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週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

南加大、ワシントン州立に苦杯 米大学第5週 

2017.10.4 12:58 丹生 恭治 にぶ・きょうじ
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南加大の守備選手を飛び越えてゲインするワシントン州立大RBモロー(AP=共同)
南加大の守備選手を飛び越えてゲインするワシントン州立大RBモロー(AP=共同)

 スポーツ界でよく知られている米国の大学はどこかという話になると、やはり真っ先に「南加大」の名があがるに違いない。

 ご存知の通り、ロサンゼルスにある私立の大学で、「サザンカリフォルニア大」を南加大と呼ぶ。

 私がスポーツ記者という道を選んでもう60年にもなるが、そのころから南加大はおなじみだった。

 野球のレベルが高く、日米の大学野球の話になると、欠くことのできないチームだったせいでもある。

 当初は太平洋8大学リーグという組織に属し、そのリーダー的存在として日本のスポーツファンにも親しまれてきた。

 このリーグ、現在はロッキー山脈の幾つかの州にある大学を取り込んで、12大学となったが、南加大の位置は変わらない。

 フットボールの世界でも間違いなく強豪で、ランキングには毎年のように顔を出している。今季も最初から順位は高く、全米王者へと期待は高かった。

 そして第5週。南加大はワシントン州立大とのリーグ戦に臨むため、ワシントン州プルマンのマーチン・スタジアムへ乗り込んだ。

 例年ならそれほど気にする相手ではない。しかし、今季のワシントン州立大はQBにハイズマン賞の有力候補の一人、ルーク・フォークを擁して順当に勝ち星を重ね、ランキングも16位まで上げて来ていた。

 一方、南加大はランクは5位。それにQBサム・ダーノルドも有力なハイズマン賞候補だ。太平洋岸は、そして全米はこの「ハイズマン対決」に注目した。

 だが、私は南加大が今季、開幕から奇妙な勝ち方を重ねていたのが気になっていた。その南加大の勝ち方は、第1Qから第3Qまで交互に点を取り合い、同点のまま突入した第4Qで決着するというものだった。

 第1戦のウエスタンミシガン大は格下の中部アメリカン連盟(MAC)の所属だが、この試合は第1Qから第3Qまで両校とも1TDを取り合った末に第4Qに決着した。

 南加大が一気に大量28点を奪い、その一方で失点を10点にとどめ、49―31と勝利を収めている。

 第2戦のスタンフォード大との試合はごく普通に推移し、42―24の結果だったが、リーグ外の名門テキサス大との第3戦は17―17で延長戦。2度のオーバータイムの末に27―24で白星をものにした。

 続くカリフォルニア大との一戦も、第4Qに南加大が17点、相手を7点に抑えて、30―20で勝った。

 しかし、このような戦い方がずっと続くわけがない。その転換点が、9月29日に訪れた。

 さてこの第5戦である。得点経過を書いておく。第1Qは11分41秒、ワシントン州立大がエリック・パウエルの44ヤードのFGで先取点。南加大は7分50秒にダーノルドが4ヤードを走ってTDを奪い逆転した。

 第2Qは14分55秒、ワシントン州立大がフォークからWRタバリス・マーチンに28ヤードのTDパスを決めて勝ち越すと、南加大は11分37秒にRBロナルド・ジョーンズが86ヤードを独走。次いで9分50秒にチェース・マクグレーズが20ヤードのFGを加えた。

 このまま前半を終えるかにみえたが、ワシントン州立大は残り16秒で、RBジャマル・モローの1ヤードランでTDを返した。

 クオーターごとの得点は少し食い違ったが、前半を終えて17―17というのは南加大にとってこれまでと同じ流れ。

 そして第3Qには互いにFGを交換し20―20で、勝負どころの最終Qを迎えた。

 南加大のペースになるはずだったが、内容は相変わらず互角で、奇妙な勝ちパターンが崩れていった。

 まずワシントン州立大が自陣25ヤードからフォークのパスで前進。12プレー目の10分20秒にフォークからモローへの23ヤードのパスでTDを奪った。

 南加大も25ヤード線からの反撃。5分余りの時間と13プレーを費やした末の5分5秒、ダーノルドが最後の2ヤードを自ら走って27―27の同点とした。

 しかし、残された時間は「奇跡の」どんでん返しに十分とは言えなかった。そしてワシントン州立大の勝利のドライブが実現した。

 25ヤード線からのスタートだったが、自陣42ヤードからの第3ダウン残り4ヤードで、モローが一気に35ヤードを稼ぎ出したのが大きかった。残り1分44秒、パウエルが32ヤード決勝FG成功させた。

 30―27としたワシントン州立大の課題は、1分40秒を残しての南加大の反撃をどうかわすかだった。しかし答えは簡単だった。

 パス不成功の後の第2ダウン、LBジャハド・ウッドがダーノルドに強烈なタックルを浴びせてファンブルを誘った。これをLBのネイト・デリーダーが相手陣18ヤード地点で押さえた。勝利を確定するプレーだった。

 「ハイズマン賞」対決はワシントン州立大のフォークが51本のパスを投げて34本成功、340ヤード2TDを稼ぎ出したのに対し、南加大のダーノルドは29本で成功15本、164ヤード、TDなしの結果に終わった。

 自らのランで2TDを記録したものの内容は完敗だった。

 このほかのランク校対決は大西洋岸リーグ(ACC)で2位クレムソン大が31―17で12位のバージニア工科大を下し、南東リーグ(SEC)では13位オーバーン大が49―10で24位のミシシッピ州立大に大勝した。

 番狂わせはSECのルイジアナ州立大(LSU)の黒星。サンベルト連盟(SBC)のトロイ大に21―24で競り負けた。トロイ大はアラバマ州の州立大。前半を10―0とリードし、LSUを倒した。

 LSUは本拠地ではリーグ外のチームに49連勝していたが、その記録がストップした。

丹生 恭治 にぶ・きょうじ

名前 :丹生 恭治 にぶ・きょうじ

プロフィール:1934年生まれ。関西学院大学卒業後、東京新聞社で運動記者としてスタートし、1962年に共同通信社へ移籍。著書に、中学時代から関学で親しんだアメリカンフットボール生活を描いた「いざいざいざ」がある。甲子園ボウルには高校時代と合わせて6度優勝。

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