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この地で一人前の漁師に 石巻、修業する三浦さん

2020.1.18 10:28 共同通信

 深夜3時の出航とともに低いエンジンの音が響く。真っ暗な晩夏の海を明かりが照らすと、養殖されたホタテが次々と漁船に引き揚げられていく。東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城県石巻市雄勝町。大阪市出身の三浦大輝(みうら・だいき)さん(24)はここで一人前の漁師になることを目指している。

 証券会社を退職し、2017年8月に石巻市へ移住した。きっかけは同市の若手漁師らでつくる団体フィッシャーマン・ジャパンなどが開いた1泊2日の漁師学校。震災で漁師不足が深刻化した中、水産業のイメージをよくして担い手を増やそうとする取り組みに共感した。

 そこで出会ったのが銀ザケやホタテなどの養殖業を営む佐藤一(さとう・はじめ)さん(49)だった。年間通じてさまざまな海産物を計画的に収穫していることを学び、「この人のところで働きたい」と弟子入りした。

 浜で出会う年配の漁師たちからは「大阪に戻れ」と厳しくされた。それでも「何を言われてもここで一人前になる」と根気強く仕事を覚えた。親方の佐藤さんも行く先々に連れて歩いてくれた。

 ひたむきな姿勢は伝わった。地域の漁協から準組合員に推薦され、独立して漁ができる共同漁業権を2019年2月に取得。一人で船に乗ってアナゴ漁ができるなど、活動の幅が広がった。

 移住して2年がたった。穏やかな景色や人の温かさに雄勝町への愛着は増していく。「独立してここに暮らし続けたい。それが受け入れてくれた親方への恩返しにもなる」。力強く語った。(写真と文 小沢亮介・共同通信写真映像記者)

 *写真・記事の内容は、2019年9月6日までの取材を基にしたものです。