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栃木の中小企業、スーパーカーの夢に挑む 「寂しい」モーターショーで異彩

2017.10.26 16:18 共同通信
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IF―02RDSと池谷信二社長
IF―02RDSと池谷信二社長

 25日から報道関係者向け公開が始まった東京モーターショーを取材した。もともと筆者自身が車やオートバイに関心があることからローマ在任中もミラノ国際モーターサイクルショーやボローニャモーターショーなどを取材。日本でも東京モーターサイクルショーなどに足を運んできたが、確かに今年の東京ショーは皆が言っているとおり、寂しい。目立つのは日本、ドイツメーカーぐらいで、世界有数の自動車大国、米国や伝統ある英国、イタリアなどの会社は出展を見送り。「フェラーリ」や「ロールスロイス」などの有名ブランドもない。中国など新興国市場に押され「日本パッシング」が起きているのが主な理由で、来場者数はピークの1991年に約202万人だったが、2015年に開いた前回は81万人にまで落ち込んだ。

 そうした寂しい雰囲気の中でも、目を引いたメーカーがあった。トヨタでもホンダでもない。栃木県鹿沼市に本社を置くイケヤフォーミュラという会社だ。まだ自動車を市販したことは一度もなく、正確に言うと自動車メーカーとも呼べない。競技用車両部品や駐車場関連機器、サイネージ機材などの生産・販売を行う同社だが資本金は1000万円、社員30人足らずと規模は小さい。そうした栃木の中小企業が、スーパーカーの開発生産という夢に挑んでいる。

 ▽「宇都宮」ナンバー

 同社がスーパーカーの開発に乗り出したのは12年。もともとレースカーの部品をつくっていた上に、変速してもエンジンのパワーを途切れることなく伝えることができる独自の「シームレス・トランスミッション(変速機)」の開発に成功していたことから、車のコンポーネント(構成部品)はあるとして自動車開発に着手。13年に最初の車を東京モーターショーに出展。しかし、この時は国土交通省の認証を受けておらず、公道を走行できない、いわゆる単なる「デモカー」の段階だった。15年の次回モーターショーで公道走行可能な車を展示することを目標としたが間に合わず、結局、今回のショーの直前に認証を取得。「宇都宮」ナンバーの車を出展した。

 「IF―02RDS」と名付けられ、公開した赤い車はイタリアのフェラーリやランボルギーニと同様、スーパーカーそのもののいでたちで、全長4・66メートル全幅1・97メートルで車両重量は1150キロ。エンジンはホンダ製の並列4気筒水冷2000ccで、ターボで過給し最高出力は220kW以上。パイプフレームの骨格部分にFRP(強化プラスチック)製の外装をまとう。ミッションは独自の「シームレス」タイプだ。認証を取るに当たり最も苦労したのはターボを後付けしたエンジンの排気ガス規制をクリアすることだったという。

 ▽F1エンジン再現目指す

 「2年後の市販を目指したい」と池谷信二社長。その際は、自社開発を進めているV型10気筒4000ccのエンジン(推定最高出力450kW)を搭載するという。一般的に気筒数の多い大型エンジン開発には相当のノウハウと技術力、莫大な資金が必要とされるが、池谷社長は「トヨタやホンダなどの技術者OBの力を借りて開発を進める。資金は受注生産を取る形で調達したい」と語る。かつて自動車レースの最高峰F1で使われたV型10気筒エンジンをほうふつとさせるエンジンを目指すといい「追い求めるのはパワーよりも音。高回転で甲高い音を響かせたF1のエンジン音を再現できるよう(毎分)1万2000回転まで回るエンジンをつくりたい」と意気込む。価格は生産台数次第で「1億円以上になるかもしれないが、生産台数が増えれば下げられる」とも話している。 (47NEWS編集部 太田清)

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