の491ヤードをマークした。

 逆転劇は残り47秒。ゴール前10ヤード地点から、ローゼンがフェイクスパイクからWRジョーダン・ラスリーへパス。見事にTDを挙げた。TFPも決まって45―44。本拠地での開幕7連勝を飾った。

 テキサス農工大は44―31の第4Q半ば、FGのチャンスを迎えた。UCLAはこれを鮮やかにブロックした。

 NCAAのリポートでは「取るに足らないプレーに見えるが、終わってみると実に貴重なプレーだった」と付け加えている。

 また、終盤のTDシーンにこそ直接絡まなかったものの、2年生のTEケイレブ・ウィルソンがこの試合で15レシーブ203ヤードを稼いで、TDマーチの下支えをしたことなどを評価している。

UCLAのQBローゼン(3番)のパスをはたき落とすテキサス農工大のDBワッツ(AP=共同)
UCLAのQBローゼン(3番)のパスをはたき落とすテキサス農工大のDBワッツ(AP=共同)
丹生 恭治 にぶ・きょうじ

名前 :丹生 恭治 にぶ・きょうじ

プロフィール:1934年生まれ。関西学院大学卒業後、東京新聞社で運動記者としてスタートし、1962年に共同通信社へ移籍。著書に、中学時代から関学で親しんだアメリカンフットボール生活を描いた「いざいざいざ」がある。甲子園ボウルには高校時代と合わせて6度優勝。

最新記事