足立紳監督「昔の自分に教わる気持ちで」 映画「雑魚どもよ、大志を抱け!」
2023年03月22日


映画「雑魚どもよ、大志を抱け!」より。小学生役の7人<(C)2022「雑魚どもよ、大志を抱け!」製作委員会>
昭和の終わり頃の田舎町を舞台に、男子小学生7人の葛藤と成長を描いた映画「雑魚どもよ、大志を抱け!」が3月24日公開。足立紳監督が自身の子ども時代を基に構想を練り続け、約20年がかりで公開に至った意欲作だ。「ちっぽけだけど一生懸命だった昔の自分から、大切なことを教わるような気持ちで作りました」
友達とつるんで悪さを繰り返す主人公、高崎瞬(池川侑希弥)をはじめ、登場人物は「今の価値観に照らすと『駄目なやつ』ばかり」と足立監督。不完全な彼らが、もがきながら前に進む物語を
「誰もが生まれながらに正しくあることを求められる今の時代にぶつけてみたかった」と語る。
小学生7人を演じるキャストは、オーディションで「それぞれの役に一番、印象が近い子を選んだ」。特に池川は「素直で飾らない感じが瞬そのものだった」という。

映画「雑魚どもよ、大志を抱け!」より。池川侑希弥が演じた主人公、高崎瞬<(C)2022「雑魚どもよ、大志を抱け!」製作委員会>
演技経験のない子もいたため、撮影前に約2カ月間のリハーサルを実施。7人が「本当の幼なじみのように話せる関係づくり」を心がけた。撮影が始まる頃には「ふざけていると本番の合図が耳に入らないくらい仲良くなってくれた」と笑う。

「小学生役の7人は、自分の子ども時代よりはるかにちゃんとした子たちでしたね」と話す足立紳監督
ロケ地となった岐阜県飛騨市は「昭和の街並みが奇跡的に残っている土地」。どこにカメラを向けても絵になるため「子どもたちが自由に遊び回る姿を長回しで撮ることができた。最高のロケ地だった」と振り返った。
(取材・文:共同通信 高田麻美、撮影:平栗玲香)