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症状を理解して一緒に海へ 障害者と潜るダイバー養成

2017.6.26 0:00 共同通信

 車椅子に乗る東京都江東区の高瀬翔太(たかせ・しょうた)さん(34)は水中撮影が好きなダイバーだ。元とび職の“翔ちゃん”は、作業中に4階の足場から落ち頸椎(けいつい)を損傷した。手足にまひが残ったが、事故後に潜水を始め8年目となる。

 潜るパートナーは障害者ダイビング指導団体HSA(ハンディキャップド・スキューバ・アソシエーション、本部米国)日本支部の太田樹男(おおた・みきお)さん(51)。多くの障害がある人と潜ってきた潜水指導員だ。医学的な知識や緊急対応を学んだ指導員は最盛期に全国で100人はいた。しかし、高齢化や資金難でその数は減った。後継者を全国に広げることがいま課題という。

 6月半ば、太田さんは静岡県伊東市で潜水指導員養成講座を開いた。大阪府吹田市から参加した潜水店経営者の真木崇志(まき・たかし)さん(33)は先天性の十二指腸閉鎖症を克服、「生かされた命。社会に貢献したい」と志願した。

 最終日は翔ちゃんと海に潜る実践だったが、思わぬことが起きた。密閉性の高いドライスーツを着せた時、袖口のゴムが切れたのだ。急きょゴムベルトをきつく巻いた。

 真木さんら2人が翔ちゃんの前後に付き、目を見てゆっくり潜水。水深13メートル、水温20度。太田さんが異変に気付き、全員を浮上させた。切れた袖口から海水が入り、後遺症で体温調節が苦手な翔ちゃんが震えていた。

 「微妙なシグナルを感じることが重要。あれ以上水中にいたら、彼は気を失ったはず」と太田さんは厳しく指摘した。

 「症状を理解して一緒に潜れる人が増えると安心」と翔ちゃん。船上でお湯を浴び、笑顔が戻った。真木さんは「もっと経験を積みたい」と真剣な表情。「技術はどんどん教える。関西にも輪を広げて」と太田さんが握手を求めた。(写真と文、共同通信社写真部 京極恒太、西沢幸恵)

*写真・記事の内容は2017年6月26日までの取材を基にしたものです