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米の先制攻撃排除できず  視標「北朝鮮ミサイル発射」

元空将 永岩俊道
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 情報が少ない中での初期的な分析になるが、発射されたのは、新型中距離弾道ミサイル「火星12」とみられる。火星12、さらに大陸間弾道ミサイル(ICBM)の「火星14」を巡っては、「RD250」と呼ばれる旧ソ連製の液体燃料エンジンを使っている可能性を指摘した英シンクタンク国際戦略研究所(IISS)の最新分析がある。

 確かに5月に発射された火星12、7月に2度発射された火星14のエンジンはRD250に酷似している。北朝鮮が独自開発したとは考えにくく、入手経路はともかく、外国産技術の下支えがあってミサイルの増産体制を築いたと考えられる。このエンジンの燃焼実験は昨年9月に初めて確認された。発射実験も今回が4回目でペースが上がっている。

 そのことは、ICBMの戦力化が最終段階に入ったことを物語っている。ミサイルエンジンの信頼性を確保できたら、次なる課題は、大気圏突入から着弾までの「終末段階」における精密誘導能力の獲得に移る。

 北朝鮮はそのために実験に基づいたデータを必要としており、今後も今回のような通常軌道での発射を繰り返すだろう。また、このまま米側からの外交的アプローチがなければ、核弾頭の小型化を実現するために6回目の核実験も行うだろう。

 こうした状況で排除できないのは、米本土に届くICBMの戦力化を阻止するために、トランプ政権が「サージカル・アタック(脅威を取り除くための外科的な攻撃)」に打って出る選択肢だ。

 北朝鮮によるICBMの戦力化は米国にとって、核の使用による脅しを公然と主張する初の国家の出現を意味し、深刻な核拡散にもつながる。自国の防衛と世界の安定を考えると、絶対に看過できない事態だ。

 加えて米国の内政状況がある。トランプ大統領は厳しい政権運営を強いられており、国外に戦火を開き、政治的な活路を見いだそうとする可能性はゼロではない。

 一方、日本は既に北朝鮮のミサイル攻撃の射程圏内にある。既に現実的な軍事リスクの渦中にあるわけで、軍事・外交・経済の面で、国家として備えるべき課題は山のようにある。地上配備型の迎撃システム「イージス・アショア」を配備すれば解決するという次元の問題ではない。(談)

  (2017年8月29日配信)

永岩俊道

名前 :永岩俊道

肩書き:元空将

プロフィール: ながいわ・としみち 1948年、鹿児島県生まれ。防衛大卒業後、航空自衛隊入隊。西部航空方面隊司令官、航空支援集団司令官などを歴任。永岩アソシエイツ代表。

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