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社会

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扉を開けて ルポ ひきこもり

仕事や学校に行かず、社会とのつながりを持たない「ひきこもり」。長期化 高年齢化が進む中、新たな生き方の模索や支援の現場をルポする。

第6部「共鳴」(8) 負のイメージは本当? アンケートに共感相次ぐ

2018.6.17 13:00

 あなたは、ひきこもりにどんなイメージを持っていますか?


 4月の土曜日。大勢の買い物客らでにぎわう日本最大のターミナルJR新宿駅(東京)で、川初真吾(かわはつしんご)(45)はアンケート用紙を配り、道行く人に声を掛けた。友人と待ち合わせ中の大学生、ネットに動画を投稿するユーチューバーの女の子、弁護士、会社員…。「年齢も立場もバラバラの人たちが、ひきこもりと聞くと一瞬、複雑な笑いを浮かべるんです。その反応が面白かったですね」


  ×  ×  ×


 2012年から東京都内で「ひきこもりが問題にならない社会」をテーマに掲げたイベントを運営する川初は「自己責任」「外に引きずり出せばいい」という強硬な意見がほとんどだろうと覚悟していた。意外だったのは、初めは笑っていた人たちが、ひきこもりに至る事情をくみ取ろうとしたり、共感したりしてくれたことだ。


 専門学校に通う女性(18)は「中学の時にクラスメートが夏休み明けから学校に来なくなった」と打ち明けた。「私も人と話すのが苦手で、対人関係に疲れることがある」。そんな時は、週末に部屋から全く出ないようにして、自分をリセットする。「心の中で『2、3日、徹底的にサボろう』と宣言するんです。そしてまた次の日から頑張ろうって」


 別の女性は「身近に、ひきこもっている人はいない」と言った。だが隣にいた娘が「おいっ子が学校に行ってなかったでしょ」と水を向けると、「ああ、そうだったわね」と、思い出したようにうなずいた。


 「何となく伝わっているネガティブなイメージと、一人一人の姿は必ずしも合致していないことが分かった」。そう話す川初には、今も実家にとどまりながら生き方を模索している4歳下の弟がいる。「自立だったり、就労だったり、自分と向き合う間もなく、一律に時期だけが決められている。弟はそのレールを降りる決断をした。僕にはできないし、少しだけ、うらやましいと思う」


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 川初とイベントのスタッフに名を連ねる神垣崇平(かみがきたかひら)(54)は、当初「ひきこもり=怖い人」との印象を抱いていた。「よくテレビのニュースでやっているじゃないですか。ナイフを持って暴れたらどうしようと」


 だが今はこう言い切る。「大切なことはすべて、ひきこもりから教わった」(敬称略)

JR新宿駅周辺の雑踏。「あなたはひきこもりにどんなイメージを持っていますか?」。川初真吾は道行く人に声をかけた(敬称略)
JR新宿駅周辺の雑踏。「あなたはひきこもりにどんなイメージを持っていますか?」。川初真吾は道行く人に声をかけた(敬称略)

 

 

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