メニュー 閉じる

47News

次世代の伴奏者 MONEXな人々「投資は夢をかなえるための準備」マネックス証券株式会社 マーケット・アナリスト兼インベストメント・アドバイザー 益嶋 裕氏 インタビュー

 少子高齢化が進む中、「人生100年時代」といった言葉がしばしば聞かれるようになった。自分が今20歳の大学生とすれば、あと80年間を生きることになる。その間、健康で長生きをして自分の理想の生活をするには、ある程度の資金も必要だろう。若い人は、働いて得たお金をどのように資産として育てていくべきなのか。1985年生まれで、マネックス証券で国内外の市場分析などに定評がある益嶋裕氏は、投資とは「夢をかなえるための準備」と強調する。益嶋氏と株式投資との出会いは、学生時代にアルバイト先の上司から教えてもらったことだったという。若い人に向けて、投資とどう付き合っていけば良いのか、自身の体験を基に語ってもらった。

損は自分にとって“利益”だった

損は自分にとって“利益”だった

 私が株と出会った場所は牛丼店です。大学入学直後から、接客業を経験してみたいという気持ちがあったので、全国にチェーン店を展開する牛丼店でアルバイトを始めました。時給950円と当時としてはかなり条件が良く、大学に在籍していた間、ずっと同じ牛丼店でアルバイトを続けていました。お客様との「ごちそうさま」「ありがとうございます」の関係がとても心地よく、先輩たちとも仲が良くて、まるでサークル活動のようでした。アルバイトは、疲れはするけど楽しいし給料がもらえる。大学は、行ってもつまらないし学費を払っている。そんな訳で、アルバイトにどんどんのめり込んでいました。

 ある時、同じ牛丼店で働いていた部長クラスの上司が、休憩時間に数字がチカチカしているパソコンを操作していました。「それ、なんですか」と聞いたら「株だよ」と、「これは株の値動きを表すチャート。これが上がったらもうかるし、空売りっていうのもある」などと教わりました。そのうち「面白そうですね。ゲームみたいな感じで」と言ったら、「おまえも証券会社で口座を開設してみたら?ネット証券は手数料が安いし」と言われ。少額取引の手数料が安くチャートの機能が優れているネット証券に口座を開設しました。

 朝から晩までバイトをしていたので、多い時は1カ月で20万円ぐらいの稼ぎがありました。実家を出て親からの援助は受けていなかったので、バイトの給料を生活費に充てていました。株は個別株を少額から始め、徐々に金額を増やして、最大で50万円ぐらい投資をしていました。最初に買った1銘柄が、直後に値幅制限いっぱいの株価まで上がる「ストップ高」という、ビギナーズラックも経験しました。「なんだ。株、簡単じゃん」と、よくある誤解をしてしまい、乗りに乗って短期売買を繰り返していました。当時は50万円では買えない銘柄もたくさんあったので、買える銘柄の中でチャートの動きがよさそうなものを選んでいました。

 大学の授業中にも携帯電話のiモードのアプリでトレードをするほど株式投資にはまりましたが、長続きはしませんでした。最終的に投資した50万円が半分になりました。そのことは悔しかったですが「損した25万円は無駄じゃない」と感じたのです。私の専攻は政治経済学部政治学科でしたが、経済学は極力避けていたので、投資をやっていなかったら経済や金融に触れていなかったと思うし、多分興味もなかった。しかし、株との出会いがあったから経済に興味が湧いて、大学卒業後はマネックス証券に就職しました。株との出会いが、私の人生に大きな影響を与えました。

ネガティブな性格が…

ネガティブな性格が…

 今は株の売買単位が小さくなり、手数料が安くなっていますが、それでも20歳代の若者が株式投資を始めるケースは少ないと思います。私が熱中していた当時はもっと少なかった。最初は不安があり、資料請求をしてから口座を開くまで数カ月もかけました。しかし、自分が株を始めて「楽しい」と思えたことがプラスに働きました。株式投資は、買う銘柄も、金額も、タイミングも、決めるのは全て自分です。投資の結果について、言い訳は何一つできない。それが面白いポイントです。

 私は子どものころからすごくネガティブ(後ろ向き)な性格で自分に自信がありませんでした。牛丼店での接客業のアルバイトや株式投資との出会いで、超ポジティブに生まれ変わりました。私に株を勧めてくれた牛丼店の上司から「おまえは自分で一歩踏み出したからこれからは大丈夫だ。人生を自分の意志で切り開くことができるようになったのだ」と言われました。今考えると、そこまで大げさではないという気もするのですが、自分で考え判断し行動する株式投資をしたことで、自信がつきました。

 また、アルバイトを通して学んだ大きなことの一つに、上司に言われた「感謝すべきは、目の前のお客様」という言葉です。これは就職活動の際に大きく影響しました。就職活動の企業選びで、心の中で決めていたのは「お客様を大事にする会社に入ろう」ということです。マネックス証券の会社説明会で、当時の副社長が「当社は、お客様を自分の家族だと思って経営判断をする」「『家族にこの商品を勧められるか』という観点で判断をしている」と紹介したことがとても心に響き、マネックス証券に入りたいと思いました。

見極める目を養って

見極める目を養って

 今、私は、幅広い世代がお金について気軽に学べる講座を提供する「マネックス・ユニバーシティ」で投資教育活動にも携わっています。日本では、投資について勉強する場が少ないので「みんながやることを自分もやる」というようになりがちです。「仮想通貨が儲かるらしい」とか、少し前だと、「FXが儲かるらしい」とかです。また、株式投資を行うとしても「株価のランキング上位にいるから」とかで投資に踏み出して、大きな資金を投資してしまうと、結果的にマーケット(投資の世界)から退場せざるを得なくなってしまう可能性が高いのです。

 個別株に投資をするというのは、投資というカテゴリーの中で一番難しいことなのですが、それを最初にやろうとする人が多い。なぜ難しいかというと、仮に日本経済が少しずつ小さくなっていくとすると、パイを取り合う企業の中で、勝ち残る企業を見極める目がないと株式投資は成功しません。投資信託で世界各国に分散投資をして経済や株の基本的な知識をつけて、見極める目を養ってから、より高いリターンを狙うために個別株にチャレンジするというのが、ステップとしては正しいと思うのです。

 株式は、特別な場合を除き、過去のヒストリカルデータ(過去の実績値の適用)による期待リターンからすると長期間保有していれば、だいたい儲かるはずなのです。日本人の大半はなかなかそういう感覚を持てないようですが、失敗を恐れないで市場に長くとどまっていれば、プラスになる確率はかなり高くなるはずです。しかし、いきなり失敗から入っちゃうと、「仮想通貨は怖い」⇒「投資はやめよう」⇒「預金にしよう!」となる傾向が強くなります。この考え方は、非常にもったいないと思います。仮想通貨への投資を否定するわけではありませんが、リスク分散の点から、投資対象の中の一部として見るのが合理的だと思います。

投資先は日本だけ?

投資先は日本だけ?

 株式投資という観点でいうと、企業の利益が増えている国の株価は上がります。アベノミクスが始まってから日本の株が約3倍になったのは、企業の利益が増えたからです。ただ、少子高齢化が進んでいる中、今までの状況をこれからも維持できるとは言い切れません。私は、「金融緩和、財政拡大をしっかりやって、その中で構造改革をやりましょう」というアベノミクスについて、合理的で一定の成果を出している点をとても評価しています。しかし、この経済政策の方針が今後継続されないとしたら、日本の株にまた暗黒時代が来るかもしれないと懸念しています。経済の状況が悪くなったら、金融緩和をし、財政拡大をするということが、もう少し政府と国民の間でのコンセンサス(合意)になって欲しいと考えます。

 「日本の将来が不安だから、投資をするのは不安だ」というのはあまり良くない考え方だと思っています。「日本の将来が不安なら、世界に自分のお金を移しておきましょう」という方が合理的ではないでしょうか。例えば、「すごい会社」といったら、多くの日本人は「Apple」や「Google」、「Amazon」、「facebook」など、アメリカの会社を挙げると思います。アメリカは、企業の利益が増え続けているから、株価が上がり続けている。一方、日経平均株価をみると、1989年12月の東京証券取引所の大納会で付けた日経平均株価約39,000円が史上最高値で、今はその半分強までやっと回復してきたところです。これに対し、アメリカは、史上最高値を更新し続けているわけです。日本の将来が不安なら、アメリカやヨーロッパ、中国の株も買って分散投資しておくというのは、非常に合理的な考え方ではないでしょうか。

 アメリカや中国などを中心に、世界の経済は広がっていきます。先ほど、企業の利益が増える国の株価は上がると申し上げましたが、世界の経済全体が広くなっていくということは、世界の企業の利益が増えていくということです。ですから、世界に投資をしておけば、恐らく株価というのは上がっていくと考えるこができます。

準備期間は長い方がいい

準備期間は長い方がいい

 デフレ時代に日本の株だけ投資して利益を出すというのは、難しいことだったと言えるでしょう。しかし、時代は変わりつつあります。ここまで政府と日銀が明確に「インフレーション(物の値段が上がり、お金の価値が下がり続ける状態)にする」と言っているので、現金を持っていたら損をする時代がやってきています。そうなると、投資をしたほうが良いのではと考えます。マネックス証券が主催する投資セミナーでは、応募者の参加率が、かつて5~6割だったものが7割を超えており、「投資をしないと自分が損をしてしまう」という意識に変わってきている感触があります。昨年の秋ぐらいから、特に日経平均株価が上がってきているという心理的背景に加え、政府がNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)とiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)などの制度を整えてきたというのも功を奏していると思います。

 自分が幸せになるためには、お金はできるだけ多いほうが良いし、お金がないとできないことも出てくる。冒頭で投資について私は「夢をかなえるための準備」と言いましたが、投資は、自分の目的を達成する手段と言い換えることができます。ぜひ、若いときから投資を始めていただきたいと思います。将来、何かしたい時のために、投資の期間は長いほうが有利です。ただ、若い時はあまりお金もないし、そんなに大きな金額は運用できません。それに対して、NISAのように月々少額から積み立てができる税制優遇制度もあるので、活用いただくのが良いと思います。

 私が以前インタビューした、カリスマファンドマネジャーとフィナンシャルジャーナリストは、全く別の場面でしたが、投資の心構えについて「手に汗握らない金額で始めれば良いです」とおっしゃっていました。その手に汗を握らない金額が、「1,000円なのか、1万円なのか、10万円なのか、それは人によって違うけれど、例えば1,000円で始めたとして、1,000円だったら株価が1%動いたとしても、日々の変動というのが10円、20円の世界です。株価の変動はそんなに怖くないという感覚が身につきます」という解説をしました。「手に汗握らない金額で長期分散投資をするほうが、心のストレスにもならないから続けやすい」ということを、私もお客さまにお伝えするようにしています。

 私の場合、牛丼店の上司がきっかけで、株式投資の世界に入りました。それによって、自分の性格、就職先、今の仕事も、決まったといえます。実は家内も、同じ牛丼店でバイトをしていました。
「人生で大切なことは全て牛丼店で出会った」― 大げさかもしれませんが、そんな私の物語をきっかけに、1人でも多くの若い人が、投資という世界に向き合っていただければ、と願っています。

益嶋 裕

益嶋 裕(ますしま ゆたか)

マネックス証券 マーケット・アナリスト兼インベストメント・アドバイザー
早稲田大学政治経済学部政治学科卒。2008年4月にマネックス証券に入社。2013年からアナリスト業務に従事。2017年8月より現職。現在は「日本株銘柄フォーカス」レポートや日々の国内視鏡の執筆、各種ウェブコンテンツの作成に携わりながら、オンラインセミナーにも出演中。日本証券アナリスト協会検定会員。

マネックス証券株式会社

マネックス証券株式会社

マネックス証券株式会社は、1999年4月に松本大とソニー株式会社との共同出資で設立されました。現在は、日本、米国、香港に個人向けを中心とするオンライン証券子会社を持つ持株会社マネックスグループ株式会社の主力事業として機能しています。口座開設をはじめ、日本株、米国株、投資信託、債券、FX、NISA、iDeCoなどの金融商品の取引をオンライン上で完結するサービスを提供しており、昨今ではレポートやロボアドバイザー、ラップ(投資一任)サービスなど、AIやフィンテックを活用した先進的なサービスの提供も進めています。
社名のMONEXは、MONEYのYをひとつ前に出して、「未来のMONEY。次世代におけるお金との付き合い方をデザインして、お客様に提供していこう。」という意味が込められています。総合オンライン証券として個人投資家へ世界最高水準の金融サービスを提供することを目指しています。

マネックス証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第165号
加入協会:日本証券業協会、一般社団法人 金融先物取引業協会、一般社団法人 日本投資顧問業協会