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長期化する入管施設収容 引き離された家族

2020.2.4 12:00 共同通信

写真連載企画「難民申請者、五輪の陰に」(上)

 2020年東京五輪を前に、政府が在留資格のない非正規滞在外国人への締め付けを強化している。治安対策の名の下、強制退去の対象となった外国人を次々と入管施設に収容、無期限拘束を続ける。だが、収容者の7割は母国での迫害を恐れ日本政府に保護を求める難民申請者。退去を命じられても帰れず、突然の収容で家族は分断、絶望が広がっている。

 ▽五輪会場対岸で収容

 多くの五輪種目の舞台となる東京湾岸。ビーチバレーの五輪会場、潮風公園の対岸に最大規模の収容施設、東京出入国在留管理局(東京都港区)がある。

 「体調を崩して叫んでも放置された。人間の扱いではなかった」。トルコ出身のクルド人で、18年1月に収容されたチョラク・メメットさん(40)は振り返る。

 トルコで兄がクルド独立運動に参加、危害が及ぶのを恐れ、04年、査証が不要な日本に。妻と長男(15)を呼び寄せ、次男(12)、三男(8)は日本で生まれた。家族全員で難民申請しているが、認められてない。

 ▽家族分断

 法務省入国管理局(当時)は16年4月、難民申請者を含め非正規滞在者を「社会に不安を与える外国人」と規定し、五輪までに大幅に減らす意向を局内に通知。以降、一時的に拘束を解く仮放免と収容の運用を厳格化した。だが、非正規滞在者が犯罪の温床というデータはない。

 18年5月、母と一緒に面会に訪れた次男は、アクリル板越しに手を振る父の似顔絵を描写。「パパ大好き」と日本語を添えた。

 「犯罪者でもないのに、家族と引き裂かれた」と振り返るメメットさんは今年6月、仮放免の許可が下り再び家族と暮らしている。しかし、長期収容の後遺症で睡眠障害などを発症。「これは国のいじめです。日本に人権はあるのですか」。うつろな目で、声を絞り憤った。

 (共同=泊宗之)

 日本の難民認定率 日本の難民認定率は先進7カ国(G7)の中でも極端に低い。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、法務省は2018年、1万6596人の難民申請を処理、42人を認定した(0・25%)。カナダ(56・4%)や米国(35・4%)との隔たりは大きい。多くがクルド人とみられるトルコ出身者の難民認定率は世界平均で45・6%だが、日本ではゼロ。日本は1982年に難民条約を批准したが、トルコ出身者を1人も認定していない。

*写真・記事の内容は2019年11月29日までの取材を基にしたものです。