TAKURO「踏みとどまる知恵に」 GLAYが戦地思い新曲

2022年09月30日
共同通信共同通信
GLAYのTAKURO=東京都渋谷区
GLAYのTAKURO=東京都渋谷区

 

 「この曲が戦いを踏みとどまるための、一つの知恵になってほしいという淡い期待もある」


 ロックバンドGLAYが新曲「Only One,Only You」を出した。ロシアのウクライナ侵攻に憤り、作詞作曲したのはリーダーのTAKURO。戦争という装置に組み込まれた兵士の姿を通して、自由の大切さを問いかける。(共同通信=瀬野木作)

GLAYのシングル「Only One,Only You」
GLAYのシングル「Only One,Only You」

 


 やりたくはないがそれが正しいと教えられた―。戦場の不条理さを象徴するフレーズがTERUの歌声で切なさを帯びる。2018年から米国で暮らすTAKUROは、戦禍を伝えるニュースを見て「一国の暴挙を止めるシステムがないことにまず驚き」、曲作りを始めた。「どっちが善で悪かではなく、戦場に立つ人たちは何を思うのか。一人の兵士にフォーカスしたら作品が生まれる予感がした」


 テーマがテーマだけに「夫であり、親であり誰かの友、息子である自分」という身の丈の曲作りにこだわった。詞にある「父(かれ)は叫んだ」という視点は現れの一つだろう。


 「兵士たちに『戦争に行きたくない』と親や上官に伝えられる自由があるのか、戦いが終わった後に彼らの精神はまともでいられるのか…。50歳をすぎた大人として若い人たちが心配ですね」

 シリアスなサウンド、悲壮な叫びの中でサビにはゴスペルの要素を取り入れた。「どこまでいっても僕らはエンターテインメント。最後は人間の持つ希望を感じたかった」とTAKURO。だからこそ、「自由とは何か」という問いがより重みを増す。

GLAYのTAKURO=東京都渋谷区
GLAYのTAKURO=東京都渋谷区

 


 シングルは今回で60枚目。1994年のデビュー以降、CD売り上げやコンサートの動員で桁違いの数字を打ち立ててきた。TAKUROは「有名性を手に入れたなら、それを良いことに使えば帳尻が合うと思っている」と言う。メンバーの4人には「共通の認識」があるという。


 「言葉はたやすくうそをつく。だから僕らの歌の説得力を増すためには、人としての行動を伴うべきだと。その一つとして、人々の大きな関心事には声を大にして自分たちのステートメントを伝えていきたい」


 TAKUROはそんな自分たちを「真面目。いざこざもなく遅刻もしない。いわゆるロック的な武勇伝は一つもないです」と笑った。輝かしいキャリアの中で真摯な姿勢を貫いてきたバンドの新曲は、先行きの見えない不穏な世の中で多くの人の心に今響こうとしている。

「これまで(の歴史で)も思いの強い曲が戦車を止めたことはない。でも人間に対する期待は最後までし続けたい」とGLAYのTAKURO=東京都渋谷区
「これまで(の歴史で)も思いの強い曲が戦車を止めたことはない。でも人間に対する期待は最後までし続けたい」とGLAYのTAKURO=東京都渋谷区