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次世代の伴奏者 MONEXな人々「バトンにつなぎ100年企業へ」マネックス証券 代表取締役社長 清明祐子氏 インタビュー

 今春、マネックス証券社長だった松本大(まつもと・おおき)さんの後任に就いた清明祐子(せいめい・ゆうこ)さん。金融業界での女性トップ就任に注目が集まった。清明さんは自分の役割について「松本からバトンが渡され、そのバトンを次につなげるような形で、この会社を100年企業にしていきたい」と語る。松本さんが“これからの時代にあった「一歩先の未来の金融」を創造する”という理念を掲げ、ネット専業証券を創設してから4月で20年。「変えるところは変えるが、変えてはいけないところは変えない」と強調する新社長がマネックス証券の「次」を語った。

普段の仕事の中で

普段の仕事の中で

 今回の社長就任にあたって、「松本から、どのような場で、どのような言葉で依頼を受けたのか」という質問をあちこちでされました。こういう所で、こんな感じで、という回答があれば美しいのですが、実のところとても自然な感じでした。執務フロアの一角にある社内打ち合わせ用の部屋でした。松本とよく話をする部屋で、3月下旬、そこで色々打ち合わせをしている、普段の仕事の中で、「(社長就任)どう?」っていうお話があっただけです。

 私自身はマネックスグループの企画全般を見ていたのと、グループ会社のマネックス証券でも昨年から副社長に就いていました。グループ側とマネックス証券側とのオフィス執務スペースは違うのですが、両方にそれぞれ席を持っており、両方それぞれ松本の隣席でした。そのような関係で、オープンフロアでよくお話しもしていましたし、込み入った話は打ち合わせ用の部屋でしていました。ですので、みなさんが想像される、厳かな雰囲気で松本に呼び出され、「清明さん!」と言われたわけではありません。

 就任依頼については即答をせず、しばらく考えました。私は証券業界が長いわけではなく、どちらかというと投資銀行の仕事が長かった。個人向けのインターネット証券に知見があるわけでもなく、社長就任は「ちょっと私には畏れ多い」という思いでした。しかも、創業者の松本の後任となりますと、余計に畏れ多かったので、「引き受けます」とすぐには言えませんでした。

 でも、人の人生よりも、会社の寿命のほうが長いものです。どんな会社でも100年、200年企業になるためには、必ずどこかのタイミングで誰から誰かへの承継が発生するわけです。そう考えると、私としては今回の社長就任の依頼は、難しいこともあるかもしれないけれど、お受けして、できるだけ次につなげるような形で、100年企業にしていくという、そんなことをやっていかないといけないと思い至り、引き受けることにしました。

 実は今回、「女性で41歳」ということで結構、話題になったようで、いろいろな記事で書いていただきました。ただ、マネックスでは、年齢とか性別とか、それらを意識して働いたことがなかったため、そこが話題になって逆に驚いた、というのが正直な感想でした。

私たちのマネックス

私たちのマネックス

 創業社長の松本からバトンを受けたわけですが、これまでの経営路線の何を変えないのか、また、逆に自分らしく何を変えていこうか、についてお話します。まず、変えてはいけない、変えたくないものは、マネックス証券のすべての社員が、“われわれは「一歩先の未来の金融」を掲げ、お客さまのためにどういった商品をご提供できるのか”、というものを常に考えていくことです。もともとそのビジョンを基にこの会社がつくられており、同じことを松本がずっと言い続けています。そのパッション(情熱)はまったく冷めず、「お客さまのために最善のものは何か」―一人一人が考える、そういう会社であり続けます。

 「マネックスってどういう会社?」と聞かれたときに、多くの社員はおそらく、次のように答えるでしょう。「個人投資家のみなさまのために『一歩先の未来の金融』」を提供したい。具体的には、最先端技術を取り入れながら、より良く、より上手く投資ができて、より結果を出していただく、それらの部分をサポートしたいです」と、言葉は違えども、恐らく同じような説明をすると思います。

 これは、弊社の強みの一つだと考えます。われわれはB to C(企業・消費者間取引)で、個人投資家をお客さまとしてビジネスを展開しています。「お客さま第一」は、お客さまに何が提供できるかを常に考えることです。そのような哲学というか思想は、基礎として変わらず大切にしていきます。

 「マネックスといえば松本」という強いイメージがあると思います。そこはとてもよいことですが、企業というものはもっと長く、もっと繁栄させていこうと思うと、松本だけを見るのではなくて、一人一人が自分の仕事を考え、そして自分たちがお客さまに接しているのだと自覚し、「こういうことをやったらいいのでは」というアイディアを出し合って、それをよりスピーディーに提供していく。言ってみれば、松本大のマネックスというところから、「私たちのマネックス」をつくっていく。さらに次ぎの世代をつくっていくことが私の仕事だろうと、考えています。

新たな1年

新たな1年

 マネックス証券は4月5日に20周年を迎えました。そのタイミングで私が社長就任し、かつグループ会社で仮想通貨を扱うコインチェックが1月に仮想通貨交換業者の登録を取りました。年度でいいますと、20周年ですが、私の中では新たな1年目のスタートだと思っています。

 マネックス証券とコインチェックとの連携ですが、第一弾として、マネックスポイントを仮想通貨に交換できるというサービスを始めました。グループ内の連携をどんどんやっていきたいですね。20年前にネット証券ができた時はとても新鮮でした。株式の投資は、個人からするとハードルが高いという感じだったと思うのですが、ネット証券ができて、そこの垣根がどんどん下がっていきました。証券投資が一般化されていったといえます。

 マネックス証券としての強みはいろいろあります。創業以来、多くのツールをずっとお客さまにご提供しています。直近ですと、一番ヒットしているのが「銘柄スカウター」という、銘柄選びをお手伝いするツールです。また、「俺の投資力診断」といって、自分の投資の状況が他者と比べてどの位置にあるのか、比べられるようなツールもあります。

 投資教育にも力を入れています。この20年間もずっとお客さまのために、セミナーを年間200回ぐらい、オンラインを含め開催しています。全国投資セミナーを津々浦々で開き、お客さまと直接会う機会をもち、いろいろご意見いただいいます。お客さまのそばにいながら、ご利用いただけるようなツールなどを提供してきている、という強みはすごくあると思っております。

三つのアドバイス

三つのアドバイス

 会社も人も、これが正しいってないですよね。「この人が一番すごい!」というのは、ないと思います。評価の基準はいろいろあり、それこそ、いろんな人がいろんな個性を持っていて、違いがないと会社も良くならないと考えています。他人と比べるのではなく、自分は自分であるという認識を持つこと。女性であるとか、年齢がどうだとか、そのようなことを意識しなくてもいい時代はもう来ている、と思っています。弊社でも新入社員には、性別関係なく、常に三つのことをアドバイスしています。

 一つ目は、給料をもらっているのは会社からではなく、お客さまからです、ということ。弊社もお客さまから手数料をいただいて、成り立っている会社で、そこから社員の給料が出ているわけです。お客さまがどこにいるのか、何を欲しがっているのかという、それを一番大切に考えないといけない。頭が良ければよいとか、仕事の処理が早ければ良いではなくて、お客さまから支持をしていただかないと、私達の仕事は続きません。

 二つ目が、「とりあえずやってみるって重要だ」ということ。私は人間って最初からできる人はいなくて、能力にはそんなに差がないと思っています。ずっと、「どうしよう、こうしよう」と考えて着手できない人より、やってみて失敗する人の方が学びは多いからです。量をこなしていると質がついてくるはずです。

 例えば、女性、男性とかでいうと、「女性だからなかなか営業というのはしんどいかもしれないけど」みたいな世界はあります。でもそんなことを気にせずに、やってみたら全然違う世界ってありますよね。

 私も実際に営業をやっていた頃、お客さまから「次の担当者は女性なの?」と、言われたこともありました。でも気にせず会い続けると支持してもらえるようになったんです。やってみることで見える世界って絶対ありますので、「悩んでいるなら、やってみた方がいいよ」と助言します。もちろん、やってみても取引先から理不尽なことを言われる場合もあります。しかし、それもやってみなければ、見えなかった世界なわけであり、「まずはやってみたらいいよ」精神を大切にせよ、ですね。

三つのアドバイス

 最後は、「会社はチームである」ということを言っています。自己実現だけを求めたければたぶん会社に入らずに、自分でやりたいことをやっていけばよいのかもしれません。しかし、会社はみんなで、それこそダイバーシティで、いろいろ違う力を掛け合わせることで大きなものを作り上げていく、というものだと考えます。

 逆に自己実現したもので何かプラスになったものは、他人に分け与えるということ、自分が足りないものは遠慮なく、人から借りるということ、そうやってみんなで大きくなっていかないと会社は大きくならないという話をしています。チームが、一人一人のお客さまから支持いただけるかどうか、が重要なのです。

 やってみて失敗することもあるかもしれません。しかし、必ず一生懸命やっていたら、チームなのですから、誰かが見ているわけです。決して1人ではないのです。この三つをずっと信じて私は今まで、社会人として仕事を続けることができました。それらを先輩たちから教えられてきたから、ここまで来ることができた、と思っています。

 誰に何を言われても、そんなことを気にせず、まずはやってみた方がいいのです。その取り組みは、チームの誰かが必ず見てくれているはずですから。

清明 祐子

清明 祐子(せいめい ゆうこ)

マネックス証券株式会社 代表取締役社長

<兼務>
マネックスグループ株式会社 常務執行役
TradeStation, Group Inc. Director

<Profile>
2001年京都大学経済学部卒業後、株式会社三和銀行(現株式会社三菱UFJ銀行)入行。法人営業およびストラクチャードファイナンスに従事。2006年12月に株式会社MKSパートナーズ(プライベートエクイティファンド)に参画し、バイアウト投資にかかる実務を経験するとともに、ポスト・マージャー・マネジメント及び投資先EXIT活動に携わる。
2009年マネックス・ハンブレクト株式会社(現マネックス証券株式会社)入社、2011年に同社代表取締役社長に就任。2013年にグループ本社に転籍し、マネックスグループ株式会社執行役員に就任した後、2016年マネックスグループ株式会社執行役、2017年マネックス証券株式会社執行役員を経て2018年4月より常務執行役。グループの企画(新事業企画推進、M&A/資本業務提携等)、日本セグメント(マネックス証券株式会社等)を担当。同時にマネックス証券株式会社 副社長執行役員に就任。2019年4月より現職。

マネックス証券株式会社

マネックス証券株式会社

マネックス証券株式会社は、1999年4月に松本大とソニー株式会社との共同出資で設立されました。現在は、日本、米国、香港に個人向けを中心とするオンライン証券子会社を持つ持株会社マネックスグループ株式会社の主力事業として機能しています。口座開設をはじめ、日本株、米国株、投資信託、債券、FX、NISA、iDeCoなどの金融商品の取引をオンライン上で完結するサービスを提供しており、昨今ではレポートやロボアドバイザー、ラップ(投資一任)サービスなど、AIやフィンテックを活用した先進的なサービスの提供も進めています。
社名のMONEXは、MONEYのYをひとつ前に出して、「未来のMONEY。次世代におけるお金との付き合い方をデザインして、お客様に提供していこう。」という意味が込められています。総合オンライン証券として個人投資家へ世界最高水準の金融サービスを提供することを目指しています。

マネックス証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第165号
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