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政治

女性議員を本気で増やそうとしているのか 政治を志すとき、立ちはだかる壁

2022.7.5 15:07 共同通信
市民団体の集会に招かれた(奥左から)自民党の稲田朋美選対副委員長、立憲民主党の西村智奈美幹事長ら=5月24日、国会
市民団体の集会に招かれた(奥左から)自民党の稲田朋美選対副委員長、立憲民主党の西村智奈美幹事長ら=5月24日、国会

 

 終盤を迎えた参院選には過去最多の181人の女性が立候補し、全候補者に占める女性の割合は戦後の国政選挙で初めて3割を超え、33・2%となった。だが3割で十分というわけにはいかない。選挙の候補者数を男女均等にするよう政党に求めた「政治分野の男女共同参画推進法」が施行されて4年余りたつのに、「均等」にはなお遠いのが現状だ。政権与党の自民、公明両党の候補者の女性割合が20%程度というのは、何とも物足りない。国の未来を担う女性議員を本気で育てようという気があるのか、真剣度はまだ足りない。(共同通信社会部長=山脇絵里子)

 
 

 

 ▽前回衆院選は女性議員減

 ご存じの通り、日本は世界有数の「男女不平等な国」だ。スイスのシンクタンク、世界経済フォーラムが毎年公表している「ジェンダー・ギャップ指数」で、日本は2021年、156カ国中120位と世界最低レベルだった。

 特に「政治」分野が147位と遅れが目立つ。各国で続々と女性の国家リーダーが誕生し、クオータ制の導入といった制度面の工夫で、女性の国会議員や閣僚が増えていく中で、日本政府の取り組みは鈍い。昨年の衆院選は政治分野の男女共同参画推進法が施行された後にもかかわらず、女性議員の割合が増えるどころか10%以下に減ってしまった。

 

※都道府県版の「ジェンダー・ギャップ」指数の分析はこちらから↗

 

 ▽土壇場で数合わせ

 それでは、今回の参院選について、改めて各政党の目標と擁立状況を見てみよう。立憲民主党は「女性候補者5割」を目指し、子育てや介護と選挙活動の両立を図るため、現職女性議員が相談に乗る支援チームを3月に発足。女性は51・0%(26人)と半数を超えた。「パリテ(男女議員同数化)に取り組む」とした共産党は55・2%(32人)、「あらゆる意思決定機関での女性比率を50%」とする社民党は41・7%(5人)。「女性候補者比率35%目標を実現」とした国民民主党は40・9%(9人)だった。

 与党はどうか。自民党は比例代表に限り「3割」の目標を達成したが、選挙区も含めた全体では23・2%(19人)にとどまる。公明党は具体的な数値目標を設定しておらず、20・8%(5人)だった。今回、自民党が女性の比例候補4人を追加し、「比例候補の女性比率3割を達成した」と発表したのは5月30日のこと。土壇場になって集めた感は否めない。

参院選比例代表に新人の女性4人を擁立すると発表する自民党の茂木敏充幹事長(中央)=5月30日、東京・永田町
参院選比例代表に新人の女性4人を擁立すると発表する自民党の茂木敏充幹事長(中央)=5月30日、東京・永田町

 

 ▽壁、また、壁

 
 

 

 選挙区ではどうしても現職を優先する傾向があり、女性の参入を阻む壁となっている。今回、全国の選挙区45区のうち富山、滋賀、合区の鳥取・島根、徳島・高知の4区では女性候補がゼロ。前回の13選挙区より大幅に減ったものの、有権者が「国会に女性を送りたい」と願っても、これらの選挙区では選択肢がないことになる。

 日本で女性が政治を志す時、さまざまな壁が立ちはだかる。まずは立候補に対する周囲や家族の反対という壁。「政治は男性のもの」という固定化された性別役割意識があり、「嫁が目立つことをしなくても」などと心ない言葉を掛けられる女性は少なくない。他にも、選挙資金集めの苦労やハラスメント被害、当選後には「男性社会」が色濃く残る議会の慣例が待ち受け、数えればきりがない。これらが「ジェンダー・ギャップ」の実態だ。

 ▽多様性を重視した1票を

 人口の半分を占める女性や、若者、性的少数者、障害のある人など多様な背景と目線を持つ人が国会に参加することが議論を活発化させ、国の活力を生む。選択的夫婦別姓制度や同性婚、LGBTQ支援などへの賛否を候補者にアンケートし、インターネットで公表している団体も増えている。こうした課題について、自分の考えと、政党・政治家の一致度が分かる「ボートマッチ」など、報道機関の参院選特設ページも、充実してきている。多様性を重視して1票を投じたいなら、そうしたサイトも参考になるだろう。

 選挙前に数ありきで女性候補をかき集めるだけでなく、普段から多様な候補者育成にどれだけ注力しているか、誰もが政治に参画しやすい意識改革、議会改革に取り組んでいるかにも、目を凝らしながら、投票する候補者と政党を選ぶ。時間がかかるかもしれないが、これを続けていくことが、女性議員増につながると思っています。

 東京・渋谷駅前で、街頭演説に集まった有権者ら=7月3日(共同通信社ヘリから、画像の一部を加工しています)
 東京・渋谷駅前で、街頭演説に集まった有権者ら=7月3日(共同通信社ヘリから、画像の一部を加工しています)
やまわき・えりこ 東京都生まれ。1992年に共同通信社に入社後、松山支局、大阪支社社会部、横浜支局を経て、本社社会部で厚生労働省や都庁などを担当。特にストーカーやDV、女性の政治参画といったジェンダーを巡る課題に長年取り組んでいる。21年12月から現職。著書は「いのちの砂時計 終末期医療はいま(文庫)」(共著、新潮社)、「改訂ストーカー 被害に悩むあなたにできること リスクと法的対処」(共著、日本加除出版)。ビールと愛犬との時間が息抜き。
やまわき・えりこ 東京都生まれ。1992年に共同通信社に入社後、松山支局、大阪支社社会部、横浜支局を経て、本社社会部で厚生労働省や都庁などを担当。特にストーカーやDV、女性の政治参画といったジェンダーを巡る課題に長年取り組んでいる。21年12月から現職。著書は「いのちの砂時計 終末期医療はいま(文庫)」(共著、新潮社)、「改訂ストーカー 被害に悩むあなたにできること リスクと法的対処」(共著、日本加除出版)。ビールと愛犬との時間が息抜き。

 

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