メニュー 閉じる メニュー
写真

写真

湖国の宝、母川へ帰る 琵琶湖からビワマス遡上

2021.5.9 21:04 共同通信

 ぽつり、ぽつりと降る冷たい雨の中、水面をたたくように銀鱗(ぎんりん)を輝かせて大きな魚がはねる。滋賀県高島市内を流れる安曇川で、婚姻色をまとった淡水魚ビワマスが上流に向けて懸命にジャンプした。


 ビワマスは琵琶湖固有のサケの仲間で主に北部の流入河川でふ化した後、琵琶湖で数年かけて成長。秋から冬に母川に遡上(そじょう)し、産卵して一生を終える。晩秋の川べりでは役目を終え力尽きたビワマスが、あちこちで見られた。


 大雨で増水した川をさかのぼることから地元では「アメノウオ(雨の魚)」の呼び名もある。刺し身や塩焼きが美味だが、産卵を迎えたビワマスを乱獲しないため、10月と11月は禁漁期間だ。


 遡上が秋から冬にかけて風物詩として知られる一方、謎が多いのが琵琶湖での生態。発信器を用いて調査をした近畿大学農学部水産学科の光永靖(みつなが・やすし)准教授(漁業情報学)によると、約73㍍の深さまで潜ることや産卵のため生まれた川を探す様子が分かった。


 高島市によると少なくとも1090年から京都市の上賀茂神社に奉納されてきた、まさしく湖国の「宝」。光永氏は「ビワマスは昔から琵琶湖で生きてきた。生息数をコントロールしながら持続可能な水産資源としてルールを守って取ることが大切」と話した。川と湖の環境が保たれてこそ「命のジャンプ」は繰り返される。(写真と文、共同通信・伊藤暢希)

*写真・記事の内容は、2020年12月9日までの取材を基にしたものです。