【詳報】坂本が日本勢初の連覇、世界フィギュア 高橋組は11位発進
2023年03月24日


女子で2連覇を果たした坂本花織のフリー=さいたまスーパーアリーナ
フィギュアスケートの世界選手権第は24日、さいたまスーパーアリーナで行われ、女子はショートプログラム(SP)首位の坂本花織(シスメックス)が合計で今季世界最高をマークし、全種目を通じて日本勢初の2連覇を果たした。三原舞依(シスメックス)は5位だった。渡辺倫果(TOKIOインカラミ・法大)は10位。アイスダンスのリズムダンスで村元哉中、高橋大輔組(関大KFSC)は11位につけた。
◇フィギュアスケート 世界選手権(24日・さいたまスーパーアリーナ ▽女子 ①坂本花織(シスメックス) 224.61点(SP79.24=1,フリー145.37=2) ②李海仁(韓国) 220.94点(SP73.62=2,フリー147.32=1) ③ヘンドリックス(ベルギー) 210.42点(SP71.94=5,フリー138.48=4) ⑤三原舞依(シスメックス) 205.70点(SP73.46=3,フリー132.24=6) ⑩渡辺倫果(TOKIOインカラミ・法大) 192.81点(SP60.90=15,フリー131.91=7)
▽女子 ①坂本花織 224.61点(SP79.24=1,フリー145.37=2) 終盤のフリップとトーループの連続3回転で1本目が1回転になるミス。坂本本人は、たった一つの失敗を重く受け止め、両手で顔を覆い悔し涙を流した。だが、風格あるパフォーマンスは2連覇にふさわしかった。女性ボーカルの力強い歌声を、しっかり受け止める構成。目を奪われるダブルアクセルなど、スケールが大きく流れるようなジャンプ。深いエッジワークと伸びやかなスケーティングで「不屈の心」を演じた。スピンとステップは音楽に溶け込むように舞い、最高難度のレベル4。フリーは2位ながら、演技点ではただ一人3項目とも9点台をマーク、完成度の高さを見せた。
坂本花織の話 (ジャンプのミスで)自分が情けないという気持ちになったが、素早く切り替えることができた。それが結果につながったと思う。来シーズンは、この悔しい思いで苦しまないように、全て完ぺきな演技をできるようにしたい。
▽女子 ②李海仁(韓国) 220.94点(SP73.62=2,フリー147.32=1) 初出場の17歳がフリー1位と躍進した。ジャンプはほぼ完ぺきで、わずかな回転不足が1つあっただけ。最後までスピード感あふれる滑りで「オペラ座の怪人」の世界を披露した。美しいポジションのスピンや観客を引き込むステップも魅力的。今後も日本勢を脅かす存在になりそう。
▽女子 ③ヘンドリックス(ベルギー) 210.42点(SP71.94=5,フリー138.48=4) 昨年2位の実力者で、パワフルでシャープな滑りが持ち味。高い出来栄え点を獲得するジャンプを繰り出していたが、後半の3回転ルッツで転倒。ステップではレベルの取りこぼしもあったものの、SPの貯金が生きて表彰台を確保した。
▽女子 ⑤三原舞依 205.70点(SP73.46=3,フリー132.24=6) グランプリファイナル覇者の三原は後半に失速した。意を決したような表情でリンクに立ち、序盤はダブルアクセルと3回転トーループの連続ジャンプなどをまとめた。しかし、後半になると暗転。3連続ジャンプを狙った1本目の3回転ルッツが回転不足となって着氷でも大きく乱れ、2本目以降が跳べなかった。最後のジャンプを3連続にしたものの、1本目のループが2回転止まり。スピン、ステップはレベル4をそろえたが、得点は伸びなかった。
三原舞依の話 最後の所がもたなくて、すごく弱くなってしまったのが悔しい。もっともっと強くなっていかなければと改めて感じた。また、強くなった姿で戻ってこられるように練習を積みたい。
▽女子 ⑩渡辺倫果 192.81点(SP60.90=15,フリー131.91=7) 上位進出のカギとなる冒頭のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)はSPに続き転倒。その後も3回転フリップの着氷で乱れて片手をつくミスがあり、序盤は苦しんだ。後半はダブルアクセルからの3連続ジャンプを美しくまとめるなど、持ち味を発揮。丁寧に刻んだステップも評価された。演技後は自分を励ますように何度もうなずいた。
渡辺倫果の話 たくさんの応援が力になった。大舞台への初めての挑戦は納得のいくものではなかったが、いい経験になった。この舞台にまた来年、戻ってきたい。
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▽アイスダンス・リズムダンス ⑪村元哉中、高橋大輔(関大KFSC) 72.92点 「ラテン」をテーマにした華やかなプログラムを、エネルギー全開で滑り出した。序盤の難所、連続ターンのツイズルは同調よく、最高難度のレベル4を確保。最後のリフトまで、スピードと切れがあった。しかし、2本のステップはともにレベル2と厳しい評価にとどまった。演技点も3項目とも8点台には乗せたものの、やや伸び悩んだ印象。
村元哉中の話 声援がエネルギーになった。演技の完成度は100%ではなかったが、最初から最後まで自信を持って、とても楽しく滑ることができた。
高橋大輔の話 脚がふわふわしているような緊張感があったが、その緊張すら楽しもうかな、という気持ちで滑った。


アイスダンスRD 演技する村元哉中(右)、高橋大輔組=さいたまスーパーアリーナ