愛用のハサミ手に80年余り 栃木・箱石シツイさん102歳

理容師になって80年あまり、今も1席だけの理容室で散髪を続ける箱石シツイさん=栃木県那珂川町
理容師になって80年あまり、今も1席だけの理容室で散髪を続ける箱石シツイさん=栃木県那珂川町
2020年01月29日
共同通信共同通信

【カメラ目線】「本気で楽しむ高齢者新時代」(4) 

 栃木県内有数の高齢化が進む那珂川町の一角に「理容ハコイシ」がある。座席は一つ。背筋を凜(りん)と伸ばし、お客の髪を刈る。満州事変の頃、16歳で理容師となった。以来、100歳を超えた今も立ち仕事に向き合う。

 我流の「長生き体操」が日課だ。30分以上、背筋や足のツボを丹念にほぐす。食事時には、野原でつんだアザミやツユクサを煎じたお茶を飲み、体調を維持している。

 人口約1万6千人。4割近くが65歳以上の町に、100歳以上の長寿者が10人(9月1日現在)。高齢の常連客も多いが、「御利益がある」と20代のお客が訪れる日も。

 「人生は海であり川であり山だった」と言う。戦後8年、待ちわびた夫が満州で戦死していたと知った。親子で心中しようとしたが、息子は「嫌だ」と逃げた。以来、女手一つで育て、仕事を続けた。80年余り愛用するハサミを手に「この場所で倒れるまで続けます」

 (共同=喜多信司)

*写真・記事の内容は2019年9月15日までの取材を基にしたものです。