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次世代の伴奏者 MONEXな人々

 生きていく上で不可欠な「お金」。そのお金にかかわる企業として銀行は身近なものだが、証券会社については「敷居が高い」と感じる方も少なくないだろう。「投資には興味がない」「働いたお金は貯蓄する」「株価の動きは自分の生活に関係ない」など、証券会社がこれまで多くの生活者から遠い存在と映っていたようだ。そんな人たちに、「小さい金額の投資で、世界のさまざまなことが見えるようになる」と、投資の意義を強調するのがインターネット証券大手マネックス証券の松本大社長。創業から約20年を迎え、今年10月に会長職から社長に復帰し、また、親会社のマネックスグループでは「第2の創業」も掲げた。そんな松本氏に、「そもそも投資と何か」という基本的なテーマから日本を含む世界のマーケットの最新動向を聞いてみた。

世界の動きに興味がわく

世界の動きに興味がわく

 投資というものは、まとまった資金が必要だと思われている方も多いと思いますが、我々がいろいろ改善してきたこともあり、今では、小さな資金からでも始めることができるようになりました。たとえば世界分散投資をする場合、以前だったら1,000万円ぐらいないとできませんでしたが、現在は100円から購入できる投資信託もあります。10万円ほどの資金があれば、日本株、アメリカ株、欧州株と、世界中のいろいろな国やセクターの投資信託を買い、かつ、いくつか気になる会社の株式も買う、などというのが簡単にできてしまいます。

 自分で投資信託や株式を保有すると、日々それらの値段が動くので気になってくると思います。今は個人投資家向けのサービスが非常に充実しているので、こういう原因で値段が上がった、下がったという情報や、マーケットが動いた理由などがすぐに分かります。「ある地域で紛争が発生したから下がる」とか、「ある国の景気がよくなって、金利が動いたからマーケットも動いた」などと、変動した要因が分かるわけです。投資をすると一社会人として、一世界市民として、健康から政治から経済から天候、技術の進歩など、いろいろな情報が全部といっていいぐらい入りやすくなり、自分でも世界の動きに興味がわくようになります。このように、少額でも投資をすることで、世界に耳目が広がっていくわけです。

 また、投資をすることで得られるものは世界への興味が広がることだけではありません。利益を得られる可能性もあります。もちろん損失が発生する場合もありますが、少額の投資であれば、ある日の夕食に奮発してステーキを食べにいってワイン飲んだら、使ってしまうような金額・・・ではないでしょうか。投資額は、減る可能性もありますが、増えるかもしれない。その上、投資をすることで、世界のいろいろなことを知ることができる。言い過ぎかもしれませんが、投資しないのが不思議なくらい投資をすることで得られるメリットは大きいと思います。

マーケットから世界が見える

マーケットから世界が見える

 最近の日米での選挙を例に考えてみましょう。たとえば自分が、投資信託、株式などの金融商品を持っているとしたら、「あの候補(政党)が選挙で勝つとしたら、マーケットはこう動くんじゃないの」というような感覚や考えがいろいろと出てくるはずです。自分の金融商品は、特定周波数の電波を常時発信し、自分の居場所を知らせることができる機器「ビーコン」のような存在と言えるでしょう。金融商品を通じ、この広い世界と自分が直接つながっていることを確認できます。一回おいしいものを食べに行くぐらいのコストで、しかも毎日、世界情勢に触れられるのです。投資とは「安く買って高く売る」などということではなく、本質的には資本主義経済を支えているものといえます。社会財であるお金に、ちゃんと社会で働いてもらうということは、非常に意義があると思うのです。

 つまり、マーケットから世界が見えるのです。世界中どこにいても、投資ポートフォリオを見るだけで世界が見えます。例えば、ロケットが撃たれ、マーケットが下がったのか上がったのか。上がったら、それは、「撃ったけれどもリスクは下がっているんだ。リスクがコントロールされているんだ」と考えることができます。ニュースは間違っていることもありますが、マーケットの動きはいつも正しいと感じています。マーケットというのは世界中の関係者、世界中の投資家、みんなが為替とか株とかに、投資という形で参加して成り立っています。その結果、あらゆる情報のるつぼが昇華された形がマーケットの動きとして出てくるからです。私も日々ニュースをたくさん見ますが、マーケットも見て、その後ニュースを見ることで、起きている現象がすっきり分かることが多いのです。世界情勢の見方やものの考え方も訓練されるので、若いビジネスパーソンにも、投資をぜひやってみてほしいですね。

投資が身近な存在に

投資が身近な存在に

 インターネット証券会社を創業して約20年が経過しました。この間、マーケットの情報も手に入れやすくなり、取引の操作性もすごく良くなりました。我々も随分いろいろな形で金融当局に働きかけてきましたが、株式の投資単位もすごく小さくなりました。インターネットの普及もあり、機関投資家と個人投資家間の情報の格差もなくなってきました。日本株だけでなくて、アメリカ株などもウェブ上で売買できるようにしたり、投資信託の販売手数料も、おおむね販売会社が決められるようになり、販売手数料が無料の「ノーロード」投資信託が大量に増えました。店頭外国為替証拠金取引(FX)も、なかなかみんなができなかったものを、誰でもできるようにしました。個人が売買できる金融商品の幅が本当に広がりましたね。

 けれども、政府が掲げる「貯蓄から投資へ」という流れは起きていません。逆に「投資から貯蓄へ」と一直線に進んできています。マネックスの創業時から今日に至るまで、東京証券取引所の時価総額もほぼ変わっていません。そこにも「貯蓄から投資へ」の流れが起きにくい要因があると考えています。つまり、投資対象の株価(値段)が上がらないから投資意欲がわかないという問題があったのです。よく日本人が株を買わないのは証券会社のせいだ、証券会社が信用されていないからだ、と言う人がいます。しかし、例えば、車が売れるのは、車の性能が良いから売れるのであり、ディーラーが丁寧にお茶を出すから売れるわけではないと思いませんか?金融商品も同じだと思います。仲介者の問題ももちろんありますが、大切なのは民間の企業や金融政策、その他の諸政策だと考えます。

 政策がモノの値段に影響を与えるという1つの具体例として相続問題があります。相続において、株式を持って亡くなったら大変なことがあるのです。不動産を持って亡くなっても、税控除額がいっぱいあるし、相続税率が低いですが、株式の場合は対照的です。株式を持って亡くなると、その時点の株価で税金が決まります。しかし、その後、兄弟らの分配を決めるのに1年かかったりし、その間にめちゃくちゃ株価が下がっているかもしれない。不動産と違って値段の変動率も大きいし、実際に資産を相続する時には下手すると税金のほうが高くなったりする、そんなことも起きかねません。つまり、相続をされる方が困るのです。普通に考えると、土地を持つほうが株式を持つよりもよいということになります。

現代の生活者が求めるサービスを作る

現代の生活者が求めるサービスを作る

 マネックスは、2017年10月に「第2の創業」というフレーズを掲げました。その背景の1つは、「動き始める」ということです。外部環境は変わってくる兆しが今、見える。そこでアクセルをガーッと踏むべきだと思っています。もう1つはやはり、世の中、世界的にもテクノロジーの進歩がものすごく大きい中、金融をやっている者の常識で考え、それを、エンジニアに「こういうのを作って」と進める今までのサービスの作り方はもう古いと思うのです。その作り方では、生活者が求めるサービスは作れない。そうではなく、エンジニアの視点から、必要とされているサービスや売れそうな商品、実現可能なツールを提案してもらい、それを受けて、金融側が考え、行政と交渉もする。それは、今までの会社の在り方の逆をいくことだと思います。今まではどうしてもプロダクト部門などが上流工程にあり、システム部門は下流工程にあるような、プロダクト部門が考えて、システム部門がその通り作るという工程です。それを、逆転しろとは言わないけども、システム側にも開発する商品に意見があって、その結果、今の時代に合った生活者が求める新商品が生まれるというように、その会社の業務工程の組み合わせが変わっていくべきだと思うんです。そうしないと、これからの時代においていろいろな新しいテクノロジーが出てくるときに、いろいろな規制がある金融業界は、規制の少ない業界に比べてどんどん陳腐化していくからです。

 人材に関する話題でも、「こういうサービスを作ろう」と思ったときに、「そういう人材はうちにはいないからできません」ではなく、「そういう人材に変えていこう!そうすれば実現できる。」と考える。そういう段階に来ていると思うんです。人材ミックスを大きく変えるということは、人が入れ替わる場合もあれば、同じ人が変化していく場合もあります。新しい会社を作るのと同じで、今までのマネックスの延長線上ではない。だからこれは「第2の創業」なのです。

松本 大 氏

松本 大(まつもと おおき)

マネックスグループ株式会社 代表執行役社長CEO 兼 マネックス証券株式会社 代表取締役社長
1963年埼玉県生まれ。1987年東京大学法学部卒業後、ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資でマネックス証券株式会社を設立。2004年にはマネックスグループ株式会社を設立し、以来CEOを務める。マネックスグループは、個人向けを中心とするオンライン証券子会社であるマネックス証券(日本)、TradeStation証券(米国)・マネックスBOOM証券(香港)などを有するグローバルなオンライン金融グループである。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカード、株式会社ユーザベースの社外取締役も務める

マネックス証券株式会社

マネックス証券株式会社

マネックス証券株式会社は、1999年4月に松本大とソニー株式会社との共同出資で設立されました。現在は、日本、米国、香港に個人向けを中心とするオンライン証券子会社を持つ持株会社マネックスグループ株式会社の主力事業として機能しています。口座開設をはじめ、日本株、米国株、投資信託、債券、FX、NISA、iDeCoなどの金融商品の取引をオンライン上で完結するサービスを提供しており、昨今ではレポートやロボアドバイザー、ラップ(投資一任)サービスなど、AIやフィンテックを活用した先進的なサービスの提供も進めています。
社名のMONEXは、MONEYのYをひとつ前に出して、「未来のMONEY。次世代におけるお金との付き合い方をデザインして、お客様に提供していこう。」という意味が込められています。総合オンライン証券として個人投資家へ世界最高水準の金融サービスを提供することを目指しています。

マネックス証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第165号
加入協会:日本証券業協会、一般社団法人 金融先物取引業協会、一般社団法人 日本投資顧問業協会