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血液や骨髄、橋渡しも苦境 外出自粛で献血が減少 安全な移植実施へ対策

2020.5.28 13:52
 新型コロナウイルスの感染拡大により、輸血用血液や、移植に用いられる骨髄液を患者に届ける“命の橋渡し”が苦境に立たされている。外出自粛で人の動きが停滞する中、日本赤十字社は血液の安定供給を維持するため献血への協力を懸命に呼び掛ける。日本骨髄バンクは、新型コロナ患者の受け入れや院内感染で混乱する医療現場で、骨髄の提供や移植を安全かつ確実に実施しようと手を尽くしている。
 
 

 

 ▽イベント中止
 「献血協力者の深刻な減少が続いています!」
 こんなタイトルの呼び掛けが日赤のホームページに載ったのは3月2日だった。イベントの中止や延期、企業の在宅勤務措置などが相次ぎ、予定していた献血会の実施が難しくなっていた。
 国内では毎日3千人余りの患者が輸血を受け、1日当たり約1万3千人の献血協力が必要とされる。献血は各地に常設された献血ルームと、企業や学校などに献血バスが出張して開かれる献血会で受け付けている。
 しかし、2月18日に官邸で開かれた感染症対策本部会合で安倍晋三首相がイベントの開催時期見直しに言及、さらに2月25日、患者が増え続けている地域での外出自粛などを内容とする政府の基本方針が決定すると、献血者数が急減した。
 日赤が4月21日に厚生労働省の委員会で報告したデータによると、2月15日~4月19日に実施するはずだった献血会のうち1829件が中止、6月末までの予定分も含めると協力辞退は実に計3063件に上った。
 ▽安定供給
 日赤によると、3月のホームページでの呼び掛け以降、危機的状況をメディアが報じた効果もあり、血液の在庫量は一時的に回復したという。だがその後、緊急事態宣言が出され、対象地域も全国に拡大された。今後は全く見通せない。
 「今まで以上の外出自粛が見込まれ、献血ルームや街頭での協力者も非常に少なくなることが懸念される。血液の安定供給は日赤の使命。可能な限りの対応を進めていく」と広報担当者は話す。
 その日赤の献血ルームや献血会などを利用してドナー登録を受け付けている日本骨髄バンク。小島勝広報渉外部長は「3月までの新規登録者数に影響はないが、今後は減るだろう」と予想する。
 バンクが特に苦慮しているのは、骨髄の採取や移植に関わる医療機関が新型コロナへの対応で混乱する中、どうすればドナーやその家族、患者、関係者の安全を確保しながら移植にこぎ着けられるかという問題だ。
 ▽院内感染
 折原勝己ドナーコーディネート部長によると、骨髄採取を担当する施設が院内感染防止のため他県からのドナーを受け入れられなかったり、ドナーの入院時にPCR検査や胸部のコンピューター断層撮影(CT)を行ったりするケースが増えている。また、院内感染発生のため他施設で採取せざるを得なかったり、ドナー自身が不安を感じ提供を中止したりしたケースも報告されている。
 移植を受ける患者側でも混乱は起きている。小川みどり移植調整部長によると、入院中の施設の院内感染発生や新型コロナ患者受け入れに伴い患者を他の施設に転院させた事例や、担当医が感染し患者が濃厚接触者になってしまった事例があったという。
 バンクは次々に対策を講じている。例えばドナーや家族の体調確認の強化、提供意思を確認する最終同意面談を対面でなく電話で行う方式の導入、さらに原則禁止だった骨髄液の凍結保存も緊急避難的に容認した。
 「移植を待つ患者さんがいる。新型コロナがまん延しても、橋渡しは止められません」と小島さんは話す。(共同=赤坂達也)

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