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47NEWS

次世代の伴奏者 MONEXな人々「“闘う哲学者”かく語りき」 プロボクサー  村田諒太選手 インタビュー

 10月20日(日本時間21日)米ネバダ州ラスベガスで、世界ボクシング協会(WBA)ミドル級王者 村田諒太選手は、同級2位のロブ・ブランド選手(米国)を相手に2度目の防衛戦を行う。スポーツファンのみならず、多くの日本人が注目する一戦だ。調整期間に入っている9月上旬、“闘う哲学者”との異名を持つ村田選手が、ラスベガスでの試合への意気込みやお金との付き合い方について語ってくれた。

ボクシングへの恩返し

今回の試合への意気込みは

【今回の試合への意気込みは】

 ラスベガスでは2回試合をしていますが、興行のメインが僕ではなく、メインである他の選手のタイトルマッチの大会に参加させてもらう形でした。今回は、自分がメインの試合です。これを実現させて初めて、ラスベガスで試合をやったと言えるようになれるのかもしれません。

 対戦相手のロブ・ブラント選手は、ボクシングの技術やスピード、パワーなどが非常にまとまっており、良い選手だと感じます。ブラント選手は、WBAの指名挑戦者として選ばれた選手です。この試合に勝つことができれば、彼の上にいるスーパーチャンピオンと闘うチャンスも出てくると思うので、そのためにも今回は良い試合内容でアピールしたいです。

 ラスベガスでの試合をクリアすることができれば、という仮定の話ですが、僕の中では一つの実現目標として日本で試合を行うことを考えています。スーパーチャンピオンとの試合を東京などの大きな会場でできれば、日本のボクシングに貢献できると思いますし、これまでにボクシングから受けた恩恵を返すチャンスかと思っています。目標への道が切り開かれると思いますので、10月の試合は本当に大事なものになります。

退路はない

一番大切なものは

【一番大切なものは】

 僕にとって一番大切なものは、家族です。家族を持つまでは、一人の選手として何を大切にしてきたのか…。特にこれという考えがあったかというと、ないですね。自分が一番強いと周囲に思ってもらいたいという気持ちが中学生のときに芽生え、その考えが大きかったと思います。結婚し子どもができたことで少しは成長したかな、という気がします。それまでは「自分が、自分が」という自己中心的な気持ちで生きてきたのですが、結婚し子どもができるとそうではなく、子どもために家族のためにという気持ちが強くなりました。そのときに、僕は初めて大人になれたような気がしましたね。

 僕の中では、目標というのは常に変わります。例えばアマチュアのときにオリンピックの金メダルという目標を立てましたけれど、それが達成されたときに、次はプロに行こうという気になりました。世界チャンピオンになったら、もっと大きな試合をやりたいという気持になりましたし、なんか階段みたいなものを昇っていくのだと思っています。
これまでの人生を振り返ると、すごく運が良いなと感じ、感謝しています。周りの方がいてくれて、良い環境を整えていたから、前に進めていると思います。応援していただくことが大事です。

【心が折れることはあったか】

 これまでを振り返り、いろいろな葛藤はありましたが、心が折れてしまうことはなかったと思います。オリンピックが終わってプロになるときは、大学の職員だったのですが、大学職員を辞めてプロに行った時点で退路はありませんでした。今さら大学の職員に戻りたい、なんて言えない状況でした。正直、いろんなことが嫌になったときでも、自分の中で退路がないと考えていたので、心が折れてしまうことがなかったのだと思います。

 理由の一つに、ボクシングが好きだったというのはありました。これは後から考えたことですが、目標じゃなく目的になるところはあります。例えば、目標ですと、1つの目標をクリアしたらまた次の目標をという流れになります。一方、目的というと、目標より大まかな気がします。例えば、ボクシングに貢献していきたいとか、社会的に貢献したいなとか思ったときに、いろんな道が開かれるじゃないですか。そういう目的をもっていれば、いろんなことに波及していくというか、ボクシングに貢献したいという気持ちがあるので、まだまだ進んでいけるという気はします。

厳しいスポーツだが、リスクをどう考える

【厳しいスポーツだが、リスクをどう考える】

 僕がいなくなってしまい家族に迷惑をかけたくない、という思いは当然あります。ただし、ボクシングが職業なので、少し感覚としては麻痺しているところもあるのかもしれませんが、現状から逃げ出そうっていう気持ちはありません。次のラスベガスの試合も決まっており、そこで勝てばまた大きな試合が待っているので、そのレールがある以上はやっぱり走り続けられると思います。僕は同じ気持ちをずっと持ち続け同じモチベーションの下でやってきた、と言えるタイプではないのであまり参考にならないでしょう。

【ボクシング以外の人生は?】

 父親の生き方を見ていると、僕と父親の状況でどっちが幸せだろうと考えます。父親は社会福祉系の障害者施設でずっと働いていて、そこで障害者の方に本当に愛されています。仕事にやりがいを見つけて、特別大きなお金を稼ぐわけではないけれど、仕事が終わって自宅に帰ってきて家族と一緒に酒でも飲んで、という生き方を見ていると幸せそうだなと感じます。父親が自分の歩んでいる道より上とか下だとは思わないし、充実していると思います。

 事業家では、ナイキのフィル・ナイトさんの人生に興味があります。フィル・ナイトさんの自伝「SHOE DOG」(東洋経済新報社)を読み、非常に物語性があって運命的で、ああいう人生を歩めたら良いなと思います。いろいろな奇跡と出会わないと、今のナイキという会社はなかったのですよね。お金を貸してくれるところがあったり、日本の商社が支援してくれたり、一つでもボタンの掛け違いがあったら今のナイキは存在していなかったわけです。この物語を読んでいると、すごい良い人生だなって思うと同時に、ちょっとしんどい人生かなとも思いました。

投資には興味は

【投資には興味は】

 特に我々アスリートは、稼げる時期というのが非常に限られ、短期間になります。そのときに生んだお金をどう扱うかというのは、重要なことだと思っています。僕自身は最近になってやっと運用を始めています。ただ、何が我々アスリートにとって心配かというと、運用を始めると競技に集中できなくなる可能性があるのです。そういったことがないよう、アスリートは、良いパートナーを求めていると思います。資産運用をする際に信頼できる人、会社に預けて、競技には集中することが大切ですね。そういうパートナーがアスリートには必要だと思います。

 資産運用、お金を元にお金を増やすというと、ちょっとがめついようなイメージがあるのですが、そうじゃなくて、こういう面白い会社があってそこに少し投資してみて、一緒に育てていこうという気持ちになることができれば、資産運用に対するマイナスなイメージがなくなるかもしれません。投資は、ポジティブな社会貢献の一つとして考えられるのでは、と思います。そう見方を変えると、投資への興味が湧いてきます。

【資産運用の意義】

 大切な人のために資産運用を行い、社会貢献という目的意識を持つことができれば、投資に一歩踏み出す勇気みたいなのが出てきます。欲張っちゃうと、どうしようこうしようってあせってしまいますが。投資が社会貢献の一つだと思えたときに、一時的に損をしたとしても、自分を納得させることができるかもしれません。投資という考えを少し変えてみると、違う世界が見えてくると思います。

 自分のお金を使って資産運用しそこで得たお金をまた違うところで回していくことができれば、すごく良いことだと思います。ストレスのない範囲で、信頼できるパートナーとともにやっていければ良いと思います。もちろん、ある程度の余裕がないと投資はできませんが。

生きる上で重要なこと

読書の意義

【読書の意義】

 必要であれば読みたいという環境に置かれているというか、必要だと思えば読み始めるので、そんなにあせらなくても良いと思います。でもうちの奥さんが本を読んでいる時間が十分にあるかというと、そうではないですし、仕事もあります。なかなか本を読んで勉強する時間はないと思いますけど、時間があるとき時間を作って、本を読むと何かしら新しい発見があると思います。
 最近、本の読み方で良いと思ったのは、自分で選ぶと偏っちゃうのです。だから、本を読む仲間とか出版社の人から「こんなのを読んで面白かったですよ」と言われた本が結構、自分にとっても面白かったりします。本を読む仲間が周りにいれば、本を読む機会も増えるのではないか、と思います。読書から得られる知識は、ボクサーの僕にとっても、非常に助けになっています。

【感銘を受けた本】

 いろいろと挙げたいのですが、ナチスの強制収容所の経験を基にした精神科医フランクルの「夜と霧」(ヴィクトール・フランクル、みすず書房)ですね。その本の中で興味深い話があります。テヘランの死神という話です。
 テヘランの死神ってどういう話なのかというと、ある裕福なペルシャ人が砂漠を召使いと歩いていて、そのときに急に召使いがおびえてこう言うのです。「ご主人さま、さっき死神に会ったから、僕は逃げなきゃいけません」と。それを聞いた主人は、ウマを召使に与えるのです。そして、その召使いはテヘランへ逃げるのです。しばらくしてから、主人が砂漠を歩いていると、死神に会いました。主人は死神に「なんで俺の召使いを脅したりするのだ」というのです。すると、死神は「脅すなんてとんでもない、驚いたのはこっちのほうだ」と、「召使いとは今夜、テヘランで会う予定だったのだ」と。要するに逃げようが何しようが、人生は決まっているのだという、そういう示唆を与えてくれる物語だと理解しています。

感銘を受けた本

 僕の中には、ある種運命的なものを受け入れる心構えがあると思います。自分の人生はもしかしたら決まっているのではないかと。だからといって、ニヒリズム(虚無主義)に陥ってはいけないと思います。運命的な人生を受け入れた上で、自分に何ができるかっていうところが大切だと考えます。そういう考え方もフランクルの思想の根底にあると思いますね。こういう話は、少しネガティブに聞こえるとは思います。ただ、見方を変えると、ネガティブではなく、とても現実的なものではないか、と考えます。テヘランの死神のような、自分の運命を認めながらも、その中でどう生きるか。運命からの問いかけがあって、それに自分がどう応えていくのかーこの精神こそが、自分が生きる上で重要だと思います。

以 上

村田 諒太

村田 諒太(むらた りょうた)

中学時代にボクシングを始める。
南京都高校(現:京都廣学館高等学校)で、高校5冠を達成。2004年に東洋大学に進学し、全日本選手権で優勝。
北京オリンピック出場を逃し、現役を一度引退。
2009年 現役復帰後、2011年世界アマチュアボクシング選手権 準優勝。
2012年ロンドンオリンピック ボクシングミドル級 金メダル。
2013年4月プロテストを受け、特例でA級ライセンスを取得。
同年8月25日にプロデビュー戦で東洋太平洋ミドル級チャンピオンを2R TKOで破り、鮮烈なデビューを飾る。
その後、連勝を重ね2017年10月念願の世界王座獲得、そして2018年4月日本人初となる防衛に成功。

マネックス証券株式会社

マネックス証券株式会社

マネックス証券株式会社は、1999年4月に松本大とソニー株式会社との共同出資で設立されました。現在は、日本、米国、香港に個人向けを中心とするオンライン証券子会社を持つ持株会社マネックスグループ株式会社の主力事業として機能しています。口座開設をはじめ、日本株、米国株、投資信託、債券、FX、NISA、iDeCoなどの金融商品の取引をオンライン上で完結するサービスを提供しており、昨今ではレポートやロボアドバイザー、ラップ(投資一任)サービスなど、AIやフィンテックを活用した先進的なサービスの提供も進めています。
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