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「誇りの持てる仕事を」 せっけん工房で働く障害者

2020.1.19 22:14 共同通信

 イチゴ、キウイ、レモン…、まるで凍らせたフルーツバーに見えるが実はせっけん。24人の障害者が働く工房で精魂込めて作られている。


 神奈川県小田原市のせっけん製造販売会社リンクラインは、東京都のIT関連会社が2010年に設立した特例子会社だ。障害者雇用の受け皿としての役割にとどまらず、年に1億円を超える売り上げで、経常黒字を出す躍進を続けている。

 設立者の神原薫(かんばら・かおる)会長は、計画段階で福祉事業所など全国約70カ所を視察した。食品は賞味期限があり、管理が大変。単純作業はIT技術の発達により、いずれ必要でなくなる。目指したのは「誇りを持って生き生き働ける手仕事」。長野県のせっけん工房に住み込みノウハウを学んだ。

 はじめの3年間は赤字続き。質の高い製品を障害者が作っているとアピールしたが、評価はいまひとつ。商品自体の価値を高めようと、自社ブランド「リィリィ」を立ち上げ、本物の果物そっくりのせっけんを開発した。

 リアルさにこだわり、細部まで作り込む。キウイの種まで形作る緻密さだ。機械での大量生産にはまねできない個性の際立つ商品がヒットした。

 「形の違うフルーツを寄せ集めた姿は私たちと同じ」と会長は笑う。身体、精神、知的障害、さまざまな人が交じり、声を掛け合い協力する。

 「せっけん製作だけで、みんなが自活できるようにしたい」と会長は、さらなる成長を描く。

 当初は他社の下請けのみだったが、自社製品を作ると働く障害者の意識が変わった。創業時からのメンバーで知的障害がある茅ケ崎市の秋田美香(あきた・みか)さんは、リィリィのせっけんを街の雑貨店で見つけた。委託製造では、自分たちは黒子の存在だったが、きらびやかな舞台に上がったようで誇らしかった。「ぜひ手に取ってびっくりしてほしい」と胸を張った。(写真と文 金刺洋平・共同通信写真映像記者)

*写真・記事の内容は、2019年12月6日までの取材を基にしたものです。