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冬の海に南の魚やサンゴ
伊豆、水温上昇の影響か

<em> 近年、日本近海の水温が暖かい。昨年12月中旬、静岡県伊豆半島東西の海に潜った。平年より2度近く高い水温19度。冬になっても南国の魚が泳ぎ、南方から北上したサンゴが成長を続ける。温帯の海に亜熱帯と見まがうような光景があった。</em><em>  半島の東、相模湾に面する伊東市富戸でダイビング店を営む大西敏郎(おおにし・としろう)さん(49)は、30年以上、伊豆で潜ってきた。セナキルリスズメダイ、ハタタテハゼ、ソメワケヤッコ、トゲチョウチョウウオ…。例年水温が急激に下がる12月には見なかった熱帯性の魚を水中で示してくれた。夏から秋、南から卵や稚魚が黒潮に運ばれて来るが、冬に姿を消していた「死滅回遊魚」たちだ。この数年、出合う種が増え、冬も成長した姿が見られる。 </em><em> 熱帯性の魚の生死の境は水温15度。同市の伊豆海洋公園ダイビングセンターによれば、2019年1~3月の水温は20~15度を下回らず、この傾向は今冬も続いている。  伊豆近辺の死滅回遊魚に詳しい神奈川県立生命の星・地球博物館の瀬能宏(せのう・ひろし)主任学芸員(61)は「屋久島以北、四国や紀伊半島あたりから、産卵と繁殖の場が徐々に北上し、伊豆に流れ着くものが増えたのかもしれない」と仮説を立てる。水温上昇が続けば、越冬する種が増え、魚類相が一気に変わるかもしれない。</em><em>  変化は魚ばかりではない。富戸の水深12メートル、岩陰に体長約80センチのウミガメ、タイマイがいた。国際自然保護連合(IUCN)によって絶滅危惧種に指定され、本来の生息域は奄美諸島以南のサンゴ礁の海。11月から居着き、年明け後も水温が下がらず目撃されている。</em><em>  半島の西、駿河湾北東の沼津市西浦久連(にしうらくづら)の浅瀬では、直径20~30センチのテーブル状のサンゴ、ミドリイシが数メートルおきに点在していた。沖縄以北で和歌山県串本など南日本に多い種だ。元東海大水産学科の横地洋之(よこち・ひろゆき)博士(66)らの研究グループが、数年前に気付いた。</em><em>  一帯は枝状サンゴの大群落が1990年代に発見された場所に近いが、テーブル状のミドリイシは当時は見られなかった。久連より緯度がやや南の千葉県館山市波左間沖でも07年に見つかり、サンゴの北上を裏付ける話題に。横地氏によれば、年に半径1センチ程度とされる成長率から見て10年ほど前から定着し始めたと推定される。温暖化に伴う水温上昇傾向や、黒潮の流れ方との関係が疑われるという。(共同通信写真部・京極恒太、西沢幸恵)</em><em>▼一口メモ</em><em>日本近海の海水温 </em><em> 日本近海の海水温 気象庁によれば、日本近海の平均水温は2018年までの100年の間に1・12度上昇。上昇率は世界平均(0・54度)の2倍ほどの大きさだ。関東の南では秋と冬の上昇率が高い。一方、19年、国内の年間平均気温は基準値(10年までの30年平均)を0・92度上回り、1898年の統計開始以来最も高かった。近海の水温も高めで推移した。</em><em> 写真・記事の内容は、1月14日までの取材を基にしたものです。</em>

共同通信