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JA共済全国小・中学生書道・交通安全ポスターコンクール 表彰リポート

 子どもたちの笑顔はどれも素晴らしい。屈託のない自然体の笑顔にも心なごまされるが、ちょっとはにかみながらも自信に満ちた晴れやかな笑顔は、私たちを清々しい気持ちにさせてくれる。東京・千代田区のJA共済ビルで2月2日に開かれた「平成29年度 JA共済 全国小・中学生 第61回書道・第46回交通安全ポスターコンクール表彰式」では、そんな澄み切った笑顔をたくさん見ることができた。読者の中には「なぜJA共済が書道・交通安全ポスターのコンクール?」と疑問を抱く人がいるかもしれない。実は筆者もそうだった。その疑問は表彰式に出席し、受賞者の話を聞くことで氷解した。

歴史と規模において日本屈指の“書道・ポスター”コンクール

左:2月2日に行われた「平成29年度 JA共済 全国小・中学生 第61回書道・第46回交通安全ポスターコンクール表彰式」。
右:JA共済ビルの玄関ロビーには入賞作品が展示された。

 この表彰式は、JA共済連が実施する二つのコンクールの受賞者を表彰するもの。一つは、「次代を担う小・中学生に相互扶助・思いやりの精神を伝えていくとともに、児童・生徒の書写教育に貢献すること」を目的に行われる『書道コンクール』。もうひとつは、「児童・生徒の図画工作・美術教育の高揚を図り、交通安全思想を広く社会に訴えること」を目的にした『交通安全ポスターコンクール』だ。

 今回で、書道コンクールは第61回を、交通安全ポスターコンクールは第46回を迎える。まさに日本有数の歴史あるコンクールである。一口に61回というが、書道コンクール第1回の1957年に生まれた子どもが今年61歳。当時、小学6年生だった応募者は73歳になることを考えると驚いてしまう。だが、驚かされるのは歴史の長さだけではない。平成29年度、全国の小・中学生から寄せられた応募の数は、交通安全ポスターコンクールが約16万4,000点、書道コンクールは約144万6,000点にも及ぶという。規模の点でも日本屈指のコンクールなのである。

 表彰式で主催者あいさつをしたJA共済連経営管理委員会会長・市村幸太郎氏は、ウクライナの童話「てぶくろ」を引用して、JA共済の理念である「相互扶助」を小・中学生にも分かるように解説。それをふまえ、「言葉の意味、イメージを捉えて上手に表現された書や、どのようなメッセージを伝えたいかを考え、工夫されたポスターに感動しました。自分の書で見る人に感動を与えたい、自分の絵で交通事故から命を守ってほしい、などの皆さんの受賞の声を聞いて、このコンクールの受賞で大切なことを学び、人に対する思いやりの心を持っていただいたことは主催者としてうれしいです」と受賞者をたたえた。

 審査は、第一次審査、第二次審査、最終審査を経て厳正に行われ、「書道」の大賞(農林水産大臣賞、文部科学大臣賞)に輝いたのは16作品。「交通安全ポスター」の大賞(内閣府特命担当大臣賞、農林水産大臣賞、警察庁長官賞、文部科学大臣賞)には12作品が選ばれた。

審査総評を述べる、「書道コンクール」審査員長で日展理事の新井光風氏。

 審査総評で、小・中学生へ感謝の気持ちを伝えたのは、「書道」の審査員長を務めた日展理事の新井光風氏。
「今年も期待通りの作品がたくさん寄せられました。良い作品をたくさん見せていただいて『ありがとう』と言いたいです。審査をしていると、ひとつひとつの作品から気持ちや書いているときの姿までが伝わってきて感激しました。一所懸命に書いた作品だけが持つ力というのがあり、皆さんひとりひとりのエネルギーが感じられます。本当に素晴らしいなとつくづく思います。私も皆さんの作品に学ぶ思いがします。このコンクールは規模も大きいけど内容も日本一。その中で成果を得たのですから、さらに素晴らしい作品を目指して頑張ってほしいと思います」と感動を述べた。

「交通安全ポスターコンクール」の審査員長を務めた、多摩美術大学名誉教授でアートディレクターの中島祥文氏。

 また、「交通安全ポスター」の審査員長を務めた、多摩美術大学名誉教授でアートディレクターの中島祥文氏は、ポスターの役割をよく理解して工夫をこらす小・中学生に感心する。
「約16万人の小・中学生が交通安全への思いを胸に焼き付けてポスターを作っている。これはすごいことです。ポスターにはいろいろな役割がありますが、世の中に広まってほしいことを伝える、知らせることは重要な役割の一つです。今回もそれを表現できている作品がたくさんありました。また、『歩きスマホをやめましょう』などの、誰もが知っていることでも視点を変えたり伝え方を工夫することで、人々の考えを深めるチカラになり、改めて危険性を見る人に強く訴えることができます。これからもポスターの役割を考え、交通安全を広めるためには何をしたらいいかを考えてポスターを作って下さい」と今後にも期待した。

受賞した子どもたちにはそれぞれに受賞までのストーリーが

「交通安全ポスターコンクール」で農林水産大臣賞を受賞した岩手県北上市立江釣子小学校4年の小林るいさん。

 コンクールの大賞受賞者と聞くと、才能あふれる一握りの優秀な生徒というイメージがあるが、実際にはどうなのだろう。何人かの受賞者に話を聞いてみた。

 表彰式で賞状を受け取る際に「ありがとうございます!」とひときわ元気よく返事をしていた、岩手県北上市立江釣子小学校4年の小林るいさんは、横断歩道を渡るときの注意点を描いたポスターで農林水産大臣賞を受賞した。「元気よく手をあげた女の子と男の子が、しっかりとした目で車に気をつけている様子がよく描けている」というのが受賞理由だ。るいさんは、受賞の喜びを「とても大きな賞を受賞して最初は信じられませんでしたが、家族がすごく喜んでくれて、わたしもうれしくなりました」と語る。苦心した点を聞くと、「歩行者が運転手さんによく見えるように手をぴんと高く伸ばしたり目立つ色の服にしたり工夫しました」とのこと。この賞を励みに、これからもいろいろな絵を描いていきたいというるいさん。傍にいたお母さんが「絵だけでなく物作りがとても好きなんです。廃材を使っていろんなものを作ったり、ゲームを作ったり、その発想に驚かされます」と教えてくれた。「将来は芸術家かな?」と聞くと、うれしそうにはにかんだ様子が印象的だった。

「書道コンクール」の【半紙の部】で農林水産大臣賞を受賞した沖縄県昭和薬科大学附属中学校3年の佐藤沙耶香さん。

 「晴耕雨読」の四文字を鋭い筆致で描き、「書道」の半紙の部で農林水産大臣賞を受賞したのは沖縄県昭和薬科大学附属中学校3年の佐藤沙耶香さん。受賞理由は「線が鋭く、骨力があり、紙を切るような筆づかいで文字の構造が心地よく引き締まっています。背筋を伸ばした姿勢の文字で堂々としています」というもの。書道は小学校1年生から始め、今年で9年目になる。「きっかけは祖母のすすめでした。小学校の頃はうまく書けない時期もあったんですが、後から書道を始めた妹が上達して、2年前に文部科学大臣賞を受賞したので、妹の背中を見ながら追いつき追い越せと頑張ってきました」と意外なエピソードを明かす。書道が上手くなる秘訣を尋ねると、「なかなかうまく書けないときもあるんですが、それに負けないで続けていくことが大切です」と精神面の重要性を教えてくれた。受賞によって自分の中で起きた変化として、「自信がついて書道の先生になるという夢を描けるようになりました」と語ってくれた。

 宮崎市立宮崎西中学校2年の小宮まゆりさんは、「職場体験」という言葉を力強い筆づかいと優れたバランスで描き、「書道」半紙の部で文部科学大臣賞に選ばれた。その4文字は、学校の職場体験で訪れた保育園児の笑顔を思い浮かべながら書いたという。事前に半紙600枚の書き込みを重ねた努力家のまゆりさんは「大臣賞を狙っていたのでとてもうれしい」と喜んでいた。父親の小宮政之さんは「娘は負けず嫌いなんです」と娘の努力をほめながらうれしそうだ。

 同じく「書道」半紙の部で文部科学大臣賞に輝いた、岡山県倉敷市立児島小学校3年の松下晴香さんの作品は、「なかよし」という課題字にふさわしい、温かく柔らかいタッチが特徴だ。書道好きで1~2時間机に座って筆を持っても苦にならないという。松下さんは「うまく書けた時、やったー!と嬉しくなる」とはにかみながら書道の魅力を話す。母親の松下洋子さんは「書道教室の先生のおかげで、書道を始めてから集中力がつきました。今回もよくやったと思います」と娘の快挙に目を細めていた。

 話をうかがっていると、どの受賞者も才能あふれるエリートというより、ちょっと頑張り屋さんの普通の子どもたちのようだ。

作品作りにおいても必要な、JA共済の事業理念“助け合い

 閉会のあいさつに立ったJA共済連 代表理事専務の秋元雅博氏は、「受賞者の皆さんは受賞を誇りにして学校生活を明るく元気に過ごし、このコンクールを卒業する中学3年生の皆さんは今日の表彰式を心に少しでも刻んで次のステップに進んでいただきたい。JA、JA共済は地域に根差して地域の皆さまと共に助け合いの心で事業を行っています。このコンクールは子どもたちの成長を支え続けていこうということで、長年続けています。今後もJA、JA共済を支援していただければ幸いです」と締めくくった。

 JA共済の活動は助け合いを事業理念に、「共済事業(生活総合保障の提供)」と「地域貢献活動(病気や事故などの未然防止と万一の際の事後支援)」が車の両輪となって行われている。地域になくてはならない存在となるため、共済事業だけでなく、地域貢献活動にも力を入れている。地域貢献活動を紹介するサイト「ちいきのきずな」(http://social.ja-kyosai.or.jp/)には健康づくりレシピなど役に立つコンテンツもたくさんある。ちょっと覗いてみても損はないはずだ。

 実は、「書道・交通安全ポスター」のコンクールも地域貢献活動の一環だ。取材前は「なぜ、それが地域貢献に?」と疑問を抱いたが、表彰式に参加し、子どもたちに話を聞いてこう思うようになった。このコンクールで賞をとることは、地域の子どもたちの大きな目標であり励みになっている。目標や励みのある子どもたちは成長し、子どもたちの成長は親の喜びとなる。それらがひいては地域の宝にならないはずはないではないか。

 最後に、再び「書道」の審査員長 新井光風氏のあいさつから、含蓄に富んだ言葉を紹介してこの記事を終えることにしよう。

 「書を書いていると、おのずから大きめな字と小さめな字が出てきます。大きな字を書いてしまうとバランスをとるため小さめに書く字が出てくるのです。だから作品の中では助け合いが起きてくるんです。いわば助け合いの気持ちが字のバランスを形作っている。書においても助け合いの気持ちが大切なんです。受賞者の作品はそういった意味でもちゃんと対処されていて素晴らしいと思います」

来賓の方々と記念撮影を行う「書道コンクール」の入賞者たち。

来賓の方々と記念撮影を行う「交通安全ポスターコンクール」の入賞者たち。

提供:JA共済
文責:株式会社共同通信社

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