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先端技術で障害の壁に挑戦 日本で初のサイバスロン

2020.1.8 12:04 共同通信

【カメラ目線】「時代のはざまで」(5)

 電動車いすを操る脊髄損傷の男性が、会場に置かれた階段を一段ずつ上る。チームを組む技術者が固唾(かたず)をのみ見守る。6段を30秒ほどで登り切った。

 令和が幕を開けた5月初め、川崎市でロボット技術などを応用した機器を障害者が駆使する国際競技「サイバスロン」の電動車いす部門が開かれた。日本初の大会に、国内外から8チームが参加。障害者の動作を助ける技術開発を進めることが大会の狙いだ。

 野島弘(のじま・ひろし)さん(57)は、交通事故で17歳の時から車いすの生活を送る。21年前の長野冬季パラリンピックではチェアスキーの選手だった。今回、慶応大理工学部チームの一員として参加したのは「自分たちの生活に必要な補助器具の開発を加速する」という目的に共鳴したから。アスリートが新しい世界へ挑み始めた。

 ノブを回し扉を開閉、階段、でこぼこ道…。コースには障害者が日々直面する障壁が盛り込まれている。介助の手を借りず、制限時間内に正確にクリアすることを競う。

 予選2回目の走行で、電動車いすが停止するトラブルが発生し、結果はスイス、ロシアに次ぐ3位。「競うことで悪い点も共有して開発につなげることが財産になります」。表彰台で各国チームと健闘をたたえ合った。

 会場を訪れた、サイバスロンの創始者でスイス連邦工科大チューリヒのロバート・リーナー教授は「今の技術の限界を知り、可能性を探ることが大切」と話す。

 分け隔てのない社会参加へ向け「ゴールは無限にある。一人一人の発想が問われる」と野島さんは未来を見据える。2020年東京五輪・パラリンピックの年にスイスで開かれる本大会を目指す。

 (共同=喜多信司)

*写真・記事の内容は2019年5月17日までの取材を基にしたものです。