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卓也の頑張り、俺の励み カヌー羽根田卓也選手の同級生 輝け TOKYO

2020.3.25 7:30 共同通信
羽根田卓也選手からの手紙を手に笑顔の中西拓馬さん=2019年12月、名古屋市
羽根田卓也選手からの手紙を手に笑顔の中西拓馬さん=2019年12月、名古屋市

 

 あいつが頑張っていると、俺も頑張れる―。交通事故で重い障害を負った名古屋市中村区の中西拓馬さん(32)は、2020年東京五輪への出場を決めたカヌー男子カナディアンシングル羽根田卓也選手(32)の高校時代の同級生。リオ五輪の銅メダルに続き、2大会連続のメダルを目指す親友の活躍を励みにリハビリを続けている。

 愛知県豊田市の私立杜若(とじゃく)高で同じクラス。お互いの家に泊まり合うほどの仲だった。その頃からカヌーに打ち込む羽根田選手は、野球部のキャプテンで4番打者だった拓馬さんにとっても尊敬できる存在だった。父親の一豊さん(57)によると、拓馬さんは当時「学校を休んで海外の大会に出ているすごいやつ」と目を輝かせながら羽根田選手のことを語っていたという。

 2008年5月。就職していた拓馬さんは交通事故で脳に障害を負った上、体がほとんど動かせなくなり、左目も失明した。羽根田選手も見舞いのために急きょ帰国し、意識が戻っていなかった拓馬さんにこんな手紙を残した。「北京決まったぞ。メダル取ってくるわ。だから早く元気になるってお前も約束しろ」。高校時代の口調と変わらない文面に誰よりも回復を願う気持ちがにじんでいた。

2016年9月、中西拓馬さん(右)のリハビリ施設を訪問した羽根田卓也選手(左)=名古屋市(中西さん提供)
2016年9月、中西拓馬さん(右)のリハビリ施設を訪問した羽根田卓也選手(左)=名古屋市(中西さん提供)

 

 「約束を果たそう。頑張ろう」。意識が回復した後に手紙を読んだ拓馬さんは羽根田選手のポスターを自宅に張り、一生懸命、リハビリに取り組んだ。当初は寝たきりだったが、車いすでの生活に移り、現在は歩行器を使えば歩けるほどになった。電線の中の銅線をビニールからはがし取る作業が得意だ。リハビリ施設に羽根田選手が激励に訪れることもあった。

 拓馬さんは最近、新聞の切り抜きをノートに貼り、余白に感想を書き込むトレーニングを続けている。「前は真っすぐ書けず、字の上に字を書いていたが、だいぶちゃんとできるようになった。わずかだけど少しずつ良くなっている」と一豊さん。「会話はまだまだ。富士山を1ミリずつ登るようだ。もともと体を動かすのが好きなので何かスポーツをやらせたいが、そこまで行けてないのが現状だ」と言いつつ少し頬を緩める。

 「東京では卓也らしくやってくれたら。リオよりもいい色のメダルになったら、それに越したことはない」。一豊さんがそう言うと、拓馬さんは「そうだ、そうだ」と力強くうなずいた。(共同通信=鈴木拓野)

カヌー・スラロームの国際大会、オーストラリア・オープン予選で旗門を攻める羽根田卓也選手=2月21日、ペンリス(共同)
カヌー・スラロームの国際大会、オーストラリア・オープン予選で旗門を攻める羽根田卓也選手=2月21日、ペンリス(共同)

 

 カヌー競技 急流に設置されたゲートを通ってタイムと得点を競うスラロームと、流れのない直線コースで一斉にスタートして順位を競うスプリントに大別される。片側に水かきのあるパドルでこぐカナディアンと、両端に水かきのついたパドルでこぐカヤックがある。カナディアンカヌーは北米大陸で先住民が移動や物資の輸送に使ったのが原型とされる。

 

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