高木公康院長
高木歯科クリニック(熊本県菊池市)は、水曜と土曜の午後は休診(従業員は4時間勤務)、毎月15日前後に翌月の勤務シフトを決める―という原則を守ってきた。
そのため、火曜が休日だと水曜に予約が集中して時間外勤務が長くなり、シフト作成以降は勤務を変えにくいなど、柔軟な診療態勢が取れなかった。
高木公康院長はこうした状況について「本来の事業の目的である患者さまのための医療に支障を来し、労働時間が長くなることに従業員も不満を持っている」と考え、熊本働き方改革推進支援センターに依頼した。
その結果、曜日を固定して診療日・診療時間を設定することをやめ、診療日と勤務時間を1カ月単位で柔軟に決めるスタイルに改めることにした。
「勤怠管理システム」の導入に先駆けて開かれた説明会=10月
具体策として、タイムカードを廃止する一方で、従業員が8人という小規模な同クリニックでも負担の軽い「勤怠管理システム」を今秋導入。勤務時間や残業時間がリアルタイムで管理ができ、年休取得や休日についても、労使双方からスマホでも簡単に把握できるようになった。
年次有給休暇5日取得の義務化に伴い、計画的な年休付与制度も導入。さらにボランティア休暇も採り入れた。
労働時間を弾力的に運用する「変形労働時間制」や計画年休の導入に先立ち、高木院長が説明会を開いて従業員とコミュニケーションを図った。
取り組みのポイントは①変形労働時間制の労使双方の理解を深めること②シフト作成では、使用者側が診療日を設定し労働者側に事前通知する手順を理解すること③計画年休は、労使の話し合いが必要であること④「時間単位年休」および「ボランティア休暇」導入では、制度の違いと手順などについて丁寧な説明が必要であること。これらのことを具体化していくために勤怠管理システムを導入することに全員が協力すること、などを説明した。意欲的な取り組みによって成果も上がり、今後の新たな目標となった時間外勤務の半減に取り組むことができるのではないか。