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「謝罪は1回で十分だ」

2018.1.10 17:05 共同通信
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戦勝60年式典で、イタリアのベルルスコーニ首相(左から2人目)と談笑するロシアのプーチン大統領(同4人目
戦勝60年式典で、イタリアのベルルスコーニ首相(左から2人目)と談笑するロシアのプーチン大統領(同4人目)

 

 韓国の文在寅大統領は10日、年頭記者会見で、旧日本軍の従軍慰安婦問題を巡る日韓政府間合意について「日本が心から謝罪するなどして、被害者たちが許すことができた時が本当の解決だと考えている」と述べ、日本にあらためて謝罪を求めた。発言に対しては、いろいろな考え方があるだろうが、ここで思い起こされるのが第2次大戦時の侵略を巡り同様に謝罪を求められたロシア元首の対応だ。

 

 ロシアのプーチン大統領は2005年5月、大戦直前にドイツとソ連がバルト諸国併合やポーランド分割を密約したモロトフ・リッベントロップ協定について「解決済みの問題だ。(謝罪は)一度言えば十分だ」と述べ、バルト3国の謝罪要求を拒否した。

 ロシア・欧州連合(EU)首脳会談後の記者会見で「ロシアはなぜ、協定について謝罪しないのか」とのエストニアの女性記者の質問に答えたもので、大統領はソ連最高会議が1989年に協定の非を公式に認めたことを指摘。その上で、「これ以上何が必要なのか。毎年非難し続けなければならないとでもいうのか。ロシアはこの問題に立ち戻る気はない」と強調した。

 モロトフ・リッベントロップ協定とは、1939年にソ連とナチス・ドイツとの間で結ばれた不可侵条約を指し、署名したモロトフ・ソ連外相、リッベントロップ・ドイツ外相の名前にちなみこう呼ばれている。協定には別に秘密議定書があり長らく公開されなかった。独ソ両国がバルト諸国のソ連併合とポーランド分割を密約し、ドイツによる第2次大戦開戦の端緒を開いたものとして悪名高い。以後、バルト3国の併合は半世紀続き、3国の独立はソ連のペレストロイカによる民主化を待たなくてはならなかった。

 それだけに、バルト3国は秘密議定書によるソ連への併合で大戦後にソ連の「占領状態」が続いた上に、ロシアがいまだにこの史実を「謝罪」していないことを長年非難してきた。会見の直前にモスクワで行われた対ドイツ戦勝60周年記念式典についても、エストニアのリュイテリ大統領とリトアニアのアダムクス大統領は出席を拒否。エストニアの記者の質問にはこうした伏線があったわけだ。

 日本の繰り返しての謝罪の必要性については、人によって考え方は違うし、筆者もここでは触れない。しかし、大戦の戦勝国と敗戦国の差はあるにしても、日ロ両国の対応には天と地ほどの開きがある、そう考えてしまう。 (47NEWS編集部 太田清)