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感染経路不明、拭えぬ不信感 1例目巡る鳥取市長の対応

2020.5.10 15:37 共同通信

海外から来日した砂像作家らの表敬訪問を受ける深沢義彦市長(後列中央)=3月24日、鳥取市役所
海外から来日した砂像作家らの表敬訪問を受ける深沢義彦市長(後列中央)=3月24日、鳥取市役所

 政府の緊急事態宣言が延長されたが、感染者が全国有数の少なさの鳥取県では、1例目の鳥取市に住む男性の感染経路が判明せず、深沢義彦市長への不信感がくすぶっている。男性は感染拡大が深刻な米国やイタリアなどから来日したグループと接触していたが、市長は早々に関連性を否定。市長自身がグループを招いたこともあり、責任逃れとみる市民も。専門家は疑念を持たれない調査と情報公開が重要と指摘する。

 感染確認は4月10日。平井伸治知事は男性の特徴的な行動歴として「3月下旬に約20人の外国人を5回ほど飲食店に案内した」と説明し、経路調査はグループとの関係を中心に進むとみられた。

 だが、深沢市長は翌日の記者会見で「グループが感染源の可能性は極めて低い」と早くも断言。外国人らは鳥取砂丘近くにある市立の「砂の美術館」の展示会に10カ国から招いた17人の砂像作家だったが、市長は関連性を否定する理由に、帰国した一部の作家が自国の検疫を通過したことや、不調を訴えていなかったことなどを挙げた。

 ただ、帰国した作家が感染していながら無症状だったり、後に発症したりする可能性も否定できない。さらに会見では市長自身も3月24日にグループの歓迎会の一部に参加していたことも判明。市長の危機管理意識を問う声が高まった。

 これには知事も4月12日に疑問を呈し、県が調査に乗り出すことを示唆する事態に。結局、市は濃厚接触者や市内に残っていた作家、グループと接触した美術館スタッフらのPCR検査をし、いずれも陰性であることを確認。帰国した作家の体調については、展示会の関係者を通じてメールで尋ねたとしている。

 感染者が少ない地域だけに、一つ一つの例に対する関心は高い。鳥取市の元教員谷口肇さん(81)は一連の市長の対応を「責任を問われるのを恐れている」と推測し「情報を適切に公表しないと疑心暗鬼になり『犯人捜し』や不当な差別につながる」と懸念する。

 長野県立大の田村秀教授(地方自治)は「作家の行動を徹底的に追跡して結果を公表し、市民の不安の払拭に努めるべきだった」と指摘した。