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幻の魚、イトウが産卵
遅い春訪れた北海道で

4月末、雪が残りフキノトウが顔を出したばかりの<span class="keyword">北海道</span>北部の河川上流域。倒木とささやぶに悪戦苦闘しながら、ようやくたどり着いた小川に、体長80センチほどの巨大な魚影が浮かび上がった。「幻の魚」と呼ばれる日本最大の淡水魚<span class="keyword">イトウ</span>(サケ科)が、産卵のため遡上(そじょう)しているのだ。幅約5メートル、水深30センチの小川を<span class="keyword">イトウ</span>のペア数組が悠然と泳ぐ。真っ赤な婚姻色に染まった雄は、雪解けで濁った水の中でもはっきりと見えた。<span class="keyword">イトウ</span>を驚かせないよう、小型のカメラで水中をのぞくと、雌が尾びれで小石をはじき産卵床を作っていた。寄り添う雄が、左右に位置を変え産卵を促す。雌を巡って雄同士が激しく体をぶつけ合ったり、体をくねらせ急流をさかのぼったりする場面も見られた。環境省が絶滅危惧種に指定する<span class="keyword">イトウ</span>は、産卵後も死なず、寿命は長いもので20年以上になるとされる。雪解けの増水期に、身を潜めている湿原や沼から遡上する。謎が多い<span class="keyword">イトウ</span>の生態を探るため、国立環境研究所(茨城県つくば市)の福島路生(ふくしま・みちお)・主任研究員らが新たな試みに取り組んでいる。<span class="keyword">イトウ</span>の背中にマイクロチップを埋め込んで放流し、来年の産卵期も再び同じ上流域に戻ってくるかどうかを調べる。福島さんは「今期は約90匹を放流予定。集めたデータをもとに、生息環境の保全につなげたい」と意気込んでいる。(写真と文、鈴木大介・共同通信写真映像記者)*写真・記事の内容は、2018年5月1日までの取材を基にしたものです。

共同通信