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門閉ざす北朝鮮、食糧難も 新型コロナで封鎖長期化

2021.8.20 12:24 共同通信

 日が暮れると、建物の上部に掲げられた故金日成(キム・イルソン)主席と故金正日(キム・ジョンイル)総書記の肖像画が白く浮かび上がった。電力不足でも夜の肖像画ライトアップは消えない。周りの住宅のかすかな明かりとは対照的だ。6月上旬、中国遼寧省丹東から対岸の北朝鮮・新義州(シンウィジュ)を望んだ。

 国境の関門都市。以前は中国人らが日帰り観光を楽しんでいたが、北朝鮮は昨年1月末、中国での新型コロナウイルス感染拡大を受けて国境を封鎖。新義州と丹東をつなぐ中朝友誼(ゆうぎ)橋の往来は途絶え、北朝鮮側では新たな鉄条網設置が進む。

 国連制裁の長期化に貿易中断や台風被害が追い打ちをかけ、庶民生活は困窮が伝えられる。金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記は3年前、新義州を現代的な都市として整備するよう指示したが、鴨緑江沿いの高層ビル工事は遅々として進まない。

 金正恩氏は6月中旬の党中央委員会総会で「人民の食糧事情が切迫している」と発言。「食糧危機」に直面していることを認め、農業を最優先課題として打ち出した。

 新義州に隣接する義州郡では住民が広大な畑をくわで耕していた。機械化は進んでおらず、肥料も不足。食糧問題は一朝一夕では解決できない。

 国連食糧農業機関(FAO)は食糧の追加輸入や外国の支援がなければ、秋にかけて「極めて厳しい状況」に直面する恐れがあると警告する。しかし、北朝鮮はコロナ変異株の流入を極度に警戒。内にこもったままだ。

 「人の往来がなくなり、国内の状況は分からない」。中国駐在の北朝鮮人は残した家族を言葉少なに気遣った。(写真と文、共同通信・八田尚彦、井上智太郎)

*写真・記事の内容は2021年7月9日までの取材を基にしたものです。