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熱帯の海鳥、長崎に大群
岩礁に数百羽、幼鳥も

熱帯・亜熱帯に生息する大型の海鳥カツオドリの群れが長崎・五島列島の岩礁に集まっている。漁師や釣り人以外はほとんど訪れない場所だが、今年夏には幼鳥の姿も確認され、専門家は「絶海の孤島に生息するカツオドリが温帯の本土に近い海域にいるのは驚きだ」と繁殖確認に期待する。長崎市の西約100㌔に浮かぶ「楽園」で元気に飛び回る姿をカメラが捉えた。高さ50㍍ほどの岩礁に船が近づくと、驚いた鳥たちが音を立てて一斉に飛び立った。大きな黒い翼と白い腹のコントラストが美しい。「確実に300羽以上いる」。観察を続けている地元の愛好家が目を輝かせた。五島列島で最も大きい福江島のすぐ近く。地元で「立島」と呼ばれる大小三つの岩礁に集まるカツオドリを市民団体「五島自然環境ネットワーク」が確認したのは2014年9月だった。今年8月には巣立った幼鳥も確認している。海面からほぼ垂直にそそり立つ岩の壁。飛び去った群れはしばらくすると警戒を解いたのか、元いた場所に戻ってきた。時折飛び立っては、空中で翼をたたみ、ミサイルのように海中に飛び込む。大型魚に追われた小魚を捕って食べる習性で、漁師に魚群を知らせたのがその名の由来とされる。山階鳥類研究所の富田直樹(とみた・なおき)研究員によると、これまで国内で確認されたカツオドリの繁殖地は、伊豆諸島南部の須美寿島、草垣群島(鹿児島県南さつま市)などいずれも本土から遠く離れた無人島。五島自然環境ネットワークは幼鳥が多いとみられる初夏に再び観察して、繁殖を確認しようと意気込む。ハチクマなどの渡り鳥も飛来する福江島周辺では風力発電施設の建設計画が相次ぎ進行中だ。9月に現地を訪れた樋口広芳(ひぐち・ひろよし)東大名誉教授(鳥類学)は「豊かな海の食物資源があり、繁殖している可能性が高い」と期待を寄せる一方、「移動範囲が広く、体が大きい鳥なので、風車に衝突して事故になる危険もある」と心配している。(写真と文 上松亮介・共同通信写真映像記者) *写真・記事の内容は、2018年12月7日までの取材を基にしたものです。

共同通信