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共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

王者ペイトリオッツが開幕戦黒星 NFL2017が開幕

2017.9.8 14:31 生沢 浩 いけざわ・ひろし
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プレッシャーを受けながらパスを投げる、ペイトリオッツのQBブレイディ(AP=共同)
プレッシャーを受けながらパスを投げる、ペイトリオッツのQBブレイディ(AP=共同)

 王者ペイトリオッツがまさかの黒星スタート―。

 NFLの2017年シーズンは、9月7日(日本時間8日)木曜日のナイトゲームで開幕した。 昨季のスーパーボウルで奇跡的な逆転勝利を収め、今年も優勝候補筆頭のペイトリオッツは地元ジレットスタジアムにチーフスを迎えたが、第3クオーター終了時の6点のリードを守りきれず27―42で敗れた。ペイトリオッツのホームでの開幕連勝は8で止まった。

 ペイトリオッツのQBトム・ブレイディはパスが不調だった。序盤はエースTEロブ・グロンカウスキーやWRダニー・アメンドラ、新加入のWRブランディン・クックスらとのタイミングや距離が合わなかった。

 もっとも、これはシーズン開幕直後にはどのチームにもありがちなことで、ブレイディも第2クオーターに入るころにはリズムを取り戻した。

 チーフスのパスディフェンスの反則を巧みに引き出しながらドライブを進めるテクニックは、ブレイディの得意なところだ。

 RBマイク・ギリズリーの3TDランなどもあり、試合は終盤までペイトリオッツのペースで進んだ。

 一方のチーフスはQBアレックス・スミスがコントロールのいいパスを連続して成功させながら時折ロングパスで一気に攻めた。

 第3クオーター初めには最初の逆転となるWRタイリーク・ヒルへの75ヤードのTDパスを成功させた。

 新たなヒーローも誕生した。チーフスの新人RBカリーム・ハントだ。最初のボールキャリーこそファンブルロストだったが、計17回ボールを持って148ヤード、1TDを稼いだ。

 パスも5回のキャッチで98ヤード、2TDの活躍。ジャマール・チャールズの退団、スペンサー・ウェアの今季絶望となる故障で心配されたチーフのランオフェンスだが、むしろ大きな武器として計算できそうだ。

 第4クオーターにハントの78ヤードTDパスキャッチで再逆転に成功したチーフスは、前半に温存していたパスラッシュを一気に解禁。OLBジャスティン・ヒューストンの2サックなどでペイトリオッツのパスオフェンスを封じ込め、そのまま勝利した。

 見ごたえある開幕戦となったが、両チームに主力の負傷者が続出した。ペイトリオッツではLBドンテ・ハイタワーとアメンドラが途中退場し、チーフスもヒル、Sエリック・ベリーが故障した。ベリーはアキレス腱の負傷との情報がある。

 波乱の開幕となったが、ペイトリオッツが依然として今季の優勝候補の一角であることは揺るがない。

 2014年にも初戦を落としたが、最終的には12勝4敗でスーパーボウル制覇を果たしている。チームの立て直しはそう難しくないだろう。

 一方のチーフスはこれで勢いがつく。レイダーズとの地区優勝争いが期待されるが楽しみな存在だ。

 今シーズンもペイトリオッツを中心にスティーラーズ、パッカーズ、シーホークスといった強豪がリーグ制覇を争うと予想される。

 そこに昨年躍進したレイダーズやカウボーイズ、チーム力を上げているタイタンズやバッカニアーズがどのように絡んでくるかが見どころだ。

 その一方で、今季がスーパーボウルへの最後のチャンスと思われるチームもある。スティーラーズとカージナルスだ。

 スティーラーズは今季もオフェンスが強力だ。QBベン・ロスリスバーガー、WRアントニオ・ブラウン、RBレベオン・ベルが中心となるオフェンスは得点力が高く、ポテンシャルではNFLトップクラスだ。この3人が故障なくプレーできる限り、スティーラーズは優勝候補であり続けるだろう。

 ブラウンとベルは今がピークの選手だ。まだ若いので今後数年は高いレベルで活躍できるだろう。その一方でロスリスバーガーには残された時間が少ない。

 現に昨季終了直後も現役続行を明言しなかった。そろそろ現役生活にピリオドを打つという選択肢が彼の中にあるのは明らかで、その意味でスティーラーズは今年にかける意気込みが強い。

 同じことはカージナルスにも言える。こちらもオフェンス主導のチームで、QBカーソン・パーマーとWRラリー・フィッツジェラルドは欠かせない存在だ。

 しかし、二人ともロスリスバーガー同様に近い将来に引退する可能性がある。一部では今季が最後とも噂されている。

 昨年カウボーイズでQBダック・プレスコット、RBエゼキエル・エリオット(今年は行動規範違反で第2週から6試合の出場停止)が新人として活躍し、タイタンズのQBマーカス・マリオタ、バッカニアーズのQBジェーミス・ウィンストンが成長を見せるなどオフェンスでの世代交代が進んでいる。

 QBは長いことブレイディ、ロスリスバーガー、アーロン・ロジャース(パッカーズ)、イーライ・マニング(ジャイアンツ)、ドルー・ブリーズ(セインツ)らベテランがNFLの顔としてプレーしてきたが、その時代の終盤に差し掛かってきた。

 そういう時代の流れの中で、スティーラーズやカージナルスといった「勝つならば今」という状況に追い込まれたチームが、盤石のペイトリオッツや勢いのあるレイダーズ、バッカニアーズなどとどのように戦っていくのかも今季の注目点の一つだ。

試合後、健闘をたたえ合うペイトリオッツ・ブレイディ(左)とチーフス・スミスの両QB(AP=共同)
試合後、健闘をたたえ合うペイトリオッツ・ブレイディ(左)とチーフス・スミスの両QB(AP=共同)

王者ペイトリオッツを相手に大活躍のチーフス新人RBハント(27番)(AP=共同)
王者ペイトリオッツを相手に大活躍のチーフス新人RBハント(27番)(AP=共同)
生沢 浩 いけざわ・ひろし

名前 :生沢 浩 いけざわ・ひろし

プロフィール:1965年生まれ。上智大卒。1991年にジャパンタイムズ入社。大学時代のアメリカンフットボール経験を生かし、フットボールライターとしても活動。NHKーBSや日テレG+でNFL解説者を務める。「Pro Football Writersof America」会員。

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