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恥ずかしかった姿誇りに
パラトライアスロン

【カメラ目線】「パラアスリートの肖像」(5)脚がない姿が恥ずかしくて、義足にカバーを掛け隠し続けた。パラトライアスロン秦由加子(はた・ゆかこ)さん(38)は、13歳で骨肉腫を発症し右脚の太ももから下を切断。「自分の姿が嫌いだった」彼女を競技生活が変えた。6年前、雑誌で米国のトライアスロン選手が義足を見せて仁王立ちする姿に目を奪われた。「堂々と生きたい」と挑戦を決意した。18年間走ったことがない体は10メートル走るのがやっと。一歩踏み出すたびに義足の接合部がこすれ、太ももは傷だらけに。痛みに耐えて練習すると内側に血がたまっていた。苦しさよりも地面を蹴って跳ね、ペダルをこいで風を切る楽しさが勝った。自転車に乗ると、どこまでも行ける気がした。世界各国の海や湖で泳ぎ、自然や町並みを見ながら走る解放感にのめり込むと、いつしかありのままの姿が誇らしく思えてきた。秦さんは義足に「トム」と名付け、好きな色とデザインで装飾も施している。「愛着がある方が前向きになる」。今ではショートパンツをはいて買い物に出る。東京の舞台では、合計25・75キロ―水泳・自転車ロードレース・長距離走の3種目をこなしてゴールを目指す。「失ったものを数えず、あるものを最大限に生かす努力」をモットーに、躍進する姿を大勢の観客に見せたい。(共同=仙石高記)*写真・記事の内容は2019年8月9日までの取材を基にしたものです。

共同通信