メニュー 閉じる メニュー
CHIeru いま日本の英語教育の現場では 小学校の先生方の強い味方!?フラッシュ型教材で楽しくテンポよく着実に

 「Hello, everyone !」「Are you ready ?」「Repeat after me !」「Good job !」「Do you like Science ?」「Excellent !」「Perfect !」
 短い英語でテンポよくリズミカルに先生が授業をすすめていく。タン、タン、タン、タンッ、と4拍子のリズムでも取れそうだ。子供たちは流れに乗り遅れまいと電子黒板に集中。その眼は生き生きと輝いている。ここは沖縄県沖縄市立北美(きたみ)小学校4年1組の教室。担任の大城智紀(おおしろ・ともき)先生による英語の授業だ。いま、小学校の英語教育が大きく変わろうとしていると聞き、その現場を訪れた。

2020年から大きく変わる小学校の英語教育

2020年から大きく変わる小学校の英語教育

 日本全国の小学校で英語の授業が全面実施されるようになったのは2011年度から。小学5、6年生を対象に「外国語(実質的には英語)活動」の時間が設けられ、子供たちは小学5年生から英語教育を受けられるようになった。「外国語活動」とは、英語に親しみを持たせるために歌やゲームを取り入れた、言わば英語の“素地作り”だ。

 そんな小学校の英語教育が、2020年度からの新学習指導要領全面実施で大きく変わる。これまでは、5、6年生で週1コマ程度実施するだけだった「外国語活動」が3、4年生に早まり、5、6年生では「英語」が正式教科に、つまり成績評価が行われるようになるのだ。

 そしてその大きなうねりはすでに始まっている。文科省は2018、2019年度を移行措置期間として設定。それに従って、学校によっては3、4年生は年間15単位時間の外国語活動を、5、6年生は年間50単位時間の外国語活動および外国語科の授業をすでに受けている。

 グローバル化が進み、国際共通語である英語の力がますます必要とされている現在、文科省主導のこの「英語教育改革」は、保護者をはじめ多くの人の賛同を得そうだ。だが、実は学校現場は、「誰が」「どう教えるのか」という問題で揺れている。

 教科担任がいる中学校・高校と違って、小学校では学級担任が全学科を教えるのが基本。だが、これまで小学校教員は教員免許を取得する際の教員養成課程などで英語指導法を学ぶ必要がなく、もちろん先生自身も小学校時代に英語の授業を受けた経験がない。そんな中、英語を教える必要に突然迫られ、不安を抱いている先生も少なくないという。

 それを解決する方法として、「研修を通じて小学校教員の英語を教えるスキルを向上させる」、「教員養成課程で英語指導法を学んだ教員の数を増やす」、「ネイティブのALT(Assistant Language Teacher=外国語指導助手)などの外部人材を増やす」などの対策が考えられるが、どれも短期間での実現は困難だ。

 新学習指導要領の全面実施まであと1年となった現在、もし援軍が得られないとしたら、「誰が」教えるのかという問題は、「担任の先生自身が」という答えにならざるを得ない。ならば残る問題は「どう教えるのか」だ。その答えを求めて向かったのが沖縄だった。

市内全小学校のすべてのクラスに電子黒板を配備

市内全小学校のすべてのクラスに電子黒板を配備

 2月だというのに半袖シャツに着替えたくなるような暖かな陽気。スペイン風の尖塔のような時計台と赤瓦の屋根の校舎。まさにここは南国沖縄だ。訪れた北美小学校はどんな小学校なのか。校長の安和守光(あわ・もりみつ)先生に学校のプロフィールを紹介していただこう。
「沖縄市の北端に位置し、美里地区の北にあることが北美小学校の名前の由来です。創立70周年を迎えた本校は小学校と幼稚園が連携し、約600人の児童と約70人の園児が在籍しています。子供たちは沖縄市の中でも田舎の雰囲気を残した元気で明るい子が多いですね。いつも子供たちに言うのは『きたえ合い、たかめ合い、みとめ合い』の頭文字が北美だよと。お互い仲良く切磋琢磨しながら高め合っていこう、と呼び掛けています」

 実は北美小学校を訪れたのは、効率的な知識・技能の習得に役立つICT(Information & Communication Technology)をうまく活用している先生がいると耳にしたからだ。新学習指導要領が求めている授業の実施は、もはやICT抜きでは困難だといわれている。ならばICTをどう活用すべきか、そこに焦点が絞られてくる。安和校長に、同校のICT事情についてうかがった。
「沖縄市では教育委員会の支援により電子黒板がすべての小学校の各クラスに導入されました。新学習指導要領の全面実施に不安を抱え、日常的に多忙な先生方が、新しい機器の導入にスムーズに入っていけるのだろうかと心配もしておりましたが、本校では導入から1カ月も経たないうちに、どの学級でも電子黒板が常に稼働するようになりました。教科書はもちろん、さまざまなデジタルコンテンツを提示しながら子供たちの学習を促したり支援したり理解を深めたりという姿が見られます。
 さらに最近では、子供たちが電子黒板を使って学習発表をする光景が低学年に至るまで見られ、ほんとにICTはすごいなと思います。道具として役に立つことは分かりましたから、あとは内容の問題ですね。効果的に使うにはどうしたらよいか。先生方が研鑽を積めば、もっと効果的な授業が展開されるだろうなと見ています」

『子供たちを飽きさせないこと』を常に意識

『子供たちを飽きさせないこと』を常に意識

 北美小学校で先生方のICT研修を担当しているのが、記事冒頭に登場した大城智紀先生だ。ICTをフル活用し、多くの先生が不安に思っている英語の授業を楽しく展開していた大城先生に、いろいろな質問をぶつけてみた。

――まず、北美小学校のICT環境について教えて下さい。

大城 基本的には電子黒板、実物投影機、あとデジタル教科書ですね。私は研究主任ということで校内研修を担当しているので、フラッシュ型教材(フラッシュカードのように課題を瞬時に次々と提示するデジタル教材)など使える教材はすべて他の先生方に紹介して試してもらってます。最近はタブレットも使い始めています。

――授業を見学させていただいた際に驚いたのが、休み時間に、ほとんどの生徒がiPadを使って、思い思いに学習していたことです。漢字の書き順や算数の計算、都道府県の位置探しなど、子供たちはゲーム感覚で取り組んでいましたね。

大城 現在、50台のiPadが期限を設けて本校に貸与されています。主に4年生、特にこのクラスを中心にどういう活用法があるのか検証しながら試験的に使っているところです。ちょっとしたすきま時間にいろいろなことが学習できるので、とても便利だなと感じています。

『子供たちを飽きさせないこと』を常に意識

――さて、先生の授業はリズミカルでテンポがよく、テンションが高いことに驚きました。先生はどういったことを意識して授業をされているんですか。

大城 常に意識しているのは、『子供たちを飽きさせないこと』ですね。ある知識を習得させたい場合、いろんなバリエーションでくり返しアプローチするようにしています。また、テンポも大事です。僕が間延びすると子供たちの集中もとたんに途切れます。先生が明るくテンポよく授業を進めれば、子供たちもより引き込まれるので、先生も楽しみながらテンション高めにやることは大事だと思います。実はあのテンションと英語のフレーズは、本校に一人だけいるネイティブのALTの先生を参考にさせてもらっています(笑)。

――黒板にはToday’s Menu として、その日やることが細かく分けて並べられていましたね。

大城 授業の組み立てを考えることは非常に重要です。このように内容を細かく分けて行けば、パート、パートでやることが決まってくるので、不安な先生方でも負担が少なく授業が行えると思います。力を入れたい部分を中心に進めて、時間がなければ他は飛ばしたりもできます。メニューの青い部分はフラッシュ型教材や歌で、黄色い部分は今日のメインコース、英語教材『Let’s Try ! 2』で扱う内容でした。

『子供たちを飽きさせないこと』を常に意識

――45分間の授業に10個のメニューが用意されていましたが、主にどんなことをやっていたのか、改めて説明していただけますか。

大城 Greetingは“あいさつ”ですね。フラッシュ型教材にはベースの会話表現があるので、“Nice to meet you.”など、子供たちが気軽に使えそうな会話表現を選んで練習させました。複雑になると子供たちには難しいので。初めはネイティブの声をリピートして、次に音声を消して僕が質問して子供たちが話す、次は子供たち同士で会話するという組み立てでやっています。
 Warming up では“ ABC のうた”を音楽に合わせて全員で歌いました。
Reviewもフラッシュ型教材です。Math(算数)、Science(理科)、P.E.(体育)など、学校の教科を英語で言えるように単語を英語読みしたり日本語に訳したりして知識として活用できるようにしました。そのあと理解を確かめるために、“Do you like English ? ”などと、その教科が好きか嫌いか尋ねたりもしました。
Introductionでは、フラッシュ型教材を使って、イラストと英単語、イラストのみ、イラストと日本語、英単語のみと4つのパターンで英単語を学習。ネイティブの音声に合わせてくり返し言わせるようにして活用して、『Let’s Try ! 2』の学習内容につなげるようにしています。
 Activityでは、28人の生徒が4人一組のチームになって、黒板上のバラバラになったアルファベットをaからzまで順番に並べていきました。

子供にも教師にもメリットが多い教材

子供にも教師にもメリットが多い教材

――アクティビティのアルファベット並べは、完成までの時間を競ったので、チーム対抗ゲームの形になり、子供たちもすごく楽しそうでした。
 ところどころでチエル社のフラッシュ型教材を使われていましたが、先生はどういう意図でフラッシュ型教材を取り入れていらっしゃいますか?

大城 フラッシュ型教材は、切り替えが早くテンポが早い授業が可能になるので子供たちがついてきてくれます。画面にはパッと答えられるやさしい問題が次々と現れ、うまく使うことでより多くの内容をテンポよく簡単に学習できます。さらに同じ内容をゲームなどで繰り返して知らず知らずに憶えていくことで、子供たちは「わかる」「できる」という実感を持ちます。子供たちに自分が賢くなっていると思わせるのも学習意欲を高める上で大事なことです。とにかく子供たちが楽しそうにやっているので、とてもいい教材だなと思います。

子供にも教師にもメリットが多い教材

――先生方にとってのメリット、デメリットはいかがですか?

大城 メリットとしては、シンプルな教材なので授業の始めにちょっと使う、合間にちょっと使うなど、授業の流れを崩さずに使えること。それとくり返し使えるのが便利だなと。私がICTを授業に取り入れ始めて14年ほどになりますが、当初はパソコンをズラッと並べて凝った教材を使い、考え考え行うダメな授業をやっていました。経験を積むうちに、授業の流れを崩さずに使えるのはシンプルな教材だなと気がつきました。
 英語に関しては、ネイティブスピーカーの音声で聴けるので、発音が苦手な先生でも英語の正しいリズムや発音を子供たちに教えることができるのがいいですね。
 また、電源を入れてクリックしていけば使えるシンプルな作りなので使いやすい教材です。ハードウェアが苦手な先生ほどおすすめです。
 デメリットは特に感じていませんが、収録されている単語が決まっているので、教えたいなという単語が無い場合はパワーポイントで自分で作ったり他の教材を使ったりする必要があります。教師の授業力が試されますね。

子供にも教師にもメリットが多い教材

――2020年の新学習指導要領全面実施で英語の授業が不安な先生も少なくないと聞きます。先生はどうですか。

大城 僕自身も英語が流ちょうなわけではないので、正直不安はあります。ネイティブのようにしゃべるのは難しいので、最低限のフレーズを習得して、それでうまく繋ぎながら授業をすすめていくことが大事でしょうね。英語の苦手な先生方でも、さまざまな教材をうまく活用していけば大丈夫だと思います。
 もしICTがないと、自分ですべて(英語を)発声する前提で授業を組み立てなければならないので、発音も含め不安ですし、事前の準備も含めるとかなりハードルが高いというか、大変な作業量です。いまは『Hi, friends !』や『Let’s Try !』といったデジタル教材があり、さらにフラッシュ型教材もあるので、これらを組み合わせることで、どこでどれをどう使うかという組み立てが整理しやすくなったと思います。あとは、今日アクティビティでやったゲームのような昔ながらの教材とICTを組み合わせれば、先生方が負担感なくできるような環境にはなってきていると思います。ただ、なにせこのICT環境を知らない先生方も多いので、どう校内あるいは市町村で研修を行い、シンプルで効果的な授業作りを進めていけるかが今後は重要になってくるのではないかと思います。

 2020年はアスリートだけでなく、小学校の先生にとっても重要な年になってくる。大城先生の授業を拝見し、お話をうかがって、フラッシュ型教材をはじめとするICTの活用は、小学校の英語教育において、もはや欠かせないものだということがよく理解できた。何よりも子供たちの生き生きとした眼差しのために。

チエル株式会社

チエル株式会社

「子供たちの未来のために、世界中の先生の授業を ICT で支える」を企業理念に掲げて設立。シェア NO.1 のフルデジタル CALL システムや、タブレット対応授業支援システム、ユーザー数が延べ300万人を超えるクラウド型教材配信サービスなどの開発・制作を手がける、教育市場に特化した ICT 専業メーカーです。