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コロナでさまようシカない、奈良 観光客が激減、せんべいもらえず

2020.5.12 8:03 共同通信

東大寺参道のシカ=10日、奈良市
東大寺参道のシカ=10日、奈良市

 国内初の新型コロナウイルス感染者が1月下旬に確認された奈良県では、観光客が減り続け、それに伴って天然記念物「奈良のシカ」たちの様子にも異変が出ている。遠出して、普段見かけない場所で目撃されることが増えており、専門家は「いつもの観光地でシカせんべいをもらえなくなったので、首をかしげながらさまよい歩いているのだろう」と気遣う。

 観光客が激減した2月以降、奈良市民の間では、シカの行動範囲が広がっていることが話題になっている。日中はせいぜい奈良公園近辺で目にするのが普通だったが、人の足で20分前後、直線で約2キロも離れたJR奈良駅周辺にも出没するなど、市街地へ顔を出す機会が増えた。集団で闊歩し、ときには植え込みの草を食べ、ごみ箱をあさる姿も目撃されている。

 シカの生態に詳しい麻布大いのちの博物館の高槻成紀名誉学芸員は「せんべいがもらえなくなった理由が分からず『変だなあ、変だなあ』と思いながら探してるのだと思う」と分析する。

 日頃からシカを見守る愛護会の蘆村好高事務局長は「主食は芝生などで、せんべいはおやつのようなもの。飢えているわけではない」と強調する。ただ、奈良公園周辺でせんべいが売られるようになったのは17世紀の江戸時代前期とも言われ、何代にもわたって培われた習慣が急になくなったということになる。

 高槻さんは「6月ぐらいになって、芝生が本格的に伸びれば、おなかいっぱいになり、せんべい探しは諦めるでしょう。とはいえ、人間で言えば、お米は十分あってもおかずはない状態ですけどね」と話した。