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しなるばねを体の一部に パラ陸上走り幅跳び

2020.1.22 12:03 共同通信

【カメラ目線】「パラアスリートの肖像」(4)

 弓のようにしなるばねのついた左脚に体重を預けて踏み込むと、腕を勢いよく振り上げ宙高く跳び上がった。

 義足が体に「はまる」―。「その瞬間がたまらなく心地よい」と笑顔で語るパラ陸上走り幅跳びの兎沢朋美(とざわ・ともみ)さん(20)。カーボン製の左脚と全身の一体化を追い求める。

 小学生のとき骨肉腫が原因で、太ももから下を切断。2年前、大学で陸上競技と出会うまで、走ることや跳ぶことは想像すらできなかった。

 競技を始めた頃、体を義足に乗せて走ることが怖かった。人工の膝の曲げ伸ばしは、コントロールが難しく、曲がったまま接地すると転倒する。より遠くへ跳ぶために、義足のばねに負けない強い体作りが必要だった。

 ウエートトレーニングで太ももや尻の筋力を鍛えた。踏み切りまでの歩幅や歩数を調整し、義足にしっかり力を乗せ、走る、跳ぶ方法を探った。

 助走から跳躍までの一連の動作が完璧にこなせたとき、義足がうまくたわみ、その反発で体がふわっと浮き上がる。

 「義足が体の一部だと言えるようになったら、最高のパフォーマンスができるはず」と、理想のジャンプを思い描く。

 まだ、脚をなくした事実を完全に受け止められてはいない。「金メダルか脚かと言われれば、脚がほしい」。それでも、「いつかこの人生が幸せだって言えるように」競技を続けていく。

 (共同=仙石高記)

*写真・記事の内容は2019年8月9日までの取材を基にしたものです。