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各テーマの専門家に原稿を依頼したり、取材してまとめたりした「識者評論」「視標」、編集委員や論説委員、専門記者らが執筆した「核心評論」を随時アップ。

学び続け、新たな挑戦を  特別評論「企業の採用方針」

日本マイクロソフト執行役員人事本部長 杉田勝好

 われわれが社員に期待し、求めるのは学習の意欲だ。特に新卒者については、既に何かを知っているということはないはずだ。これから何を学び、新しく作れるか。入社後に何を学ぶかだ。学んで挑戦し、行動につなげてほしい。

 社員には失敗せよと言っている。早く失敗して、早く改善し、早く新しいチャレンジをしようと。一番悪いのは、失敗も挑戦もしないことだ。サティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)が強く訴えていることだ。社員一人一人が、自分の人生の使命、目的を踏まえた上で会社での役割を考えることが大事だ。人生の使命と会社でやり遂げたいことが合っているかが重要だ。自分が乗っている船が正しい船か、正しく進んでいるのか、会社とともに考えてほしい。そうした点を重視して採用活動にも取り組んでいる。

杉田勝好さん
杉田勝好さん

 2017年から新卒者は、インターンシップからの採用を中心にしている。大学3年生からで、今年8月と9月の実施分は20年4月に入る新卒者向けだ。新卒者は毎年40、50人で、職歴が2年より短い人は新卒とみなしている。

 インターンシップでは、実際に仕事をしてもらっている。われわれの方からも人物を見るが、実際に職場で働いてもらうことで価値観が合うかどうか、マイクロソフトをテストしてほしい。合わなければ、入らなくていい。働く人と企業とのミスマッチが最大の不幸だ。面接だけではあてにならない。

 日本では新卒者の就職活動では一定のルールがあるが、そもそもルールを決めて横並びにする必要はないと考える。早い時期から就職活動をすることが、学業に影響を及ぼすとは限らないだろう。われわれのところにインターンシップに来る学生は、自分で就活、学業のバランスをとっている。インターンシップの後、入社までの18カ月は、いろいろな経験をしてもらい、会社のことを知る良い機会になっている。

 海外だと1年目から即戦力だが、日本ではそこまでは無理だ。1年目は勉強期間で、日本法人が責任を持って研修をする。この点は日本的だ。ただインターンシップでは、学生にもかかわらず、普通の社員と遜色なく仕事ができる学生がいて驚くことがある。マーケティング部門で、イベントで使うビデオを制作会社と折衝して2カ月で作り上げた。

 海外と比べると、新卒採用では日本は特殊だ。海外は基本的には新卒も既卒も同じように採用する。4月1日に一斉に入社するなどない。卒業直前に採用試験を受けたり、卒業後にしばらくボランティアをしてから就職活動をしたりする人もいる。

 最近、特に感じるのは海外の学生の優秀さだ。韓国や中国、インドの学生らはハングリーで、新しいことを学び続けている。日本は大学入学後や就職後に、勉強をやめてしまうのではないか。日本の学生をみると、その点が気掛かりだ。

 中途採用に関しては、日本でも常にオープンにしている。うちを一度辞めた人も来る。2回目の入社というのは珍しくなく、4回目という人もいた。全然、気にしない。むしろ、戻ってくれてありがたい。他社でさまざまな経験を積むことで、スキルアップした人が来るのは歓迎だ。マイクロソフトの良さをあらためて感じてもらえるとうれしい。幹部はもちろん、すべての社員が採用にかかわるようにしている。これはと思う人材を見たら、すぐに採用活動にかかる。

 大事なのはあくまで個人であって、個人の側に会社を選ぶ権利がある。社会としては、その方が良い。世の中全体で、今は企業が強くなり過ぎている感じがする。

 会社の事業として、製品など販売金額は大事だが、世界全体でマイクロソフトのビジネスそのものが変わってきた。ネットワークで情報を処理するクラウドに力を入れており、その点でも契約するだけではなく、どれだけ長く利用されるかを重視している。顧客である企業や自治体とともに考えて、解決策を示すことが重要になっている。

 例えば森林保護を考えている自治体に対して、いかにしてITを活用できるかを提案する。金融機関、自動車メーカー、コンビニなど省力化しながらどのように収益につなげられるか、技術力を駆使して解決策を示したい。(聞き手は共同通信編集委員 山崎英之)

すぎた・かつよし

名前 :すぎた・かつよし

プロフィール:1967年新潟市生まれ。旭化成、アストラゼネカなどを経て2016年日本マイクロソフト入社。

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