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安堵感にじむ「侍ジャパン」 重苦しい空気の中、逆転サヨナラ勝ち

2021.7.28 23:16 共同通信
ドミニカ共和国にサヨナラ勝ちし、ナインとタッチを交わす稲葉監督(中央)=福島県営あづま球場
ドミニカ共和国にサヨナラ勝ちし、ナインとタッチを交わす稲葉監督(中央)=福島県営あづま球場
 稲葉篤紀監督率いる「侍ジャパン」がドミニカ共和国に逆転サヨナラ勝ちして白星スタートを切った。
 ▽重苦しい空気
 独特のすくい上げるようなスイングでとらえた坂本勇人(巨人)の打球がフェンス際まで届き、日本の勝利が決まった。「初戦に勝って正直ほっとしている」。試合後、打のヒーローに笑顔はなく、表情には重圧から解放された安堵(あんど)感だけがにじんでいた。
 稲葉監督も硬い表情。「先に点を取られて苦しい展開になったが、みんなが後ろにつなごう、最後まで諦めない、との気持ちが一つになってサヨナラ勝ちにつながった」と語った。
 ドミニカ共和国といえば2013年に行われたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)第3回大会で優勝した野球強豪国。大谷と本塁打王や打点王のタイトルを争うゲレロ(ブルージェイズ)らを筆頭に米大リーグへ選手を多数輩出しており、現在も約100人のメジャーリーガーが活躍している。
 しかし、今回のメンバーは元大リーガーやマイナーリーグに所属する選手が中心。実力、実績とも一線級を集めた日本と比べれば明らかに見劣りする相手だ。
 そんなメンバー構成もあって「負ける要素は少ない。勝たなければいけない」という空気だった。初戦の緊張感も加わり選手たちには硬さが見られた。
 ドミニカの先発は巨人に在籍しているメルセデス。シーズンで幾度か対戦している上、左腕からの真っすぐが、ややスライドしてくる球筋などは事前に頭に入っていたはずだ。しかし、六回までわずか1安打。完璧に抑えられた。
 貧打の窮地を救ったのが山本由伸(オリックス)だった。22歳の伸び盛りの右腕は6回を2安打9奪三振。メルセデスに引けを取らない投球内容で期待に応えた。「少し緊張してバタバタしたけど先制点だけは与えないよう丁寧な投球ができたと思う」
 ▽褒められない勝利
 何とか勝利を手繰り寄せた日本。だが、試合内容は褒められたものではない。
 八回1死二塁から吉田正尚(オリックス)の左前打で本塁を狙った山田哲人(ヤクルト)は左翼手からの送球がちょうど届く場所に滑り込んでアウトになった。走者と捕手の衝突防止が目的のコリジョンルールが徹底され、ホームベースへの進路が開いていたとはいえ、次の打者が一塁側へのスライディングを指示すれば、送球が高かった分、この時点で同点になっていただろう。
 2番手で登板した青柳晃洋(阪神)は七回2死一、二塁で決め球の外角低めに落ちるシンカーを腕の長いドミニカ選手に拾われて左中間二塁打を浴びた。九回にマウンドに上がった栗林良吏(広島)も、いつもなら低めに決まる得意のフォークボールが高めに入って痛打された。初の国際舞台で打ち込まれた記憶はなかなか消えない。気持ちを切り替えて次に進めるかがカギになる。
 九回のチャンスもドミニカのミスから生まれた。1死から柳田悠岐(ソフトバンク)の打球は一、二塁間に転がったゴロ。一塁手が難なくさばいたが、ベースカバーがおらず、内野安打に。これが逆転サヨナラ劇につながっていった。
 大事な局面でのミスが命取りになる。対戦相手から大きな教訓を得て、日本は次戦に臨む。(共同通信・川上克秀)