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介護でも100番100番 ダスキンの挑戦 コロナ禍で光る「衛生」へのこだわり 株式会社ダスキン

 介護でも「100番100番」-。(株)ダスキン(大阪府吹田市)の手がけるヘルスレント事業がコロナ禍で利用を伸ばしている。清掃業のイメージが強い同社だが、介護保険制度の開始を受け、2004年からベッドなどの介護用品・福祉用具のレンタルと販売を行うヘルスレント事業を始めた。新型コロナウイルス感染症の猛威が収まらない中、介護現場にはより高い衛生環境が求められている。清掃業で培った衛生に対する高い意識と技術、全国ネットワークを強みに、どう地域の介護ニーズに対応していくのか、山村輝治社長に聞いた。

定期訪問点検で、ご利用者さまに使い心地を聞く担当者

Qお掃除のダスキンが介護用品のレンタルを始めたのはなぜですか?

 当社はモップをはじめ清掃用品のレンタルから始まり、1978年、旅行用かばんなど家庭用品全般を貸し出す総合レンタル事業のレントオール事業を始めました。人生の中で必要になるあらゆるものを貸し出したいと考え「ベビーベッドから介護用品まで」を取り扱うことにしました。2000年に介護保険制度が始まり、介護用品のニーズが高まってきたことから、事業を独立させました。我々のスローガンは「喜びのタネをまこう」。清掃を含めて、人々の暮らしに深く関わり、お困り事があれば解決をサポートし、笑顔になっていただくことが、当社の使命です。高齢化が進み介護への多様なニーズが増える中、福祉用具レンタル事業への参入は自然な流れでした。

Q同業他社も少なくない中で、ダスキンの強みは何でしょうか?

 正直に言うと、レンタルする商品自体に大きな違いはありません。しかし、当社の強みは、「人」です。人対人のサービスを大事にし、基本的に3カ月に一度はレンタル品の定期訪問点検(モニタリング)を実施し、担当者がご利用者さまから直接、使い勝手などお話を伺っています。お伺いした内容は、ケアマネジャーとも共有し、ご利用者さまも含めた3者で最適な福祉用具や使い方を考えます。ご利用者さまの健康状態で気になることも、ケアマネジャーに伝えており、喜ばれています。

 人材育成も欠かせません。店舗スタッフのレベルに合わせた研修制度を設けており、ご利用者さまそれぞれの事情に応じた提案ができるよう日々スキルを磨いております。

Q全国ネットワークも特徴ですね。

 北海道から沖縄まで167店舗を展開するネットワークも大きな強みとなっています。全国の店舗から上がってきた成功事例と気づきを全店舗で共有し、サービスに反映できるからです。例えば、介護用品は機能性が重視され、デザインは二の次でした。そんな中、女性のご利用者さまから、チェック柄の歩行器が喜ばれたという話がありました。歩行器は、外出の際にも使うのですが、無地や花柄が一般的でデザインの選択肢が少ないイメージです。年齢を重ねても「おしゃれ」をしたい気持ちに寄りそったご提案ができた事例として、全店舗に共有しました。ちなみに、お友達にも好評だったようで、すぐにお友達をご紹介いただきました。当社ではこうしたニーズにも応えるため、豊富なラインナップだけではなく、ご利用者さまの状態や思い、ご要望に合わせたご提案も行っております。

Qコロナ禍で介護現場は、人同士の接触が制限され、大きな影響を受けています。どのように事業を続けていますか?

 介護用品の納入や取り換えで訪問する際の厳しいガイドラインを策定しました。「うつさない」「うつらない」を基本にマスク、体調管理、手指消毒を徹底し、福祉用具の衛生管理も入念に行います。定期訪問点検は電話に切り替えましたが、希望があれば、感染対策を徹底したうえで伺います。「こんな中来てくれてありがとう」と喜ばれるご利用者さまもいらっしゃり、私たちも嬉しくなりました。これまで追求してきた「衛生」への強いこだわりが、コロナ禍で役立っていると感じます。施設や病院での療養が難しくなる中で、在宅用介護用品のニーズは高まっています。これからも、感染防止に細心の注意を払い、ご利用者の皆さまの期待に応えていきたいです。

 現在、介護現場でも使える衛生商品の開発もダスキンでは進めています。昨年末に、洗浄・除菌・抗菌ができる持続除菌洗浄剤「TuZuKu(つづく)」を発売し、お客さまにご好評をいただいています。ヘルスレント事業の現場にも早速、活かしていきたいです。

Q団塊世代が後期高齢者になる2025年問題が迫っています。

 高齢化が急速に進む中で、在宅を基本に地域で医療や介護サービスを受ける「地域包括ケア」が都市部、地方部に関わらず、広がっていくと思います。当然、介護環境をサポートする福祉用具の重要性は増してきます。当社も地域包括ケアを担う一員という自負があり、ケアマネジャーや医療関係者と連携し、質の高いサービスを提供していきたいと思います。介護の対象者が増えるにつれ、介護保険の要介護認定が厳しくなることも想定されるので、保険適用外のサービスを充実させていくことも必要です。

Qヘルスレント事業の今後の展望は

 ヘルスレント事業を展開していない地域もあり、対応拠点を増やすことで、全国の方のニーズに対応していきたいです。まだ、ダスキンが介護用品・福祉用具のレンタル・販売を行っていることを知らない人も多いと思います。ダスキンに商品を注文する際には「100番100番」に連絡をいただくのですが、介護でも、自分や家族で何か困り事があればダスキンに聞こうと思い浮かぶ存在となり、「何かあればダスキンが来てくれる」と皆様に認識していただくことを目指していきます。

インタビュー後記

 お掃除を軸にして、暮らしに寄り添ったサービスを提供し続けてきたダスキン。超高齢化社会を迎える中で、同社がヘルスレント事業に力を入れるのは、山村社長が強調したように「自然の流れ」だったのだろう。時はコロナ禍、介護現場では、感染予防の徹底が求められる一方、人同士の接触が制限されて、心の温もりを欲している人も多い。「衛生」とともに「人対人」のサービスにこだわってきた同社の姿勢が、この相反するニーズを満たし、コロナ禍の介護現場で輝きを放っている。かつて双子の100歳姉妹「きんさん、ぎんさん」を起用したテレビCMで注目を集めた同社が介護用品・福祉用具にこだわるのも、高齢者との強い縁を感じる。人生100年時代、ダスキンの挑戦に期待したい。

株式会社ダスキン

株式会社ダスキン

1963年2月設立。掃除用具のレンタル事業をフランチャイズシステムにより全国展開し、画期的な流通組織を確立。
水を使わずホコリを取る「ホームダスキン」は、主婦から「魔法のぞうきん」と呼ばれ、日本の家庭に「おそうじ革命」をもたらす。環境衛生からフードサービスまで、様々な業態でフランチャイズチェーンを展開。幅広い年代の多様なライフスタイルのお客様に寄り添った商品やサービスを提供している。
2004年よりヘルスレント事業を開始。在宅介護に必要な介護用品・福祉用具のレンタル・販売のサービスにより、介護が必要な方、またそのご家族の日常に日々寄り添う提案をしている。全国に167店舗展開。(※2021年1月30日現在)

山村輝治

山村輝治(やまむら てるじ)

株式会社ダスキン 代表取締役 社長執行役員
1957年(昭和32年)大阪府生まれ。小学校教員を経て、1982年1月に入社。取締役クリーンサービス事業本部副本部長、取締役ケアサービス事業本部・レントオール事業本部・ホームインステッド事業部(現:ライフケア事業部)担当などを経て、2009年に代表取締役社長就任。18年4月から現職。趣味はジョギング、座右の銘は「常に志を高く」。