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外国人も同じ「人」  視標「入管難民法改正案」

弁護士 児玉晃一
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 深刻な人手不足に対応するべく、外国人受け入れを拡大するため、「特定技能1号」「特定技能2号」という新たな在留資格創設を盛り込んだ入管難民法改正案が2日、国会に提出された。

 1号は、不足する人材の確保を図るべき産業分野に属する、相当程度の知識または経験が必要な技能を要する業務に従事する外国人向け。2号は、同じ分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けであり、1号の在留資格を持つ人が所管庁の定める試験に合格することで移行することができる。

 1号の在留資格では家族の帯同は認められず、2号に該当して初めて配偶者や子に対して在留資格を付与する。

 1980年代には20万人以上もの非正規滞在者の就労を黙認、その後も日系人に「定住者」の在留資格を認め、研修(現在は廃止)、技能実習、さらには留学生を労働力不足解消のための人材として頼ってきた。このようなバックドアやサイドドアからの外国人受け入れ政策をしていたことは周知の事実だが、政府の建前は一貫して非熟練労働者の受け入れは認めないというものだった。

 今回の制度創設は、部分的にではあるが、正面から外国人を労働力として必要であることを認め、正面からの受け入れに大きな政策転換を行ったものである。その点では評価ができる。

 しかし、深刻な労働力不足を解消するための、いわば待望の助っ人に家族帯同すら認めないのはいかがなものか。

 政府の外国人政策には、外国人も私たちと同じく血が通い、心を持ち、家族や友人を愛する「人」であるという当然の視点が決定的に欠けている。彼らは使い捨ての機械部品の一つではないのだ。

 現在の技能実習制度でも、受け入れ先の過酷な待遇に耐えかねて逃げ出す人は後を絶たない。その結果、不法就労や不法滞在として入国管理局に収容され、退去強制を余儀なくされる。いびつな形で労働力を支えてきた彼らの末路は、不必要な長期拘束の末の使い捨てである。

 その収容手続きや退去強制手続きは国連でも度重なる勧告を受けているのに一向に改正される気配はなく、今回の法改正でも何ら言及はない。労働力不足解消のため、迎え入れようとしている助っ人たちも同じ末路をたどるのは明らかである。

 プロ野球で助っ人外国人を招聘(しょうへい)する際、活躍するまでは家族を呼べない、末路は収容されて強制送還などと言われたら、到底、優秀な人材は招致できまい。

 今回の法改正は、日本の入管政策を大転換し、国の在り方を大きく変動させることになる。その審議は拙速なものであってはならない。結論が出るまでの労働力不足解消のためには、諸外国で行われているアムネスティ(一定の条件を満たした非正規滞在者に在留資格を認めること)を実施してはどうか。

 米国では1987年から88年にかけて270万人、韓国でも2003年に18万人もの非正規滞在者が合法化された。

 外国人も同じ「人」であるという当たり前の視点を出発点とし、在留資格創設といった受け入れだけではなく、出口である退去強制手続きの見直しまで含めた一貫した制度設計を行うべきである。

 (2018年10月24日配信、11月2日法案提出に伴う差し替え)

こだま・こういち

名前 :こだま・こういち

プロフィール:1966年東京生まれ。94年弁護士登録。東京弁護士会外国人の権利に関する委員会の元委員長。移民政策学会の共同代表も務めた。

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