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編集部こぼれ話

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安倍対ロ外交を検証、北海道新聞が新著 伝わる地元紙の使命感

2021.10.5 15:49
 
  ロシアのプーチン大統領と27回に及ぶ首脳会談を繰り返し、北方領土問題の解決と日ロ平和条約締結を目指した安倍晋三元首相の対ロ外交を検証する新著を北海道新聞が出版した。日ロ双方に丁寧に取材した膨大な取材メモを基に交渉の最前線を再現した。 

 本書のタイトルは「消えた『四島返還』 安倍政権 日ロ交渉2800日を追う」。安倍氏が、日本政府が追求してきた北方領土問題の「四島返還」から、「二島返還」による最終決着を目指す方針に大転換し、平和条約締結合意を目指したが、失敗した経緯を綿密な取材で描き出している。
 安倍氏の退陣後、政府は四島返還路線に軌道修正を図っており、二島決着を目指した事実を封印しようとしている。しかし、ロシア側は、日本が一時的にせよ四島返還要求を放棄したと受け止めており、安倍外交が今後の交渉に大きな影を落とす可能性がある。
 日本ではメディアも含めこの点が十分に理解されていない。本書は日ロ交渉史の極めて重要な局面の真実を記録にとどめた点で重要だ。
 ロシアが2014年にウクライナ南部クリミアを一方的に編入し国際的批判を浴びる中で、安倍氏はこれを好機ととらえ対ロ外交に猛進。8項目の経済協力プラン、四島での共同経済活動、二島返還決着を次々と提案するが、前のめりの安倍氏の足元を見たプーチン氏は平和条約交渉で一歩も動かなかった。
 北海道新聞の取材チームは一連の過程を東京の首相官邸と外務省、根室市、北方領土を事実上管轄する極東サハリン州、プーチン大統領のお膝元モスクワに展開して取材。ロシア側の当局者の言動やメディア報道も豊富に盛り込み、日ロ双方から見た交渉の全体像をドキュメンタリータッチで提示した。北方四島を抱え、高齢化が進む元島民と向き合う「地元紙の使命感」がひしひしと感じられる。


 「消えた『四島返還』 安倍政権 日ロ交渉2800日を追う」(北海道新聞社、1980円)。北海道新聞のWEB「どうしん電子版」の特設サイト(https://www.hokkaido-np.co.jp/abe2800)で、会員向けに公開したものを加筆修正した。

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