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ベラルーシの将棋道場「銀冠」

2018.8.31 10:00 女流二段 北尾まどか
ベラルーシの将棋界を率いるセルゲイ・リセンカさん
ベラルーシの将棋界を率いるセルゲイ・リセンカさん

 

 今やベラルーシは、ヨーロッパ内で最強のチームとなりつつあります。子どもから大人まで多くのプレーヤーが熱心に将棋を指しています。
 その中心となっているのがセルゲイ・リセンカさん。どうしてこれほどまでに将棋が盛んになったのか、彼の熱意がどこから湧き出ているのかを知りたくて、インタビューをしてみました。

道場内には将棋の大駒などが飾られている
道場内には将棋の大駒などが飾られている

 

 ―将棋を教え始めた時期ときっかけは。
 「2002年に兄から将棋を教わって、すぐに魅了されました。その頃はプレーヤーが6人しかいなかった。同級生に教えたりして、2005年に大学に入ってからは将棋部をつくりました。でも学生たちは楽しんでいるだけで大会にはあまり出なかったので、子どもたちに教えようと思いました。2010年に青少年センターで将棋を教えることになり、あちこちの学校に行って宣伝して人を集めようと努力しましたが、最初に来た生徒はたった一人。でも、そのお兄さんが来て、同級生が来て、結局12人集まりました。その後も毎年、順調に参加者が増え、2013年に開催したヨーロッパ選手権の後に新しい将棋教室を開きました。現在ではミンスク市内に5カ所の将棋教室があり、150人以上のプレーヤーがいます」

 ―将棋道場「銀冠」を作った理由は。
 「大人向けの教室を開きたかったことと、学校が休みの間でも将棋が指せる場所が欲しかったからです」

 ―経営は順調ですか。
 「1万ドルの初期投資をして、まだ利益は出ない状態。将来はもっと人が来ることを期待して頑張ります」

 ―今、何が一番必要ですか。
 「将棋の道具や本などは足りています。難しいのは宣伝です。強いプレーヤーよりも、普及してくれる人が必要です。先生として活動する人が減ってしまうと困るので、モチベーションを保つためにサポートすること、教える人を育てることをしないといけません」

 ―今後の目標は。
 「今は棋力も人数も他のヨーロッパの国々に勝っているので、そこから下がらないようにしたいです」

 セルゲイさんが目指しているのは、とにかく将棋プレーヤーを増やすこと。その熱意と人柄に惹かれて、たくさんの人が集まってくるのでしょう。
 さらにいろいろな方法を考えて実行しています。大会でおそろいのTシャツを着て円陣を組むのは、チームのとして結束力を高める工夫です。

 将棋道場でもコミュニティーづくりを重視しています。

「銀冠」道場のくつろぎ空間に集まるメンバー
「銀冠」道場のくつろぎ空間に集まるメンバー


 対局室の奥には別室があり、ソファでくつろぎながらお菓子を食べて、大画面のモニターで将棋動画を眺めることができ、自然と長居したくなる居心地の良い空間が出来上がっています。

 聞くところによると「あえて将棋を指さない日」があって、みんなで一緒に映画を見たり、ボードゲームをするなどして交流を深めているそうです。
 将棋道場の経営は日本でも大変なこと。それをミンスクで行うのですからその苦労は想像もできません。

手作りの「将棋クッキー」
手作りの「将棋クッキー」

 しかし、それだからこそ新しい形が生まれたのでしょう。私は「銀冠」から学び、このような素晴らしい将棋道場をいつか日本でも開きたいと思っています。(北尾まどか)

北尾まどか

名前 :北尾まどか

肩書き:女流二段

プロフィール:北尾まどか女流二段 2000年 、女流棋士2級としてプロデビュー。09年 10月から半年間、NHK将棋講座にレギュラー出演。女流プロ公式戦の対局をこなす傍ら、幼稚園、小・中学校などの教育機関での出張授業や、原稿執筆、講演など、幅広く活動している。10年に将棋普及のため、「株式会社ねこまど」を設立し、代表取締役に。「将棋をもっと楽しく 親しみやすく 世界へ」を理念に掲げ、世界中でイベント出演など将棋を通じて国際交流を行っている。多くの子どもたちに将棋を楽しんでもらおうと考案した「どうぶつしょうぎ」は、発売以来累計60万個を突破するヒット商品になった。東京都出身。1980年1月21日生まれ。

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