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DIGITAL HEARTS HLDGS. 人材×技術で「デジタルワールド」を守る アジアNo.1の総合テスト・ソリューションカンパニーへ

 ファーストリテイリング(ユニクロ)やローソンなど小売業界の経営トップを経て、2017年6月にIT企業の「デジタルハーツホールディングス」の代表取締役社長CEOに就任した玉塚元一(たまつか・げんいち)氏。ゲームソフトなどデジタル製品の不具合を検出(デバッグ)し、受託先企業に情報提供する業務で定評があった同社から誘いを受け「大きな魅力を感じた」と、経営の舵取りを担うことになったという。自動運転や、人工知能(AI)、第5世代(5G)移動通信システムといった急速に進歩するIT技術にどんな未来が広がっているのか。そこにどんなビジネスチャンスがあるのか、展望を語ってもらった。

8,000人のテスターが強み

8,000人のテスターが強み

 デジタルハーツは、ゲームのソフトウエアの不具合を検出するデバッグ事業を中心に急成長を遂げてきました。デジタルハーツの強みは全国15か所の拠点に、ITリテラシーの高い約8,000人のテスターがいることです。彼らは、単純にゲームが好きで、発売前のゲームにふれられるという理由で当社に入社してくれる方が多いのですが、実はものすごい集中力を持っていたり、誰もみつけられないようなバグを次々とみつけたりと潜在的に高い能力を持っている人がたくさんいます。やはり、僕の世代とは違って、生まれた時からパソコンやスマートフォンに囲まれて育った世代は、デジタルに対する感覚・嗅覚が非常に優れていると思います。

 僕は今「デバッグの時代が来た」と感じています。それは、IoT(モノのインターネット)が普及し、生活のあらゆるものをソフトウエアが支えているからです。例えば、コンビニでの会計を電子マネーで支払ったり、体調管理をアプリで行ったり、あるいは外出先からペットにご飯をあげたりと、日常生活にソフトウエアは欠かせないものになっています。そのため、たった1つでも重大なバグが残っていると、その与える影響も深刻化しており、サービスの停止や企業の信用問題にも発展しかねません。だからこそ、このような重大なバグがないかをチェックする「デバッグ」が非常に重要になっています。

 このような市場環境の中、当社の強みである8,000人のテスターと、ゲームで培ってきたソフトウエアのバグを見つけるノウハウ、スキルをさらにブラッシュアップ(磨き上げ)していけば、ゲーム以外のデジタルの領域でも活躍できる場がたくさんある、我々にしかできないビジネスがあると考えています。

システムテスト事業を一気に拡大

システムテスト事業を一気に拡大

 ゲーム以外の領域を我々はエンタープライズ領域と呼んでいますが、このエンタープライズ領域におけるシステムテストは非常にマーケットポテンシャルがあると考えています。なぜならば、日本はデジタル領域の人材が圧倒的に不足しているからです。そのため、現在多くの企業が、ITベンダーといわれる会社に〝丸投げ〟しており、なににいくらかかっているのか、どういう開発を行っているのかなどがブラックボックス化してしまっています。でも、これからはそういうモデルでは対応できない問題がたくさんでてくる。だからこそ、技術と人材の機動力を持つ会社に仕事が増えていくと思います。

 システムテストはソフトウエア開発費の3割から4割を占めるといわれていますが、そのほとんどが現在は開発会社の内製で行われています。今後、様々なソフトウエアが爆発的に増えるなか、社内リソースだけでは絶対に対応できないし、第三者の視点からしかみつからないバグがあります。だからこそ、今後我々のようなテスト専門企業へのアウトソースが拡大していくと考えています。システムテスト市場は「夜明け前」と言え、大きなビジネスチャンスなのです。

テストの自動化

テストの自動化

 しかし、これらの膨大な数のソフトウエアをすべて人力でテストするのは限界があります。そのため僕は、人材と技術の掛け算が非常に大事だと思っています。

 そこで今回、この“技術の活用”という側面から、テスト自動化に関する高い技術力を持つ米国の「LogiGear(ロジギア)」という会社の株式を取得し、子会社化いたしました。LogiGearは、シリコンバレーの最新技術を結集した独自のテスト自動化ツールと、ベトナムの約500名の自動化エンジニアを強みに、米国の様々な大手企業にシステムテストサービスを提供している確かな実績を持つ企業です。また同社の創業者であるHung氏及び日本子会社の代表を務める高橋氏は、システムテスト業界の第一人者であり、豊富な知見をもっています。彼らの専門的な知見とテスト自動化ツール、そしてそれを使いこなす豊富な自動化エンジニアは、今後当社グループの非常に強い武器になると考えています。

 例えばECサイトをテストするとしましょう。その際、ログインパスワードを文字制限以上に入力したり、選択した商品が正しい価格できちんと会計されるか、ユーザーが想定外の動作をした場合にどうなるかなど、起こりえるさまざまなケースを定型化して、ソフトウエアに読み込ませ、バグがないか何百回も網羅的にテストをします。これを人力で実施しようと思うと、膨大な時間がかかるうえ、入力ミスなども起こりえます。この点、自動化ツールを使用すれば、テスト時間の短縮やコストの削減ができるうえ、テストの精度も上がります。

 しかし、残念ながら日本ではまだあまりテスト自動化は浸透していません。実は自動化ツールは結構世の中には存在しており、みんな一度はトライしてみるのですが、なかなか成功しない。それは、ツールを使いこなせる人材がいなかったり、自動化には向いていない案件を無理に自動化しようとして余計に時間がかかってしまったりするからです。だからこそ我々は、自動化ツールの販売ではなく、あくまでソリューションとしてサービスを提供していきたいと考えています。操作性の高い自動化ツールとそれを使いこなせる自動化エンジニアを武器に、日本におけるテスト自動化の先駆者になれればと考えています。

 テスト自動化は、開発規模が大きく、機能拡充等のアップデートが継続的に入るようなソフトウエアとの親和性が非常に高く、エンターテインメントやエンタープライズといった領域を問わず、あらゆるソフトウエアがターゲットになると考えています。その中で、当面のターゲット領域として「情報・通信」「流通」「自動車」を想定しています。情報・通信はアプリケーションやネットワーク、流通は小売り、eコマースなど、自動車は自動運転やナビゲーションといった車載器などモビリティー全般。今後、このLogiGearとの取り組みで一気に当社のシステムテストのビジネスモデルを変革させ、現在14億円程度の売り上げを2-3年で100億円くらいにしたいと思っています。

「第二創業」をやりきる

「第二創業」をやりきる

 当社は今、ゲームのデバッグで成長してきた「第一創業」から、次なる成長を目指す「第二創業」として、3つの事業の柱を構築するための取り組みを加速しています。第1の柱はゲーム分野のテスト。この領域は現在の当社のコア事業ですが、まだまだ伸びしろがあると思っています。その成長を追求していく。そして、第2の柱がシステムテスト。ここはテスト自動化で一気に事業を拡大したいと考えています。そして第3の柱が、セキュリティ。サイバー攻撃は、ソフトウエアのバグが標的にされることが多く、実は非常にシステムテストと親和性が高い。だからこそ、我々にしかできないと考えています。

 当社の社是は「SAVE the DIGITAL WORLD」です。「デジタルの世界で世の中を守る」のに必要な人材は、トップレベルのエンジニアはもちろん、それ以外の学歴等だけは図れないポテンシャルを持っている人材が大勢必要です。

 第二創業期として、当社の豊富なテスターから自動化エンジニアやセキュリティエンジニア等を育成し、ITのスペシャリストを輩出できる人材プラットフォームを構築していきます。そしてその延長線上に、グローバルに顧客ニーズに対応できる「アジアNo.1の総合テスト・ソリューションカンパニー」が見えてくると考えています。

玉塚 元一

玉塚 元一(たまつか げんいち)

1985年、慶應義塾大学卒業後、旭硝子株式会社(現:AGC株式会社)入社。工場勤務、海外駐在を経て、日本IBM株式会社に転職。1998年、株式会社ファーストリテイリングに入社、2002年に同社代表取締役社長 兼 COOに就任。2005年9月に事業再生・経営支援を手掛ける株式会社リヴァンプを創業し、代表取締役に就任。その後2010年11月、株式会社ローソンに入社。同社取締役代表執行役員COO経て、2014年5月より代表取締役社長、2016年6月に代表取締役会長CEO。2017年6月、ソフトウエアの不具合を検出するデバッグ事業を展開する株式会社デジタルハーツホールディングスの代表取締役社長CEOに就任。現在に至る。

株式会社デジタルハーツホールディングス

株式会社デジタルハーツホールディングス

デジタルハーツホールディングスは、ソフトウエアの不具合を検出するデバッグ・システムテストサービスを中心に事業を展開しており、ゲームソフトやスマートフォンアプリ、業務システムなど様々なソフトウエアの品質向上を支援しております。デジタルハーツホールディングスでは、豊富なテスト人材やこれまで蓄積してきたテストノウハウに加え、国内最大規模のソフトウエアテスト技術者資格を有するテストエンジニアの育成も進めるなど、精度の高いテストを効率的かつ柔軟に提供できることを最大の強みとしております。また、デバッグ・システムテストサービスと親和性の高い、システム開発やITサポート、セキュリティサービスなど、開発から保守・運用まで幅広いサービスを提供しております。