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【高橋弘の巨樹巡礼 15回続きの2】 北海道芦別市のイチイ、縄文杉に次ぐ樹齢

2022.6.24 11:47 共同通信

 幹周5メートル以上の木を「巨樹」と呼ぶ。巨樹になる樹種の多様さが世界有数の日本には、数多くの巨樹が存在し、人々の心のよりどころになってきた。巨樹写真家の高橋弘さんが、全国の会いに行ける巨樹を紹介する。

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 北海道を代表するイチイの巨樹の一本が「黄金水松(こがねみずまつ)」(北海道芦別市)だ。イチイは北海道から東北北部、長野や岐阜の寒冷地で多く見られる。別名をアララギ、北海道や東北ではオンコと呼ばれ、親しまれている。

イチイの巨樹「黄金水松」=2015年10月、北海道芦別市
イチイの巨樹「黄金水松」=2015年10月、北海道芦別市

 

 成長が大変遅いのが特徴で、黄金水松で2001年に行われたコアサンプル調査(幹に穴を開けて年輪の数を調べる)では、推定樹齢1700年と確認された。

 方法は違うが、縄文杉(鹿児島県屋久島町)でも1984年、放射性炭素年代測定によって樹齢が調べられ、2170年という結果が出ている。縄文杉に次ぐ古い樹齢を持つ樹木として、貴重な存在といえるだろう。

 北海道ではイチイは古くから庭園の主役の樹種。本州では墓地に墓標として植えられたものが数多く見られる。飛騨地方では「一位一刀彫」の材料に使われる。細かい年輪に艶のある材質で、赤と白の二つの色調を巧みに取り込んだ彫刻に適している。

 黄金水松は雪害によって枝が折れた痕跡や空洞も見受けられず、枝葉の繁茂もいまだ旺盛で、樹形も素晴らしい。全国に数多くあるイチイの巨樹の中でも出色だ。総合すると“日本一のイチイ”と言っても差し支えないだろう。

「黄金水松」=北海道芦別市
「黄金水松」=北海道芦別市

 

 この木は古くからアイヌたちが行き来する際の目印で、猟の無事や無病息災を祈る御神木として親しまれた。

 90年には「新日本名木100選」に選定。02年には道内の単木としては初の「北海道指定文化財(天然記念物)」となった。(巨樹写真家)

 【データ】幹周6・55メートル、樹高19メートル。(筆者実測値)

北海道芦別市・黄金水松の周辺地図
北海道芦別市・黄金水松の周辺地図

 たかはし・ひろし 1960年山形県生まれ。88年より巨樹の撮影を始め、これまでに日本全国3千本以上を収めた。東京都奥多摩町の日原(にっぱら)森林館で解説員を務め、環境省の「巨樹・巨木林データベース」の管理も行う。近著に「千年の命 巨樹・巨木を巡る」など。

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