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若者の巻き込みは不足 視標「自民惨敗、小池圧勝」

NPO法人「Rights」代表理事 高橋亮平

 注目された今回の東京都議選の投票率は、政権交代直前に行われた2009年7月の54・5%には及ばなかったものの、終わってみれば51・3%と前回の選挙よりも7・8ポイント上回っている。

 ただ、今回の選挙での18歳投票率は、昨年7月の東京都知事選と同様に、全体の投票率を下回っているとの印象を持っている。これは18歳投票率が全体の投票率を上回った昨年7月の参院選と異なる結果である。

 その理由として、18歳選挙権が実現した後の初の都議選であった割には、各党ともむしろ政局と従来型の選挙活動に終始したため、若者に向けた働き掛けが極めて少なかったからだ。

 私が代表理事を務め、18歳選挙権の実現を求めてきたNPO法人「Rights」は、今回の都議選において、若者の政治参加や政治教育に関する全候補者アンケートを実施し、その回答から「若者のミカタは誰だ?」といったキャンペーンを行った。

 例えば、若者の声を都政に反映させるための若者参画政策については「審議会・有識者会議などへの高校生・大学生を含む若者の登用」、政治教育には「現職の議員を超党派で学校に招くことの推進を積極的に行う」といった項目について、回答候補の9割以上が「当選後あらゆる手段を用い実現できるよう働き掛ける」「当選後質問で取り上げる」と前向きな答えが多かった。

 これ以外の項目では「賛成とは言えない」といった意見も目立っている。さらに若者に向けたこのアンケートへの回答率も低かった。

 この結果について、若者の声を反映した政策を形成する以前に、若者の声を聞こうとすることにすら理解が少ない印象を受けた。つまり若者のミカタはいたけれども、少なかったということだ。

 一方で、今回の都議選では、前回に比べて若手都議が数多く誕生したことは注目したい。20代議員は5人、30代の議員は22人に倍増し、平均年齢も下がっている。

 小池百合子都知事が率いる「都民ファーストの会」が躍進した要因の一つには、女性はもちろんだが、これまで政治に関わってこなかった若い人材の立候補によって政治が少し身近になったことがあるようにも思う。

 国政レベルの話になるが、昨年の参院選では全ての主要政党が立候補できる年齢の制限、つまり被選挙権の年齢の引き下げを掲げ、自民党も19年4月の統一地方選に向け引き下げる方向で検討している。これら若者たちが直接政治家として関わる流れは、今後さらに進んでいくだろう。

 18歳選挙権の導入に伴う若者に目を向けた政策の導入や、政治参加への関心の高まりは、一過性のブームに終わらせてはいけない。選挙以外でも、若者を政策の決定過程に巻き込むことも含めて、どう民主主義の質を高めて行くかが、今後の大きな課題と言える。

  (2017年7月3日配信)

高橋亮平

名前 :高橋亮平

肩書き:NPO法人「Rights」代表理事

プロフィール: たかはし・りょうへい 1976年千葉県生まれ。明治大卒。市川市議会議員、中央大特任准教授などを経て現職。一般社団法人「生徒会活動支援協会」代表理事。著書に「世代間格差ってなんだ」「18歳が政治を変える!」(いずれも共著)。

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