メニュー 閉じる メニュー
スポーツ

スポーツ

週刊TURNOVER

共同通信社が運営するアメリカンフットボール専門のウェブマガジン。国内外のフットボールを紹介するベテラン記者のコラムや、国内注目試合の見どころやリポートなどを毎週掲載する。監修は共同通信記者で、NFLの解説者でもある宍戸博昭。

【編集後記】Vol.219

2018.2.2 11:05 宍戸 博昭 ししど・ひろあき
2017年シーズンの関学大とのリーグ戦の後、学生に話しかける立命大の米倉輝前監督=2017年11月19日・万博記念競技場
2017年シーズンの関学大とのリーグ戦の後、学生に話しかける立命大の米倉輝前監督=2017年11月19日・万博記念競技場

 

 人格者だけれど、勝負どころで「非情」になれず勝ちを逃してしまう。人徳はいまひとつだが、勝負に徹して好結果を残す。

 「監督」にはいろいろなタイプがあるが、評価されるのは後者である。たどってきたプロセスも、勝者のそれだけがクローズアップされる。

 

 今シーズン関西学生リーグを制しながら、全日本大学選手権の西日本代表決定戦で敗れて甲子園ボウル出場を果たせなかった立命大が、監督の交代を発表した。

 米倉輝氏が退任し、前任者の古橋由一郎氏が復帰する。

 

 米倉氏といえば、2シーズン前のパナソニックとの日本選手権(ライスボウル)での大人の対応を思い出す。

 第4クオーター、19―22から同点を狙った立命大のFGは失敗。試合はこのスコアのまま終了した。

 

 しかしこの時、相手の守備選手がフィールドに12人いたことが後日判明。審判団から謝罪を受けた米倉氏は、憤るどころか審判へ感謝の言葉を述べて男を上げた。

 

 46歳の米倉氏は、豊富な読書量をうかがわせる独特の言い回しを駆使する。取材する側にとっては「見出しになる、ありがたい話をしてくれる監督」の一人である。

 自分の言葉を持つことは、リーダーとしての重要な資質である。

 

 「従順な選手は、いざというときに萎縮してしまい、大事な場面で使いにくい。むしろ我が強い選手の方が、ここ一番で頼りになる」

 プロ野球の阪急ブレーブスを日本一に導いた故上田利治氏は生前、選手起用についてこう話していた。用兵の要諦を身につけるには、まずはその人間の本質を見抜く眼力が必要になる。

 

 プロとアマチュアの違いはあるが、チームに勝利をもたらす監督とは、「嫌われ役」を買って出る気概と勇気を備えた人物と言えそうだ。

 

 「いいから俺について来い」と、背中でチームを引っ張るタイプの指導者が出にくい時代でもある。

 10年ぶりに「パンサーズ」を率いる53歳の古橋氏は、そうした昔ながらの雰囲気を持った人だと立命大の関係者から聞いたことがある。

 

 日大や京大がそうであるように、立命大も「世代交代」ではなく「原点回帰」に舵を切ったことを示す、今回の監督人事と見る。(編集長・宍戸博昭)

宍戸 博昭 ししど・ひろあき

名前 :宍戸 博昭 ししど・ひろあき

プロフィール:1982年共同通信社入社。運動記者として、アトランタ五輪、テニスのウィンブルドン選手権、ボクシングなどスポーツ全般を取材。日本大学時代、「甲子園ボウル」にディフェンスバック、キックオフ、パントリターナーとして3度出場し、2度優勝。日本学生選抜選出。NHK―BSでNFL解説を20年以上務めている。

最新記事