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【コロナで変わる日常】(9) ゆったり通勤 観光バス、地元の足へ転用

2020.8.12 7:00 共同通信

 外国人旅行者を乗せ、五輪直前の東京を巡るはずだった大型観光バスが、通勤客の足となった。コロナ感染の不安から電車を敬遠する人々が利用。貸し切りバス事業を主力としてきた小さなバス会社は、新たな道を探っている。

 東京都東村山市の銀河鉄道バスは3月中旬から平日の朝、東村山駅を出発、新宿経由で東京駅に着くバスを無料で走らせている。ダイヤは6時発8時着の1便のみ。

 「コロナの影響で、せき一つでも嫌がられる電車通勤のストレスを和らげたい」と、山本宏昭(やまもと・ひろあき)社長(56)が発案、自らも運転してきた。毎日、約20人が利用し定着。今後は正式路線として国交省に申請、有料にする。

 1999年創業の同社は、2008年から観光バスの収益を元に地元を巡回する路線を運営。大手が撤退した穴を赤字覚悟で埋め、地域を支えてきた。だが、感染拡大で頼りの観光バスはキャンセルが続出。残った路線バスを生かそうと知恵を絞った。住民から米やお金など支援も寄せられた。

 通勤バスは2席を1人で使用し、定員24人に限定。ゆったりと座席に身を任せば「まるで個室」。鉄道より時間がかかるが乗客には好評だ。「新しいライフスタイルに」と社長は胸を張る。
 世界的な感染流行は収束せず、訪日外国人頼みの観光再開は遠い。社員50人の給料は分割払いにし、地元企業からの借り入れでしのぐ。「地域の足」を信念に事業を続ける。

(共同=喜多信司)

*写真・記事の内容は2020年6月5日までの取材を基にしたものです。