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棄権、実は「不合理」です! 国会不信なら、なおさら投票を

2022.7.6 13:36 共同通信
 前回衆院選の際、投票を呼び掛けるプラカードを手に商店街を練り歩く市民ら=2021年10月、東京都中野区
 前回衆院選の際、投票を呼び掛けるプラカードを手に商店街を練り歩く市民ら=2021年10月、東京都中野区

 

 さしたる盛り上がりもないまま参院選は投開票日を迎えつつある。投票率が5割を切らないか心配だが、仮に50%台に乗ったとしても喜べるはずもない。半数近くの有権者が結局、選挙権を放棄するのだから。一向に上がらない賃金と天井知らずの物価高、親の介護や子育て、年金はきちんと受け取れるのかといった将来不安…。政策がいかに自分たちの暮らしに直結しているかを伝えてきた報道機関の端くれとしては関心のなさに忸怩たるものがある。

 みんなが棄権しないで政治判断を示す方が望ましいに決まっている。が、投票に行かないこともある意味、理にかなっているから厄介だ。(共同通信編集局次長=木下英臣)

 

 ▽得も価値もない

 
 

 

 投票に行かない理由を尋ねると、おおむね①忙しい②入れたい候補、政党がない③そもそも政治に興味がない④投票に行っても政治は変わらないから無駄―の4点あたりだろう。ただ、どの理由も4番目の「行っても無駄」に最終的にはたどり着く。当然、有権者はそれぞれに1票しか与えられていない。その1票が選挙結果を左右する可能性は限りなくゼロに近いのが現実だ。「得にならない、費用対効果が期待できないこと」をしないというのは行動原理として理屈がある。もし自分に得だ、価値があると思えば多忙な人、政治に関心の薄い人でも時間をつくって投票所に足を運ぶ。当日が空いてなければ期日前投票もある。

 「棄権を正当化するのか」「1票の積み重ねが、大きなうねりを起こしてきた選挙を知らないのか」とお怒りの方、ここからが本題です。投票に行かないことは本当に合理的なのか。よくよく考えると、とても不合理なのだ。

 

 ▽大河の一滴でも

 

 日本の非営利民間シンクタンク「言論NPO」が2019年に公表した「民主主義に関する世論調査」を見てみよう。国会を「信頼している」は3割しかなく、6割超が「信頼してない」と回答。米国も同様で連邦議会への信頼は各種調査でやはり3割前後にとどまっている。日米両国とも公的機関に対する信頼は全般に低下傾向にあるが、中でも議会は最低レベル。要するに今の議会構成メンバー、つまり政治家が気に入らないのだ。

 街頭演説を終え、集まった人たちとタッチを交わす自民党総裁の岸田文雄首相=7月2日、福井市
 街頭演説を終え、集まった人たちとタッチを交わす自民党総裁の岸田文雄首相=7月2日、福井市

 

 ならば気に入らない現職を落とせばいいのに、新人はなかなか当選できていない。参院選の新人当選率は高い時でも3割に満たず、10%を割り込むこともある。米下院でも現職の再選率が9割近い。棄権の結果、鼻持ちならない嫌な政治家が、のうのうと税金で飯を食っている状況を許しているのである。

 「1票では当落が変わらないと指摘したのはおまえだろう」。確かにあなたの1票の影響は微々たるもの、大河の一滴かもしれない。だが、嫌なやつが国会からいなくなるためにわずかな努力をするだけで、結果はともかくちょっぴり気が晴れるかも。少なくとも手をこまねいているよりはずっといい。

衆院選の投票所に入る有権者ら=2021年10月31日、東京都港区
衆院選の投票所に入る有権者ら=2021年10月31日、東京都港区

 

きのした・ひでおみ 長野県飯田市出身。福岡支社などを経て、96年政治部。官邸、与野党、外務省担当を経てワシントン支局で安全保障を主に取材。政治部次長から12年、ワシントン支局長。トランプ氏当選の16年を含め米大統領選は現地で3度取材。特別報道室長、京都支局長を経て現職。
きのした・ひでおみ 長野県飯田市出身。福岡支社などを経て、96年政治部。官邸、与野党、外務省担当を経てワシントン支局で安全保障を主に取材。政治部次長から12年、ワシントン支局長。トランプ氏当選の16年を含め米大統領選は現地で3度取材。特別報道室長、京都支局長を経て現職。

 

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