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トヨタが「ミライ」市販 究極のエコカー・燃料電池車 クルマの歴史を変える

 

ターニングポイント

MIRAI

 11月18日に日本科学未来館(東京都江東区)で開いた発表会で、トヨタは「自動車の歴史のターニングポイント(転機)にしよう」と表明した。加藤光久副社長は「日本発の商品として誇りを持って世界中に提供したい」と胸を張った。

 自動車には、ガソリンエンジンで積み重ねた100年以上の歴史がある。トヨタは、燃料電池車を、クルマの歴史を変える大きな技術革新と位置付ける。

 国連などによると2050年に世界人口は約96億人に達する。世界中でエネルギー需要が急速に増え、二酸化炭素(CO2)排出量の増加や大気汚染など環境問題が深刻になる可能性が高い。

 

エネルギー問題への対応

 石油など化石燃料の大半を輸入する日本には、エネルギーの確保も重要課題となる。石油は将来的には枯渇の心配もあり、円安などによる輸入価格の上昇も大きな問題となってきた。

 水素は石油や天然ガス、石炭などの化石燃料から取り出せるほか、下水汚泥など多様な原料から製造できる。水を電気分解してつくることも可能だ。ミライの開発責任者、田中義和氏は「宇宙で一番普遍的にある物質だ」と説明する。

 燃料として使う水素は、現状では石油や天然ガスから取り出すため、製造過程でCO2が発生する。しかし将来は、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーで、水を電気分解して水素をつくることが想定されている。ここまでできれば、CO2をほとんど出さない理想的なエネルギーが完成する。

CO2をほとんど出さない理想的なエネルギー

 

技術をフル投入

MIRAI

 田中氏は「持てる技術をフル投入し、全力で開発を進めてきた」と話す。トヨタの燃料電池システムは容積当たりの出力で世界トップレベルを達成しつつ、セダンの床下にも搭載できるよう小型化した。高圧水素タンクも質量当たりの貯蔵量が世界トップレベルだ。

 2000年ごろ「1台1億円」ともされた燃料電池車だが、低コスト化を進め、ミライは723万6千円という価格を実現した。政府の補助金を受けると約520万円と、高級車「クラウン」程度の負担で購入できる。トヨタは「エコカーは普及してこそ環境に貢献できる」と強調。同クラスのハイブリッド車(HV)並みの価格を目指して開発を進めている。

 

運転の楽しさ

 トヨタは運転の楽しさも訴える。発表会では、冒頭にサーキットを駆けぬける映像が映し出された。雨の中を横滑りしながら走る様子は、燃費性能を何よりも重視してきた従来のエコカーとは一線を画している。

 燃料電池車はモーターで走行するため、エンジン車と比べアクセル操作に対する反応が鋭く、加速も力強い。重い燃料電池システムを床下に納めるため重心が低く、カーブも安定して走れる。すでにミライをベースにしたラリーカーを製作し、11月に愛知県で開かれた自動車競技「新城ラリー」で披露した。レース出場経験の豊富な豊田章男社長がハンドルを握り、自ら走りの良さをアピールした。

 加藤副社長は「燃費だけが良くて我慢して乗るというのは豊田社長も私も耐えられない。ワクワクドキドキする車に仕上がった」と強調した。