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次世代の伴奏者 MONEXな人々「無理せず、長くやることが成功への道」マネックス証券  代表取締役社長  松本大氏 インタビュー

 米中貿易摩擦、イギリスの欧州連合(EU)離脱、厚生労働省による毎月勤労統計の不正調査など国内外で問題が噴出している。「将来への不安」をかき立てる出来事に接し、人々は今の時代の不確実性を認識せざるを得ない。そんな状況の中で、個人の力で「将来への安心」につなげる一つの方法は、資産運用だろう。資産運用に関心のある初心者から上級者までを集めたイベント『資産運用EXPO』が今年1月、都内で開かれ、松本大マネック証券社長が「どう考える!2019年の資産運用~株式投資から債券投資まで~」と題して講演を行った。成功への道は「無理せず、長くやること」という、意外にもシンプルな原則であった。

日本が最初の実験台になる

日本が最初の実験台になる

 世の中には、資産運用をしている人がいる一方、していない方も大勢いらっしゃいます。そもそも、なぜ、資産運用をするのでしょうか。
 たとえば、公的年金を考えてください。年金は国から払われるというイメージですよね。国が年金を払ってくれるのであれば、自分は別に資産運用をしなくてもいいのでは、と考えている方が多いと思います。資産運用ではなく、普通に貯金をしておけばいい、という判断をする訳です。
 ただ、実際には年金制度というものが将来に向けて、安定的なのかどうかということは、まだ分からないのです。年金という仕組みは第2次世界大戦後に導入された制度で、いまだに世界中で歴史上、一度たりとも年金という仕組みが機能するのかどうかが確認されたことはないからです。
 日本の年金制度が、世界で最初の実験台になっています。年金の仕組みが、どこまで安定的なのかどうかということがよく分からないということが資産運用を考えなければいけない一つの理由です。
 もう一つは、インフレーション(インフレ)の到来に備えるためです。世界の歴史をひもとけば、大体の期間はデフレーション(デフレ)の状態であり、あまりインフレは起きていません。デフレに比べ、起きる頻度の低いインフレですが、それが発生したときのインフレ率の幅はとても大きいということも分かっています。
 デフレは期間が長いものの、下げ幅は小さい。これに対し、期間は短いのですが、インフレの局面に入ると一気にインフレ率が高くなってしまう。ですから、インフレが起きた時に備え、株式や不動産といった、〝インフレ対策資産〟で投資をしておかないと、一気に比較的貧乏になってしまう可能性があります。

他人は増えても自分は…

他人は増えても自分は…

 外国為替市場での円安の進行についても、注意しておく必要があります。円安がどんどん進んでしまうと、休暇で静岡県の熱海の温泉には行くことができても、ヨーロッパやアメリカに行くことは難しくなってしまいます。
 インフレや急激な円安といった経済事象が起きた時、年金制度も不安定な中、個人でしっかりと運用しておかないと比較的貧乏になってしまうでしょう。だから、資産運用は必要だと強調したいのです。資産運用をしなければ、他人の資産は増えているのに自分は増えない、ということが起きてしまいます。
 次に、今、注目すべき経済事象をみてみたいと思います。2008年のリーマン・ショック以降、特に顕著に観測されていることは、世界中の中央銀行がせっせせっせと金融緩和をしていることです。アメリカは金利を上げ始めていますが、金融緩和が終わったわけではありません。
 世界中ですごい勢いで、中央銀行がリーマン・ショック後、金融緩和、要するにマネー(お金)をいっぱい刷っています。お金をいっぱい刷った結果、株価が上がりました。
 これは企業の仕組みを考えると、理解できます。企業がリーマン・ショックで体力を落としたとして、それを助けるために国がお金をばらまいたわけです。ばらまかれたお金はまず、企業が従業員に支払う給料に使われたり、企業の借金の返済に充てられたりしました。
 ただ、ばらまかれたお金の量というのは、正確な額は分からないのですが、ある程度多めにばらまくと、そのお金が給料や借金返済などに使われた後、その残ったお金が株主のものになります。
 つまり、中央銀行による金融緩和が行われると、企業の資本構成(キャピタル・ストラクチャー)が次のようになります。企業が給料や借金返済など必要なものに使った後、残ったお金の大半が、企業の資本構成の一番下にある、「株式」の部分に行くため、その結果、株価が上がるのです。
 ですから、自国経済を守るため金融緩和が実施されると、実際は多めにお金が使われるので、そのお金がポタポタと、株主のところに回っていく、といった仕組みが観測されています。経済危機などがあって、その対策として金融緩和が行われるたびに、最終的に株主がもうかる、そういった構造が見えています。

退場しないことが重要

退場しないことが重要

 資産運用において、分散投資をすることが何よりも大切です。もちろん、分散投資をすると一番もうかるものだけを買っているのに比べれば、リターンは下がります。ただ、資産運用というのは、うまいこと値上がるものを見つけて「もうける」ということではありません。
 先ほど申し上げたように、国が金融緩和を実行すれば、最終的には株価が上がるという現象が起きる、などマクロ的な社会情勢を理解して資産運用を長い期間やっていれば、自分の金融資産を増やすことができるはずです。そのように考えると、大損をして資産運用ができなくなってしまう事態は避けなければいけません。すなわち、資産運用という場から、退場しないことがすごく重要であり、そのためには分散投資が大切になってくるわけです。
 では、分散投資とは何を分散するのか。二つのことを分散します。一つは投資する「対象」、もう一つは投資する「タイミング」です。投資する対象としては、株式だけではなく、債券、円だけではなく、ドル建ての商品などです。それらの投資対象を分散するということが重要なのです。
 投資のタイミングを分散することもとても大切です。リーマン・ショックが起きた時によく、「100年に一回のリスク」と言われました。多くの専門家が「100年に一回のリスク」だと言っていました。
 ところが実際に株式のチャートを見ると、100年に一度ではないのです。相場が大きく落ちるのは、おおよそ10年に一回ぐらいです。株式チャートで判断する限り、例えばアメリカ株だけみても、必ず株価が戻ってきています。
 株価は、あの米国の大恐慌の時も、リーマン・ショックの時も戻っているのです。背景にあるのは、何か。株価が落ちるようなことが起きたら、国は借金をして、納税者のお金を使いながらも、企業を守るためとして、結果として株価が戻るのです。
 そう考えると、「100年に一度のリスク」ではなかった、結果からすれば、10年に一回のチャンスがやってきたということになります。最近でいうと、東京証券取引所の大発会(1月4日)では、いろいろな理由からどんどん株が売られ、日経平均株価(225種)が下落しました。
 しかし、それはもしかしたら、すごい買い場だったかもしれないのです。過去は未来を予想しないので、過去のチャートがそうだったから、未来も必ずそうなるとは言えないのですけれど。
 ただ、買い場だったかもしれないという判断は、先ほどから述べているように理由があるのです。国が金融緩和を実施しているからです。そのように考えると、ちゃんと株価が落ちた時に買えることが、とても重要になってきます。目いっぱい投資をしてしまっていると、株価が落ちた時に指をくわえて見ているしかありません。それこそ、レバレッジ信用取引などでレバレッジがかかっていると、落ちた時に売らなければいけなくなります。ゲームのカジノの退場のように、負けて終わってしまいます。

レバレッジをかけない

レバレッジをかけない

 では、負けて終わらないためには何が求められるか。まずはレバレッジをかけないことです。もう一つは株価が下がった時に、それをチャンスと捉え、投資をすることを可能にしておくことです。
 どうするかというと、投資できるお金を用意しておくのです。このほか、株式だけではなく、債券などに投資をしておくことによって、株価が下がった時は債券を売って株を買うとか、チャンスが発生した時にいつでも取りにいけるようにしておくこと、そして、何度でも言いますが、退場しなくていいようにしておくことが大切だと思います。
 次に投資する対象についてです。投資される方で、どの株が面白いのかなど個別株の話題になりがちですが、戦後74年間の歴史をひもとくと、アセットアロケーション(資産配分)、つまり投資する株と債券の比率をどうするか、日本円と米ドルの比率をどうするかなど、資産クラスの配分を上手くやったかどうかが投資成績の75%を決めるということが分かっています。
 日本株のなかで、よい銘柄を当てることよりも、そもそも日本株に何パーセント投資をするかということをしっかり当てることのほうが投資成績には圧倒的に大きい影響を与えるのです。
 ところが一般的には、アセットアロケーションを考えることにあまり時間を使わず、個別株の銘柄選定に時間を使ってしまいます。できれば、個人投資家としてのエネルギーの75%に資産配分を考える時間に使い、残りの25%で銘柄選びをするべきです。とにかく、このアセットアロケーションが長い目で見ると、とにかく大切であると強調しておきます。

レバレッジをかけない

 では、具体的にどうすればいいのか。以下のような考え方で、投資用のマトリックスを作られたらいいのです。株式、債券、円、ドルを2×2の四つのマス目を持つマトリックスに合わせて、アセットアロケーションしましょう。その上で銘柄の選定をするのです。
 そして1年に一回とか、半年に一回とか、その成績を点検しましょう。例えば、四つのマス目の中を50、50、50、50と配分する。つまり、株式、債券の比率を各50%ずつ、円、ドルの比率も各50%ずつ配分すると、四つのマス目全体でみると25%ずつ投資するという表が出来ます。それを元に、円株、米株、円の債券、ドルの債券などに25%ずつ割り振って投資をしてください。
 この通りに運用をすると、仮に株が値上がると、日本株、米国株が30%に上がったり、債券側が25%から20%に減ったりします。投資前に考えたそれぞれのマス目のパーセンテージよりも、もうかったところの数字は当然高くなります。そこを1年に一回点検し、元のパーセンテージに合うように調整する(利益確定の売りをするとか、数字が小さくなってしまったところに追加投資するなど)、いわゆるポートフォリオのリバランスをやるといい、と思います。

 最後に繰り返しお伝えします。アセットアロケーション、そして退場しないで続けられることーこれが何より重要です。
 世界の構造をマクロ的にみれば、国の借金が増える反対側で、ちゃんと資産運用をしている個人の資産が増えるようになっている。それは鏡のようです。しっかりと利益を享受するためには、長い期間、資産運用を続けられることです。そして、考えながら分散投資をして、退場にならないようにしましょう。
 先行きを心配するよりも、世界の国々は株価をしっかりと安定的に少しずつ上げていく方向にあると考えています。株式に対する投資というものは今後も、そのシナリオが変わらない限り、前向きに考えてもいいのです。長くやることが成功の秘訣(ひけつ)です。無理をせず、長く資産運用をしていただければ、と思います。

松本 大

松本 大(まつもと おおき)

マネックスグループ株式会社 代表執行役社長CEO 兼 マネックス証券株式会社 代表取締役社長
1963年埼玉県生まれ。1987年東京大学法学部卒業後、ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資でマネックス証券株式会社を設立。2004年にはマネックスグループ株式会社を設立し、以来CEOを務める。マネックスグループは、個人向けを中心とするオンライン証券子会社であるマネックス証券(日本)、TradeStation証券(米国)・マネックスBOOM証券(香港)などを有するグローバルなオンライン金融グループである。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカード、株式会社ユーザベースの社外取締役も務める

マネックス証券株式会社

マネックス証券株式会社

マネックス証券株式会社は、1999年4月に松本大とソニー株式会社との共同出資で設立されました。現在は、日本、米国、香港に個人向けを中心とするオンライン証券子会社を持つ持株会社マネックスグループ株式会社の主力事業として機能しています。口座開設をはじめ、日本株、米国株、投資信託、債券、FX、NISA、iDeCoなどの金融商品の取引をオンライン上で完結するサービスを提供しており、昨今ではレポートやロボアドバイザー、ラップ(投資一任)サービスなど、AIやフィンテックを活用した先進的なサービスの提供も進めています。
社名のMONEXは、MONEYのYをひとつ前に出して、「未来のMONEY。次世代におけるお金との付き合い方をデザインして、お客様に提供していこう。」という意味が込められています。総合オンライン証券として個人投資家へ世界最高水準の金融サービスを提供することを目指しています。

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