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停滞するロヒンギャ帰還
難民の未来に影

のどかな田園風景が広がるバングラデシュ南東部コックスバザール。ミャンマーから逃れたイスラム教徒少数民族ロヒンギャの難民キャンプを目指して車を走らせていると、銃を持った迷彩服の男が立ちはだかった。「おまえは誰だ。ここに来た目的は」バングラデシュでは2018年12月30日投開票の議会選を控え、厳戒態勢が敷かれた。キャンプ周辺も例外ではなく、兵士が出入りを制限。前後数日間は支援関係者でさえも原則立ち入り禁止となった。政府のカラム難民帰還弁務官は「ロヒンギャ難民が政治利用されないための予防策」と説明した。貧困から人身売買や麻薬密売に巻き込まれる難民もおり、地元NGO代表は「与野党の支持者の衝突に動員されかねない」とも指摘した。両国は18年11月の帰還開始で合意したが、ミャンマーでの身の安全を危ぶむ人たちが同意せず延期に。再開の見通しはないため苦しい避難生活が長引いている。7人の子どもを持つアジムッラーさん(45)は、救援物資の食料だけでは不十分なためキャンプ内の道路補修作業などで得るわずかな収入を家計の足しにしている。一方で、人口72万人超の巨大なキャンプの存在を憂慮する声もある。地元の男性は「キャンプ設営で多くの森林が伐採され、野生のゾウを見なくなった。難民たちがいなくなっても自然は戻らない」と語気を強めた。キャンプの入り口で警戒する兵士のそばで、子どもたちがサッカーをしていた。両親やきょうだいと避難しているアスマトゥッラーさん(13)に将来について聞くと「どこか別の国に行ってお金を稼ぎたい。仕事は何でもいい」と、はじけるような笑顔は消えた。ロヒンギャ難民が未来を描ける日はいつ来るのだろうか。(写真と文 山内大輝・共同通信写真映像記者)*写真・記事の内容は、2019年1月11日までの取材を基にしたものです。

共同通信