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日本のロシア人が集う場所とは

2018.3.14 10:00 共同通信
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精進料理を食べるロシア人ら=11日
精進料理を食べるロシア人ら=11日

 異郷に住む人たちには、何らかの集いの場が必要だ。文化や生活習慣、宗教も異なる外国で、同じ国の人が集まり、育児や教育など生活に役立つ情報を交換したり、仕事の斡旋を頼んだり、母国語で思いっきりおしゃべりを楽しむ。

 筆者も記者として海外に駐在したことが3回あるが、日本の場合、何より在留邦人の「接着剤」の役割を果たすのは日本人学校ではないだろうか。募金集めのバザールを開いたり、学校運営について教師らと話し合ったり、寄付金を募ったりと、子女を抱える駐在員らは否が応でもその活動に関わらざるを得なくなる。

 その点、日本に住むロシア人の寄る辺となる場の一つが正教会の教会だ。実は日本には日本の教会組織である「日本ハリストス正教会」と、ロシア正教会の出先機関である「ポドボリエ」があり、在日ロシア人はロシア人、あるいはロシア語が分かる司祭がおり、罪の赦しを求める告解もロシア語で行えるポドボリエも訪れる。ポドボリエは残念ながら日本では関東地方にしかなく、都内に2カ所(文京区、目黒区)の教会と千葉県松尾町に修道院がある。

 松尾町の修道院では、極東のユジノウスリースクから派遣された2人の修道女が務めている。毎月1回は都内から司祭も訪れ、祈りの儀式が行われる。儀式後は修道女がつくったり、信者が持ち寄ったりした料理を、聖者を描いたイコンの前で皆が食べる。筆者が訪れた3月11日は復活祭前の大斎期に当たり、肉や魚、乳製品は食べられない。信者が精進料理としてつくった野菜や果物の料理、肉のないボルシチスープ、パンなどが食卓に並べられた。司祭の祈りの後、食事をしながらのロシア語での会話に花が咲く。

 都内の大学の講師を務めるアレクサンドラさんは「教会は祈りの場であるとともに、日本にいるロシア人の交流の場でもある。こうした場所がないと、ロシア人がお互いを知る機会も限られてしまう」と話す。都内のIT企業で働くアントンさんも「ここに来る人は信頼できる人。お互いに包み隠さず、本音で話せる」と評価する。長司祭の長屋房夫さんによると、定期的に教会や修道院を訪れるロシア人は100人ほど。こぢんまりとした集まりだが、在日ロシア人にとってはかけがえのない交流の場なのだ。 (47NEWS編集部 太田清)